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紅い白描
葛山正太郎は葛山産業美術研究所で商業美術を営む。原野葉子は葛山に学ぶべく希望を持ってこの研究所に入る。葛山の作品はその独創性が世界的な評判となっていった。葉子は葛山作品の芸術性、芸術家としての彼には賛同するのだが、商業主義にはしる彼の別の面が見えてくる。この相反する二面性に対する疑問が尽きない。
葉子はあるとき葛山が接したらしい少年ヒロシと知り合う。ヒロシは知能が遅れているらしい。ヒロシに興味を持った葉子は、ヒロシについて調べ始めると、背後に葛山の影が察知されてくる。
Posted by ブクログ
矛盾した様なタイトル。デザイン盗用疑惑を新卒の女子デザイナーが追求していく話。昨今(2022年頃)もデザイン類似性というか絵のトレース疑惑で古塔つみ氏のイラストが大問題になったが目の付け所がさすが巨匠というべき先見性である。『真贋の森』同様にアートミステリーなので殺人はないが却って作品が陳腐にならなかった様にも思える。
この作品に限ってたことでもないが主人公の調査、人脈、コミニュケーション、推理の各能力の高さに「あんた、デザイナーじゃなくてもやっていけるよ!」とツッコミたくなった。
女体を狙う輩、児童虐待する輩等クズも多いがマトモな人も多いのが救い。何より「犯人」の潔さは清々しく感じられ現代の面の厚い輩に読ませたい本でもある。
Posted by ブクログ
若い女性から
会社の偉い人や経営者とその時代の寵児を見つめた時に
人間的な潔癖さを求めるという視点で 人間性を疑う。
翳った旋舞においても 同じような手法だった。
『芸術はニンゲンが生み出すものだ。
その芸術がすばらしかったら、人格的にもすばらしいに違いない。
ニンゲンと芸術とが 背反することがあるだろうか』114ページ
俗物が 創造性を生み出すのか?とも 問いかける。
さらに ビジネスが 関連してくる。
芸術とビジネスが ぶつかる。
積極的に売り込むこと(商魂)に嫌悪を感じる。
芸術家は商魂をもつべきではない。
クライアントの理不尽な要求にどう対応するのか?
俗っぽいニンゲンに描くことで
若い女性の眼から みた ニンゲン批判をする。
松本清張の手法って、意外と 頑固で、潔癖性なんですね。
『結局、才能というものはちゃんとどこかにあるんだけど、それを引き出してくれる外的な何かが予見できないということですわね。その作家自身にも前もって見当のつかない何かですね。』221ページ
才能がどこで開花するのか?突然変異なのか?
連続性の中の非連続性。
『ぼくだってあの画風は尊敬しているよ。ただ、尊敬できないのは、葛山さんの人間的な面だな。しかし、芸術は人間を考えないでいいのかもしれないね。作品だけが勝負だから、そういう点にしぼれば、葛山先生を尊敬していいと思う。』245ページ
ニンゲンが 矛盾をもった存在であることをみとめない。
葛山の創作の源泉は、どこにあったのか。
その独特の作風は 今までにないものだった。
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