松本清張のレビュー一覧
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「松本清張」のSF的小説『神と野獣の日』を読みました。
「清水義範」のSF連作集『博士の異常な発明』を読んで、SF作品を読みたくなったんですよね。
「松本清張」作品は、『ゼロの焦点』以来なので約半年振りです。
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「重大事態発生です」―ある早春の午後、官邸の総理大臣にかかってきた、防衛省統幕議長からの緊急電話が伝えた。
Z国から東京に向かって誤射された、5メガトンの核弾頭ミサイル5基。
1発で、東京から半径12キロ以内が全滅するという。
空中爆破も迎撃も不可能。
ミサイルの到着は、あと…43分。
ラジオ・テレビの臨時ニュースによって、真相が全日本 -
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ミステリー・サスペンス作家だと思っていたが、文学者だった。構成はミステリー仕立てであり、謎が気になり最後まで読み進めてしまう。一方でただの謎解き小説にとどまらず、犯人の心情を感じさせる。生きてるって大変だよなあ、などと考えてしまう。
表題作の「張込み」は読み終わった後に数日考えてしまった。
●張込み
逃亡犯の昔の恋人を張り込む刑事。その女は子持ちの男と結婚し、平凡な主婦となっていた。やがて犯人から連絡があり、女は出かけていくのだが…。
●顔
殺人事件の前に顔を見られた男が俳優として映画に出演することになる。未来のために目撃者を消したいと考えた男がとった行動は…。まさに藪蛇。
●声
犯行現 -
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「松本清張」の晩年の短篇集『隠花の飾り』を読みました。
「松本清張」作品は昨年12月に読んだ『影の車』以来ですね。
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「松本清張」 生誕100年記念復刊第2弾。
愛を追い求めた女たちの運命――。
妻子ある男を好きになってしまった銀行勤めの「伴子」。
男と結婚するのに必要となる三千万円を横領するが、たった一枚の百円玉が、その運命を反転させる『百円硬貨』。
毎日弁当を作り、ボーナスで洋服を仕立てて、年下の男に尽くす「滝子」。
男が若い女と結婚することが決まり潔く身を引くが、結婚前夜に男が訪ねて来て……『記念に』。
愛を求めるあまり転落してゆく女たちの -
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「松本清張」の『砂の器』を読みました。
先日、映画を観て、とても気に入ったので、、、
原作を読んでみたくなったんですよね。
上下巻に分かれていて、なかなかのボリューム感でしたが、どんどん先が読みたくなるような展開で苦痛なく読めました。
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<上巻>
東京・蒲田駅の操車場で男の扼殺死体が発見された。
被害者の東北訛りと“カメダ”という言葉を唯一つの手がかりとした必死の捜査も空しく捜査本部は解散するが、老練刑事の「今西」は他の事件の合間をぬって執拗に事件を追う。
「今西」の寝食を忘れた捜査によって断片的だが貴重な事実が判明し始める。
だが彼の努力を -
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ネタバレ<蟷螂の斧 自制心と暗い衝動>
しがない公務員、浅井に嫁いだ身の丈に合わない美麗な妻、英子。そんな妻がある日、持病の悪化により急逝してしまう。その妻が亡くなった場所は、浅井には思い当たる節の無い、縁もゆかりも無い場所だった。
そこに絡むタイトル。。
真実を知る為に、そして自分の仮説を否定する為に、推察と調査を重ねるほどに、信じたくない真実が近づいてくる。
丁度、境内にある小池で、水面に向かってゆらりと浮かび上がってくる鯉を見つけた時みたいな。
もう、鯉であることは間違いない。でも、鯉が口を水面から突き出す瞬間まで見つめてしまう、みたいな。
どう転んだって、鯉である。そんな確実 -
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白い闇:北海道に仕事に行ったきり帰ってこない。東北本線を利用。TVでは新幹線利用。
捜査圏外の条件:会社の同僚が?
ある小官僚の抹殺:砂糖に関する癒着、急行なにわ
巻頭句の女:俳人の女性の死亡にまつわる保険金殺人
駅路:定年退職の男が80万円持参で蒸発。広島可部線
誤差:東海道線から私鉄で2時間の温泉宿。大井川鐡道?
万葉翡翠(ひすい):最初の部分はイマイチ理解出来ず。後半は面白い。準急アルプスの全盛時代。大糸線が開通して間が無い頃かも。しかし細い点と線をうまく結びつけるものだ。
薄化粧の男:テレビで見た事があった。50歳になると美男ほど見にくくなるものか。
偶数:映画の大映しのように出てきた -
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清張初期の短篇集。社会派推理小説の影はなく、いわゆる中間小説だが、思いの外面白い。
白眉は丹羽長秀の心中を描いた「腹中の敵」。凡人と才人という対比において、凡人の立場から見る視点は面白い。また、秀吉という人たらしにも興味を覚えてきた。
人物伝風の「菊枕」、「断碑」、「石の骨」、私小説の「父系の指」、社会派推理小説の嚆矢「張り込み」、歴史小説(腹中の敵以外の2作はあまりに通俗すぎ、かつ不用意なオチで失敗だと思う)など幅広い作品を収めているが、やはり彼の主題は「人」であったといえる。
スーパースターや天才鬼才ではなく、日常の生活人たるわれわれが対象だ。それをもっとも如実に表現できるのが、彼にとって