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R大学の史学科に教員として勤める小関は、大学内での処世術にも長けた同僚の折戸に、強い嫉妬心を抱いていた。 学問のうえでも差を付けられた小関だったが、ついに妻までもが折戸に奪われてしまう……。 大学内の派閥争いを軸に男女の愛憎を描いた、松本清張の傑作長編。
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Posted by ブクログ
大学の助教授である36歳と34歳の同僚。この2人は、研究能力や業績、研究スタイルも性格も女性関係も全く異なる。こうした2人なのに、なぜか大きな摩擦もなく長い旧友関係が続いている。当然のことながら、一方が女性関係で問題を起こし・・・・というストーリー。今も昔も変わらぬ、一種独特な組織である大学、そして...続きを読む考古学の世界。松本清張の1つのモチーフとして取り上げられる組織でもある。
不倫を背景とした学閥の闇に言及した作品。 呆れるほど善い性格の小関には読んでるこちらがもどかしくなる。 折戸には天罰を食らわせてほしかったな。
葦の浮船
好対照な2人の助教授が織りなす物語。折戸二郎は上代史専攻の才能ある助教授であるが、好色漢で巧みに女性に接近しすぐに手を出す人物である。一方、小関久雄は中世史専攻の助教授で、まったく女性には縁が無いと思い込んでいる好人物である。なぜか2人は、深い付き合いである、小関は折戸の行動に納得していないが、学問...続きを読む上の実力差は認めざるを得ず、折戸にうまく牛耳られていることに自ら納得している。 2人の教授と、人妻笠原幸子、および近村達子、2人の女性が、ストーリーを展開する。前半は、不倫物語の様態で☆二つかなと思っていたが、後半になって、清張小説の面目躍如といったところである。
物語よりも、場面場面に清張のエロさが沸き立ってくる。そのエロさは、明らかにかつてモテなかった男の描く陰湿なエロさで、カラッとしたものがない。大変扇情的。
性格も学問の研究スタイルも全く異なる二人の大学助教授の不思議な関係と大学内の悪しき支配秩序を描いた作品。 東京R大学国史科の折戸助教授は36歳で上代史専攻、小関助教授は34歳、中世史専攻。折戸が独自の発想を生かし業績を上げ、性格も社交的であるのに対し、小関は存在感を示せず風采も上がらない。 折戸は羽...続きを読む振りがよく女遊びが過ぎ、人妻との不倫関係も持つようになる。一方、小関は自らを鈍才と自覚し、学問研究に秀でる折戸を尊敬し、彼の頼みは何でも聞き入れていた。折戸は、人妻と享楽に耽った後、出世欲にとらわれ次第に相手を面倒に思うようになる。さらにその関係を精算できないうちに、小関に好意を寄せる若い女性を我が物にしようと企む。 小関は折戸の行為に辟易しながらも彼の「火遊び」の後始末を引き受けてしまう。そればかりか、相手の夫との修羅場に際しても折戸を庇おうとする。 能力は劣り朴訥だが、どこまでも誠実な小関を巧みに利用し、小関を慕う女性まで横取りしようとする折戸は恩を仇で返す最低の男だ。また、小関は性格はいいがお人好し過ぎる。 同僚同士がここまで支配・隷従の関係になる設定はすんなり受け入れがたかったが、終盤はスリリングで予期せぬ展開となり、面白かった。 ただ、小関の信じられないような従順さや諦念がだめ押しのように表現されるラストは、人間、誠実に生きるべしとの教えかもしれないが、現実味にかけ、興醒めてしまった。
小関は良い奴。 折戸は、いるよねこういう奴でも因果応報喰らってほしかったなぁ…!! 近村達子は正しい意味で賢い女性だったが、笠原幸子は恋が絡むと盲目になる性質だった。「分かってはいるけど嫌いになれない」みたいなね。もっとちゃんと旦那さん相手に真摯に向き合えば宜しかったのだ。 今の時代ならSNSや...続きを読むらなにやらで大炎上して折戸も教授から降りることになっただろうが、当時はうまくもみ消すことができたんだろう。 とはいえ、今も大学のアカデミアにはこの頃のニオイが残っているよなぁ。
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