松本清張のレビュー一覧

  • 駅路

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    短編集として、次の作品が所収。
    「白い闇」「捜査圏外の条件」「ある小官僚の抹殺」「巻頭句の女」「駅路」「誤差」「万葉翡翠」「薄化粧の男」「偶数」「陸行水行」

    今なお、TVドラマでリバイバルされ続けている松本清張の短編作品。それだけ、どの短編も時代が移ろい変わっても、人間の情欲は不変ということが描かれているためか。
    最後の「陸行水行」は、考古学、邪馬台国論争の新説が興味深く描かれており、他の作品とか違った趣を感じる。こうした題材を取り上げるのも、松本清張ならでは。

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    2016年04月05日
  • 張込み―傑作短編集(五)―

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    松本清張の短編7編が収録。戦中・戦後・高度経済成長前の日本が舞台のためか、物価の違い、世相の暗さは、否めない。とはいえ、いまなおドラマ化される短編も収録されており、時代が変わっても、変わることのない人間の情愛・欲望が描かれている。

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    2016年03月31日
  • 聞かなかった場所

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    再読。巧い・・。再読。傷ついた主人公の自尊心は妄執を生み、疑念にとり憑かれる。その執着には復讐者の憎しみ(狂気)ほどの苛烈な高まりはないが、そんなところはむしろ人物像(苦労人でもある役人)に現実味をあたえている。ゆっくり対象を追いつめる主人公の心理にひきこまれた。後半部の展開も冴え、運命の歯車のゆっくりと回転するさまが巧妙に描かれている。追われる立場に陥った犯罪者の慄き(怯え)を描いては著者の独擅場である。主人公は破局を避けようと画策するもことごとく裏目に出る。最後の犯罪が露呈する(面が割れる)滑稽な場面(顛末)は秀逸。

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    2016年03月16日
  • 共犯者

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    短編となるとどうしても内容が薄く、登場人物に共感出来にくいが、本作はとても凝ったシュチュエーションと、結末がとても気になるストーリー展開でどの作品も楽しめる。
    作者は犯罪サスペンスの大家であり、初っ端の「共犯者」でやはりと思いつつ以後の作品を読むとそうでない作品もあり、そういった意味でも新鮮に読むことができた。
    「剥製」や「点」の様な奇妙な人物が出てくる話も楽しいが、「潜在光景」のような驚愕のラストが待ち受ける展開もいいですね。
    他の作品も読んでみたくなりました。

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    2016年02月29日
  • 或る「小倉日記」伝―傑作短編集(一)―

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    松本清張といえば、ミステリー作家といった印象が強いですが、実はミステリーばかりを書いた作家という訳ではない。そして、直木賞ではなく芥川賞受賞者だったということも、イメージと異なるような気がいたします。
    その芥川賞受賞作『或る「小倉日記』伝」をはじめとした短編が収録されいるのが本書。時代的な背景もあってか、どことなく暗いイメージが付きまとう作品が多いような気がしますが、それでもどの短編もドキッとさせられる結末。

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    2016年02月14日
  • 夜光の階段(下)

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    ドラマを見てからの小説読破。
    主な筋は同じだけど、ドラマと小説はまた違う味わいがある。
    小説のほうが面白いと感じた。

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    2016年01月29日
  • 憎悪の依頼

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    短編集。ずっとカバンの中に入れておいて他に読むものがない時に読んでたのをやっと読み終える。憎悪の依頼、手に入らないなら壊してしまえという気持ちはわかる。文字のない初登攀、大臣の恋、がよかった。

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    2015年11月26日
  • 虚線の下絵

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    松本清張、やっぱり面白い。
    が、解説の岩井志麻子もとてもよかった。そうそう!と思って解説を楽しみました。

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    2015年11月04日
  • 状況曲線(上)

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    状況曲線上巻は事件を通し、話の主となる登場人物が少しずつ絡みながら淡々と話が進んでいく。建設業界と政界、官公庁関連とのつながりの闇の部分が少しずつ出てくる。
    登場人物の心理状況はなかなか面白いが、淡々と話が進んでいくため、興味をそそられる部分にかけるところもあった。しかし、上巻の終わり方が非常に読み手の気持ちをくすぐるようになっているため、下巻での結末に期待が持てる。

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    2015年10月31日
  • 点と線

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    さくさく読めた。面白かった。最近練りに練った、まだるっこしい小説ばかり手に取っていたから、こうして「練ってはいるけど展開が早い」小説のほうが気楽に楽しめると再確認。

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    2015年10月27日
  • 張込み―傑作短編集(五)―

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    【張込み】【顔】【声】【地方紙を買う女】【鬼畜】【一年半待て】【投影】【カルネアデスの舟板】収録。

    映画化された【張込み】【顔】【鬼畜】他、松本清張初期の作品を新潮文庫にて再編成された短編集。
    どの作品もミステリー的な仕掛けや目を見張るトリックはありませんが、登場人物のディテールが徹底している為重厚な人間ドラマを堪能することが出来ます。
    その典型が【張込み】で、僅か20頁しかありませんが何とも言えない味わいが堪りません。
    【顔】はどんでん返し、【声】はアリバイ崩しも楽しめる秀作。その他【鬼畜】や【一年半待て】など粒揃いで読み応え十分です。

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    2015年09月09日
  • 西郷札―傑作短編集(三)―

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    2015.7.7
    松本清張初期の作品とのことだが、全くもって完成された小説である。
    人間の欲望に焦点をあてているが、読み心地はよい。それに加えて明治維新による時代の変化、その変化を利用しようとする欲望。
    核心をついた作品。

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    2015年07月09日
  • 陸行水行 別冊黒い画集2

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    箸休めミステリ短編4本。4本とも、エキセントリックな人物が主軸となっている。2作は普通に一人称目線なのに対し、残り2つは淡々と「有ったこと」を記述しており、捜査調書のようで面白い。

    最初の「形」が淡々とした事象の記述で特に面白く、行政や捜査の裏をかくクレーマーの話で、なかなか珍しいタイプの話ではないかと思う。ただ、オチはそこまでなくても良かったんだけど。

    対して表題作は、はじめミステリになるの?と心配になるような話だが、きちんと一人称視点になっているため、読者は興味の云々に関係なく引き込まれてしまう。その辺の面白さが清張の魅力だ。

    4つとも、ものすごくブレイクするような話でもないし、キャ

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    2015年06月11日
  • Dの複合

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    推理小説の巨匠、松本清張の長編推理小説。本作は、怨念による殺人事件に古代史を織り交ぜた、松本清張作品の代表作の一つですね。

    松本清張作品を読むのは『点と線』に次いで2作目なんですが、ストーリー重視である自分の好みにすごく合っていて、面白いことを再確認しました。
    これが、1968年に刊行された作品だなんて思えない。それくらい古くささや読みにくさを感じさせない作品です。

    松本清張らしく、密室トリックなどの謎解きではなく、「犯人は誰なんだろう、殺人の動機は何なんだろう」ということを、読者にハラハラ気にさせながら読ませる作品であり、もちろん推理小説なんですが、殺人事件の謎を追うサスペンス作品ですね

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    2015年06月06日
  • 事故 別冊黒い画集1

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    中編2作を収録した1冊。昭和なミステリの王道、浮気と世間体をテーマに、ドロドロした人間模様を描く、清張の真骨頂であります。

    1作目の「事故」は、今になってみているからかもしれないが、犯人もわかりやすく、告白風に解説するところは少々ダレる。

    面白いのは2作目「熱い空気」。加害者側の視点から、とある家庭を壊す過程を見ていく。こちらの作品のためだけに買ってもいい。出てくる人が全部悪人という、ハードボイルド真っ青な設定。調べると「家政婦は見た」の原作だったことが、帯に書かれていたらしい。

    まあ、清張は読みやすいよね。

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    2015年04月14日
  • 黒の様式

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    狭義のミステリーではない。
    そこはかとない恐ろしさを感じさせる短編集。
    笑気ガスは今はもう殆ど使われてないから時代を感じさせる。

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    2015年04月04日
  • 或る「小倉日記」伝―傑作短編集(一)―

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    「点と線」や「ゼロの焦点」とは違う清張作品。ミステリは「火の記憶」だけ。ただ、この「火の記憶」絶品でした。表題作の田上の運命は報われなさ過ぎて切なくなる。それと正反対な「断碑」。歯噛みするほど悔しいだろう「父系の指」とか、自身を投影させた作品が多く感じた。何れも暗くて好い。ていうか松本清張って「或る〜」で芥川賞受賞してたのを解説で知った。

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    2015年03月22日
  • 馬を売る女

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    殺人自体よりもその周辺のいろんなことがスリリングで面白い短~中篇集。

    タイトル作はなかなか殺されないし、他の作ではええ、この人が死ぬの?という意外性もあり。一番以外なのは、誰も死なない短編なんだけど、個人的にはそれがこの本の中では一番好きだな。

    どれもさすが清張という、シーンの背景や歴史から豆知識までをも網羅した取材と語彙の圧倒性が素晴らしいが、最後の歴史小説家は、清張本人がモデルじゃないのかねえ。個人的に、松本清張の歴史小説はあまり好きではないのだけど。

    どうでもいい話。「馬を売る女」で検索すると、TBSのサイトの検索で引っかかってくる文が、全くストーリーを誤読したものになっている(「

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    2015年02月17日
  • 証明

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    犯罪者の心理や捜査資料から殺人現場を描くタイプのミステリ短篇集。

    真の犯人を暴く、クラシカルなタイプの推理小説も含まれるのだが、犯人不詳として処理されかねない終わり方をする作品が怖くて面白い。

    表題作はドラマ化されたことで有名になったようだけれども、こちらはイマイチ。ワタクシ的には、新興宗教を舞台にした「密宗律仙教」が、清張の文献を調べたあとが見えるようでも有り面白かった。

    こういうのを読んじゃうと、最近の推理小説なんか子供だましだよなあと感じる。1冊に4~5篇で、そこに人間の嫌なところや社会背景の複雑さを、葛藤をぎゅっと詰め込める作家って、最近はいるのかねえ。

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    2015年01月24日
  • わるいやつら(上)

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    米倉涼子出演のドラマを先に見て、小説を後から読んだ。
    ドラマとは細かな部分が異なり、ラストも違っていた。

    欲深き男性の姿をうまく描いている。

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    2014年12月05日