あらすじ
武蔵野台地の一画で、多摩川を見下ろす城跡に私たちの高校はある。高校3年生の私の仲間で詩人ポーの心酔者で、クラスメイトや先生から愛されていた通称「ノッポ」が学校裏の沼で絞殺死体となって見つかった。彼の死をきっかけに学校の周りで不思議な出来事が続発する。はたして事件の真相とは――。清張作品では稀な青春推理小説で、瑞々しい感覚を放つ一作。
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高等学校は城山にあった。
この小説はこのように始まるが、この一文を見たのは小学校3年生のときである。公園で拾ったのがこの本だった。漢字はほとんどわからないのでストーリーもまったく理解できていなかったのだが、武蔵野の自然と、山にある防空壕あとの洞穴の描写に強烈な印象を受けた。
後にNHK少年ドラマで『赤い月』(小説の原題でもあるが)を見たとき、この小説のことを思い出した。
夏の昼間、ぜひ読んでみてください。高校時代を思い出しながら。途中で冷たいシャワーでも浴びて(そんな気分になる箇所があるのです)。
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松本清張唯一の青春推理小説、とのこと。ただ読んだ感じ、高校生が主役になっているだけで、世間一般的に言われている青春小説だと思って読むとちょっと違うなと感じてしまう。
舞台が武蔵野になっているのだけど、武蔵野を表面的に描くのではなく、多分自分の足で実際にその土地を歩いたんだろうなと思わせるところが所々あった。松本清張作品のこのリアリティがやっぱり好きだなと思う。
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読みやすかったです。
この著者の唯一の青春推理小説?
解説にはそう書かれていました
高校の友達が殺人事件に巻き込まれ
仲間が調べ歩くって内容
事件と事件解決はちょっと物足りなさも感じましたが
高校生へむけて書かれたものらしいです
Posted by ブクログ
これが初松本清張ってのはだいぶ邪道なんだろうか(汗)。
とにかく読みやすいのにびっくりした。
50年以上前に書かれたものとは思えない。
戦争に絡んだ描写が出てくることで、その都度認識するくらい。
今度は点と線にチャレンジだ。うん。
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相変わらずの絶妙なタッチで伏線の回収も見事。最後には不可思議な事象を一本の線で繋いでみせている。ランボーとボードレールの詩を活用することで不気味な雰囲気が醸し出されている。巧妙に仕組みが込められた一作品である。
Posted by ブクログ
松本清張の中では異類の作品。
謎解きと締めくくりのオチはかなり雑な感じがしますが、高校コースで約1年半かけて連載しただけあって、途中の過程の面白さがメインだと思います。
様々な事件と謎を散りばめるところに、中学生や高校生読者のウケを狙った作品だと思います。
また、事件を解決した主人公の従姉妹の存在をなぜ作る必要があったのかを考えてみるのも良いと思います。
そこに唯一のオチが隠されているような気がします。
終始描かれる夏の描写も神秘的です。
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松本清張、唯一の青春推理小説。
武蔵野の高校に通う主人公たちが同級生の死の真相を探るという作品。
序盤こそ学園ものといった印象だが、話が進むにつれ徐々に社会派の色が濃くなっていくので読み応えがある。
Posted by ブクログ
文庫、古本で購入。解説によると、1959年から1961年まで、高校生向け雑誌「高校上級コース」「高校コース」に掲載。清張には珍しい青春サスペンス唯一の作品。その割には、淡い恋愛などのストーリーはなく、事件の背景には戦争が関係している。
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高校生たちが主になり身近に起きた事件を明かしていく。松本清張氏といえば、サラリーマンが主になる小説というイメージが強いため、本作品を読むと著者の新鮮な面が見える様だ。
Posted by ブクログ
推理小説を作成する初心者向けの授業があったなら間違いなく教科書の一つとなる作品になるだろうと思ってしまった。
それほど、展開の起承転結や登場人物の設定など古典的な安心感のある内容だった。
陰鬱で妖しいポーの詩文をこよなく愛する高校生が鬱蒼とする沼で殺害されるところから始まるのだが、この詩文がある事により一気に怪しげな空気感が最後まで全編に整えられるのは見事だ。
さらに隣接する古びたお寺、そして何かしら意味深な住職たちが登場し、やがて担任の先生は行方不明になり、さらなる殺人事件が起こるのだが結末はさすが松本清張である。