【感想・ネタバレ】任務 松本清張未刊行短篇集のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2023年02月02日

多作だった松本清張。偶然に単行本の掲載から漏れていた10の掌編。

特にテーマなく集められた分、清張の広い分野に渡る筆力が満載の一冊。

何より「半生の記」の続編ともいえる「雑草の実」が秀逸。

0

Posted by ブクログ 2023年05月17日

この作家の膨大な作品の数々を「清張山脈」と称することがあります。デビューの遅さを反発力とするかのように社会構造、昭和史、古代史、占領下の闇、そして天皇制…テーマがテーマを呼び次々と連なっていく激しい造山活動は発表当時のジャーナリスティックなインパクトを超えて没後30年を過ぎ今もなお仰ぎ見られています...続きを読む。今年になってもNHKで「小説 帝銀事件」という作品自体の成立をテーマにしたドラマが放映されていました。しかし遠くで眺める山脈の中にどんどん分け入っていくとちょろちょろとした渓流にもならない湧き水みたいなものがあることを知るのです。湧き出ているのは人間の嫉妬、恨み、憧れ、虚栄、諦観、自分でもコントロール出来ない感情の漏れ。そういった「清張源泉」みたいな短編集が本書です。今まで雑誌や新聞には掲載されただけで本になってない作品の数々。それは人間の小さな心の揺らぎのスケッチみたいなもので大作になる前のデッサンのようにも思えるのです。きっと「清張山脈」は「清張源泉」という感情の水脈が社会テーマという山塊を削って出来た作品群なのかも知れません。そして巻末の「雑草の実」を読むに至り、登場人物の心の泡立ちはすべて清張自身の心から生まれているのだと確信します。「半生の記」は読んだことがありましたが「雑草の記」で語られる友人という存在に憧れ、逆にそれから距離をおく感情の痛々しさこそ松本清張が原動力なのではないか、と思いました。

0

Posted by ブクログ 2023年03月31日

2022秋に発刊された当作品、行間から清張のあの【顔】と作品の根となったとてつもない臭いが立ち込めて来た。
匂いではなく臭い・・・北九州から中央へ出て、「清張在り」という立ち位置を確立した彼の足取り。
旧弊むんむんの文壇に一見さらりと立ち向かい 実は執筆人生のほぼ24時間脳裏に救う物凄いエナジー。
...続きを読む
サスペンスモノはなく、実録を基にした周辺エピソードを膨らませたものが大半。
清張好きにはたまらないだろう・・関心がない人にはこの「臭さ、暗さ、湿り気」に辟易するだろう。
案外、昨今のインスタグラムにも近いねっとり感すら覚えた。
特にラストの「雑草の実」~清張ファンなら既読感ある情景が立ち込めると思う。

最後の1行で~「友達は多すぎても行けないと思う・・父も友達は一人もいなかったが楽天的な一生を終えた」とあることに妙に真実味を覚えた。

0

「小説」ランキング