松本清張のレビュー一覧

  • 神と野獣の日

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    「松本清張」のSF的小説『神と野獣の日』を読みました。

    「清水義範」のSF連作集『博士の異常な発明』を読んで、SF作品を読みたくなったんですよね。
    「松本清張」作品は、『ゼロの焦点』以来なので約半年振りです。

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    「重大事態発生です」―ある早春の午後、官邸の総理大臣にかかってきた、防衛省統幕議長からの緊急電話が伝えた。
    Z国から東京に向かって誤射された、5メガトンの核弾頭ミサイル5基。
    1発で、東京から半径12キロ以内が全滅するという。
    空中爆破も迎撃も不可能。
    ミサイルの到着は、あと…43分。
    ラジオ・テレビの臨時ニュースによって、真相が全日本

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    2022年05月27日
  • 張込み―傑作短編集(五)―

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    ミステリー・サスペンス作家だと思っていたが、文学者だった。構成はミステリー仕立てであり、謎が気になり最後まで読み進めてしまう。一方でただの謎解き小説にとどまらず、犯人の心情を感じさせる。生きてるって大変だよなあ、などと考えてしまう。
    表題作の「張込み」は読み終わった後に数日考えてしまった。

    ●張込み
    逃亡犯の昔の恋人を張り込む刑事。その女は子持ちの男と結婚し、平凡な主婦となっていた。やがて犯人から連絡があり、女は出かけていくのだが…。

    ●顔
    殺人事件の前に顔を見られた男が俳優として映画に出演することになる。未来のために目撃者を消したいと考えた男がとった行動は…。まさに藪蛇。

    ●声
    犯行現

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    2022年05月24日
  • 渡された場面

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    全く異なった土地で起きた事件は "ある文章" によって紐解かれていく。その偶然は繋がりが見えないピースの僅かな接点によって背景が明らかになる。悲劇は愚かな欲望であり、不誠実が心を曇らせていく。松本清張の物語は人間の性(さが)をとことん突き詰めていく。だから面白い。

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    2022年05月21日
  • 隠花の飾り

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    「松本清張」の晩年の短篇集『隠花の飾り』を読みました。
    「松本清張」作品は昨年12月に読んだ『影の車』以来ですね。

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    「松本清張」 生誕100年記念復刊第2弾。
    愛を追い求めた女たちの運命――。
    妻子ある男を好きになってしまった銀行勤めの「伴子」。
    男と結婚するのに必要となる三千万円を横領するが、たった一枚の百円玉が、その運命を反転させる『百円硬貨』。
    毎日弁当を作り、ボーナスで洋服を仕立てて、年下の男に尽くす「滝子」。
    男が若い女と結婚することが決まり潔く身を引くが、結婚前夜に男が訪ねて来て……『記念に』。
    愛を求めるあまり転落してゆく女たちの

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    2022年04月23日
  • 眼の壁

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    6月のWOWOWドラマ前なのでネタバレなしで。
    初めて松本清張作品を拝読した。
    前半のねっとりゆっくり丁寧な描写で物語の世界に惹き込まれた。
    要素が集まり物語が展開し始めると非常にスピーディーで夢中になり一気に読めた。

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    2022年04月22日
  • 砂の器(上)

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    上野21時発急行羽黒
    羽後亀田駅、地図で確認した。
    ヌーボー・グループはちょっと突然な感じがして読んでいる時は位置付けが分からなかった。
    東京発急行出雲、当時は山陰線経由ではなく、大阪まで行って福知山線経由。2等車の旅は堪える。
    車内から撒いた紙片
    いろんな事実がカギとなってゆく。

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    2022年04月27日
  • 熱い絹(上)

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    後半にかけて、色々点と点がつながり、マレーシアのキャメロンハイランドを舞台に壮大なスケールで話が進む。ベトナム戦争当時の設定だが、今でも十分理解できる。当地に訪れた人はより入り込める。面白い。

    また、マレーシア社会の複雑な民族構成=マレー系、チャイニーズ系、インド系、原住民のオランアスリ等との関係も考慮して背景説明されており、その点も勉強になる。下巻が楽しみ。

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    2022年04月03日
  • 砂の器(上)

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    「松本清張」の『砂の器』を読みました。

    先日、映画を観て、とても気に入ったので、、、
    原作を読んでみたくなったんですよね。

    上下巻に分かれていて、なかなかのボリューム感でしたが、どんどん先が読みたくなるような展開で苦痛なく読めました。

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    <上巻>
    東京・蒲田駅の操車場で男の扼殺死体が発見された。
    被害者の東北訛りと“カメダ”という言葉を唯一つの手がかりとした必死の捜査も空しく捜査本部は解散するが、老練刑事の「今西」は他の事件の合間をぬって執拗に事件を追う。
    「今西」の寝食を忘れた捜査によって断片的だが貴重な事実が判明し始める。
    だが彼の努力を

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    2022年03月31日
  • 黒革の手帖(下)

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    恐喝で大金をせしめ更なるランクアップを図るべく暗躍する女の末路を描いたサスペンス。
    怒涛ともいうべき後半が恐ろしい。自業自得とはいえ容赦が全く無い作風というかリアリズムに震えてしまう。特に最後のページはゾッとさせられた。人によって受け取り方は違うだろうけど自分的にはホラーとして逸品。

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    2022年03月27日
  • 聞かなかった場所

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    ネタバレ

    <蟷螂の斧 自制心と暗い衝動>

     しがない公務員、浅井に嫁いだ身の丈に合わない美麗な妻、英子。そんな妻がある日、持病の悪化により急逝してしまう。その妻が亡くなった場所は、浅井には思い当たる節の無い、縁もゆかりも無い場所だった。

     そこに絡むタイトル。。

     真実を知る為に、そして自分の仮説を否定する為に、推察と調査を重ねるほどに、信じたくない真実が近づいてくる。
     丁度、境内にある小池で、水面に向かってゆらりと浮かび上がってくる鯉を見つけた時みたいな。
     もう、鯉であることは間違いない。でも、鯉が口を水面から突き出す瞬間まで見つめてしまう、みたいな。
     どう転んだって、鯉である。そんな確実

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    2022年03月25日
  • 黒革の手帖(上)

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    女子行員が横領した金で銀座の高級クラブを経営、更なる金を引き出す為権謀を巡らすサスペンス。
    タイトルの手帖に恐喝のネタが載っている訳だが、恐喝にならぬ様な情報収集、証人の確保、場面設定などは犯罪者でなくとも勉強になる事がある。

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    2022年03月22日
  • 駅路

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    白い闇:北海道に仕事に行ったきり帰ってこない。東北本線を利用。TVでは新幹線利用。
    捜査圏外の条件:会社の同僚が?
    ある小官僚の抹殺:砂糖に関する癒着、急行なにわ
    巻頭句の女:俳人の女性の死亡にまつわる保険金殺人
    駅路:定年退職の男が80万円持参で蒸発。広島可部線
    誤差:東海道線から私鉄で2時間の温泉宿。大井川鐡道?
    万葉翡翠(ひすい):最初の部分はイマイチ理解出来ず。後半は面白い。準急アルプスの全盛時代。大糸線が開通して間が無い頃かも。しかし細い点と線をうまく結びつけるものだ。
    薄化粧の男:テレビで見た事があった。50歳になると美男ほど見にくくなるものか。
    偶数:映画の大映しのように出てきた

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    2023年05月07日
  • 渦

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    1977年の作品。
    視聴率とは。どのように調査・集計されているのか。信用できるものなのか。
    視聴率調査会社と周辺で起きる事件。
    モニター家庭からロールパンチペーパーを回収するなど、アナログ時代の話だが、面白かった。

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    2022年02月22日
  • 黒革の手帖(下)

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    1人の銀行員が危険な賭けの末華やかな銀座の夜に打って出る。そこから物語が始まる。表の華やかさ、裏の魑魅魍魎、因果応報、社会の闇。上下巻で見事に表されている。

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    2022年02月16日
  • 黒革の手帖(上)

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    1人の銀行員が危険な賭けの末華やかな銀座の夜に打って出る。そこから物語が始まる。表の華やかさ、裏の魑魅魍魎、因果応報、社会の闇。上下巻で見事に表されている。

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    2022年02月16日
  • 半生の記

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    作家というのは出生から恵まれた環境の人が多いと思ったがその真逆であった。箒を売りに行ったりしたところで後の記事のネタが生まれたのだろう。それにしても壮絶な人生だ。

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    2022年02月14日
  • 松本清張ジャンル別作品集 : 3 美術ミステリ

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    真贋の森は、アカデミアの世界の闇を覗いたようでやりきれなさが募る作品。それまで丁寧な描写で綴られてきたところからバタバタっと終わってしまったのでもっとしっかり読みたかった。
    美の虚像が一番馴染みやすい作品だと感じた。謎が解き明かされる爽快感がある。

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    2022年02月07日
  • 時間の習俗

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    久しぶりに松本清張の作品を読んだ。文体は簡潔で最初に和布刈神事が出てきたのには、さすが小倉で生活している人だなと思った。
    地名も馴染みの場所が多くて、思い出しながら読んだ。殺人のトリックを見破る刑事の思考と、ベテラン刑事の粘り強さに、昭和を感じる。47年の作品だものね。それにしてもこの時代にゲイバーが出てくるとは。

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    2022年02月03日
  • 張込み―傑作短編集(五)―

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    清張初期の短篇集。社会派推理小説の影はなく、いわゆる中間小説だが、思いの外面白い。
    白眉は丹羽長秀の心中を描いた「腹中の敵」。凡人と才人という対比において、凡人の立場から見る視点は面白い。また、秀吉という人たらしにも興味を覚えてきた。
    人物伝風の「菊枕」、「断碑」、「石の骨」、私小説の「父系の指」、社会派推理小説の嚆矢「張り込み」、歴史小説(腹中の敵以外の2作はあまりに通俗すぎ、かつ不用意なオチで失敗だと思う)など幅広い作品を収めているが、やはり彼の主題は「人」であったといえる。
    スーパースターや天才鬼才ではなく、日常の生活人たるわれわれが対象だ。それをもっとも如実に表現できるのが、彼にとって

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    2022年01月30日
  • 時間の習俗

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    松本清張「点と線」で一緒に事件を解決した、九州の老刑事と警視庁の若い警部補が再度顔を合わせ事件を解決に導く。2人が励まし鼓舞し合い犯人を追い詰めていく姿がページをめくる指を進ませる作品。

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    2022年01月25日