松本清張のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ストーリーテラーという言葉は松本清張のためにあるのではないかと痛感した作品。中でもこの作品はエンターテイメント性に優れ、今ではサスペンスドラマの定番になった「断崖」のシーンもこの小説の影響では、と思わせます。タイトルの「連環」は環をつなぐように嘘を積み重ねていった主人公が最後に自分の首に環をかけることになる、ということでしょか?
どんでん返しにさらにオチがついて一ひねりしてある小粋さ。情事の場面を多用していても、純文学のカテゴリに入っても充分なほどの豊かな表現力が作品の質を高めています。
ミステリを再読することは愚かなことかもしれませんが、私は清張作品は、時を経て再読してしても面白さは失わない -
Posted by ブクログ
清張らしい暗くてじめじめしてて卑屈な話。
冒頭は上杉家の内紛を書いていて一瞬歴史小説かと思いますが、
第二章からじめじめ現代モードに入ります。
山内上杉の末裔で、幾社も会社を経営している山内家に婿養子に入った男の話。
書いてしまうとネタバレしてしまうので書きませんが、とにかく暗い!
恋愛結婚で婿養子となった善朗の妻・定子は有能すぎる経営者。
比べて善朗自身はどちらかというと無能力者。
定子がチャンスを与えてもものにできず、ダメにしてしまう男で、
日々妻から冷たい仕打ちを受けています。
これだけでも清張満載なんですが、小説はどんどん泥沼へ。
清張の常として美男美女は相変わらず出てきません。
面白 -
Posted by ブクログ
「点と線」で推理小説作家としての注目を集めた松本清張が次に送り出した作品。
「大衆作家=松本清張」として巧いと感じるのは、導入部分。大企業の経理課長が単純な手口で手形をだまし取られ、自殺へと導かれる。そして、課長の敵討ちへと立ち上がる部下の主人公。この部分だけで重厚な短編小説ができそうだ。
このリアルな導入部分があり、一気に先を読んでしまおうという気にさせる。小説を読ませようとする、ベストセラー作家の高等テクニックだ。
物語の導入部分で観衆を引きつけることは、時代を経ても、その物語の完成度に重要だ。
と、導入部分に感動したけど、ぶっちゃけ、「眼の壁」は導入部分が一番おもしろい。