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飛鳥の酒船石は、7世紀、イラン人たちの薬酒製造施設である、とする大胆な意見をはじめ、市井に埋もれた研究家の活躍にまで及ぶ、作家ならではの、古代史研究余語。古代史ブームに一石を投じた名著『清張通史』全6巻を遺して逝った筆者が、5年にわたり書きつづったコラム49編。東から西へ、文化交流の足跡をさかのぼる、名随筆。古代史の謎に挑んだ、清張史観の精髄。古代史のアカデミズムに挑む、大胆な仮説、そして精緻な論証!
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Posted by ブクログ
古本で購入。 古代史に並々ならぬ関心を抱いていた松本清張が、講談社の雑誌「本」に連載した随筆をまとめたもの。 1つ3ページほど、約50回が収録されている。 内容的に大きなウェイトを占めているのは、「イラン文化的要素の渡来」というテーマ。 清張は古代ペルシアの文様の特徴である図柄の左右対称・聖樹・...続きを読む動物・三日月・リボン・ハート形・ローゼット、二面一躯様式の石造物などの影響が日本に及んでいること、あるいは飛鳥の石造物から、イラン系胡人が飛鳥にいたことを推測する。 個人的に古代史にそれほどの興味はないのだが、遥か西方の文化が万里を超えて日本にやってきたという話には何かワクワクせざるを得ないものがある。 例えば日本の仏像の宝冠に付いた円形を載せた新月(三日月)の飾りはササン朝ペルシアの影響だが、更に遡ればエジプトに至るという。曰くエジプトでは羊が神聖視され、壁画に描かれた女神は羊の角の上に太陽を載せている。つまり宝冠飾りの祖形たるササン朝ペルシアの宝冠飾りは、日月ではなく単純化された羊の角と太陽だった、と言うのだ。 他にも古墳壁画とエジプト壁画の相似など、古代の東西の交流を思わせるくだりは興味深い。 「作家」ではなく「古代史家」としての松本清張の一端を知りたくて読んでみたが、なかなかおもしろかった。 如何せん古い本(昭和51~55連載)なので、ここに書かれた清張の主張が現在どれほどの価値を持っているかはわからないが、その当否を知りたいところ。 ほとんど学校教育を受けなかった人間の、独学の凄まじさが垣間見られる本でもある。
「万二千里」の虚妄:長大な距離の象徴化なのである 記・紀の関係:私の結論を先に言えば、記も紀も同じ修史局で作られたと考えるものである
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