松本清張のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
敗者の物語。
収められている短編はそのような企画意図で集められたものと思われる。
どれも、意欲と才能ある者が貧しさや経歴の不備ゆえに辛酸をなめる孤独な物語。
主人公たちはみな地方から東京へ何らかのコンタクトをとる。最初は歓迎され、のちに反感を買い、疎まれ、自らの情熱に殉死するかのような最期を迎える。
物語の序盤に主人公たちが最初は歓迎され期待されるところは、清張の作家デビュー時と同じようなシチュエーションなのだ。
しかしながら今となっては清張は敗者ではない。この表題作のあと、超のつくベストセラーを量産して昭和の大人物となった。
それにしても、これほど同じ構図を持つ物語をいくつもつづったというこ -
Posted by ブクログ
解説を含むと文庫で699ページに渡る長編でありますが、
読み始めるとどんどん気になり、第二部はほぼ一気に読んでしまいました。
先日、三億円事件と黒い福音がドラマスペシャルで行われていて、
そこで気になった原作本。
ドラマでは、第一部がほぼ割愛され、ビートたけしさん演じる
刑事たちの視点がメインとなっていたので、
原作を読むとトルベック側の状況がよくわかりました。
宗教組織を守る、という一点で、その目的のためなら
麻薬の密輸までも行う。
トルベック神父、ルネ・ビリエ神父の欲望に負けて破戒の日々を
歩むのに、それをうまく自分のなかでごまかして、納得させて
悪事を働く姿を見て
宗教組織というものに -
Posted by ブクログ
彗星のごとく あらわれて、
彗星のごとく 消えていった 写楽。
歌麿の 優雅でなよなかな 浮世絵とくらべて、
どっしりした デフォルメ。
醜陋な 絵が インパクトを 現代には
与えるが、その当時は どうだったのだろうか。
江戸の文化の高さを感じさせる 浮世絵は
彗星の 絵師によって 衝撃を与えたに違いない。
しかし,商売的に 成り立ったのかは
よくわからない。
東洲斎写楽を 松本清張は 東西のシャレ と読み替える。
そして、それは 黴毒にかかっており、
ほんのわずかな きらめきで、
最初は 優れていたが 徐々に精細をなくしていく
その姿を浮き彫りにする。
謎が あれば 推理する。
しか