松本清張のレビュー一覧
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短編3つ。1本目が死んだ姉と、やや薄気味悪い姉の旦那の話で、純文学なのかと思ったら、途中でいろんなパーツがパキーンとはまるミステリ。はまるまでの気持ち悪さのせいで、途中まではなかなか読み進められず。
あと2本はどんでん返しで、最初からミステリと解るので読みやすい。阿夫里村の話は、怪文書と供述調書とで本筋が語られる、かなりクラシックな手法だが、今読んでも全く古臭さを感じない。
もう一つは、最初から落ちがわかっている状態だが、事件性がないところに事件を作っていく。
1本目の薄気味悪さには嫌悪感を催す人も少なく無いだろうが、松本清張の安定した面白さが詰まった1冊だ。 -
Posted by ブクログ
表題作は昭和27年度の芥川賞を受賞
純文学にカテゴライズされ、芸術的な評価を受けたものだが
今にしてみれば「天城越え」の原型的作品であり
社会派ミステリーの嚆矢として、日本のホワイダニット…
高村薫や天童荒太、宮部みゆきあたりまで影響を及ぼしていることは
顧みられるべきだろう
どんなつまらない人間にも人生の物語がある
その点を掬い上げようとする方向性は、自然主義~プロレタリアに続く
日本近代文学の正統とも呼べるものだ
まあ、「市民ケーン」の焼き直しと言われればそれまでだが
その他には
経済事情などで進学をあきらめるしかなかった人々の
それでもなお学問への情熱たちきれず
必死に努力を重ねはするが
結局はその情熱が仇となって、同学者に恐れられ嫉妬され
疎外されて偏屈になり
誰にも理解されぬまま孤独に朽ちてゆく姿を書いた
そんなような短編ばかり集めている
低学歴を補うため渡仏して、おのれに箔をつけようともくろむ
在野研究者のありようは
あるいは、「破戒」や「新生」に書かれた藤村の独善を
非難するものなのかもしれない -
Posted by ブクログ
箸休めミステリ短編4本。4本とも、エキセントリックな人物が主軸となっている。2作は普通に一人称目線なのに対し、残り2つは淡々と「有ったこと」を記述しており、捜査調書のようで面白い。
最初の「形」が淡々とした事象の記述で特に面白く、行政や捜査の裏をかくクレーマーの話で、なかなか珍しいタイプの話ではないかと思う。ただ、オチはそこまでなくても良かったんだけど。
対して表題作は、はじめミステリになるの?と心配になるような話だが、きちんと一人称視点になっているため、読者は興味の云々に関係なく引き込まれてしまう。その辺の面白さが清張の魅力だ。
4つとも、ものすごくブレイクするような話でもないし、キャラクターが濃すぎて「そんな奴、おらんやろ」とつい突っ込みたくもなるが、十分異常に面白いのでオススメ。
特に、ボリューム的に電子書籍で読むと良いのではないかと思います。 -
Posted by ブクログ
推理小説の巨匠、松本清張の長編推理小説。本作は、怨念による殺人事件に古代史を織り交ぜた、松本清張作品の代表作の一つですね。
松本清張作品を読むのは『点と線』に次いで2作目なんですが、ストーリー重視である自分の好みにすごく合っていて、面白いことを再確認しました。
これが、1968年に刊行された作品だなんて思えない。それくらい古くささや読みにくさを感じさせない作品です。
松本清張らしく、密室トリックなどの謎解きではなく、「犯人は誰なんだろう、殺人の動機は何なんだろう」ということを、読者にハラハラ気にさせながら読ませる作品であり、もちろん推理小説なんですが、殺人事件の謎を追うサスペンス作品ですね。
間違いなく、火サスとか好きな人は面白く読めると思います。