松本清張のレビュー一覧
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松本清張『内海の輪 新装版』角川文庫。
50年前の1973年に刊行された作品。表題作の『内海の輪』と『死んだ馬』の2編を収録。2編とも、男女の爛れた不倫関係が凶悪犯罪を生み出し、完全犯罪が僅かな綻びから破綻していくプロセスが描かれる。
『内海の輪』。
さすがに時代を感じる描写が多い。スマホも無いこの時代、秘密裏に不倫関係を続けるというのは相当の苦労があったことだろう。しかし、50年前も今も男女の不倫が生み出す凶悪犯罪という構図は変わらない。
読み所は、犯人の江村宗三の完全犯罪が破綻する最終盤のプロセスである。まさか、そんなことからということが現実でも起こり得るのだろう。
14年前。当 -
Posted by ブクログ
まだまだあった、読み残しの清張作品。
『美しき闘争』(角川文庫)と『蒼い描線』(新潮文庫)
昭和時代を感じるのはおもしろいし、しかも古びていないところがすごい。
両書とも熱海や箱根が舞台、そしてストーリー展開によって、日本全国縦横に旅する、その土地土地が目に浮かぶ。
『美しき闘争』(角川文庫)1962年雑誌に連載、1984年カドカワノベルズ刊行
『蒼い描線』(新潮文庫)昭和33年7月から週刊誌に連載、昭和34年(1959年)に光文社から刊行
巻末解説とあるけれど、ほんとうにほんとうに清張さんの作品は多いのだ。
清張さんはわたしが児産みが一段落して(笑)子育て真っ最中の1972年ごろから -
Posted by ブクログ
ネタバレ帝銀事件が起きた昭和23年の日本は、連合国の占領下にあった。当時の日本人はもちろん、日本の様々な組織(検察・警察含む)にとってアメリカを中心とする占領軍は途方もなく巨大で、時には「壁」になったのだろう。
事件の犯人を旧日本軍関係者と睨んでいた警察捜査の主流は、「壁」にぶち当たってしまった。「壁」が旧日本軍のある一部に利用価値を見出し保護したからである。行き場をなくした主流が傍流の平沢貞通犯人説に殺到し、あれよあれよという間に平沢の死刑判決に至ってしまった。平沢自身、あまり素行がよくなかったことや脳の病気による虚言症などを抱えていたことがあり、自白重点主義の当時、心証の面で不利に働いただろう。