松本清張のレビュー一覧

  • 霧の旗

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    後味は悪い。誰も、そう誰も幸せになってない。というか不幸だ・・・。
    でも桐子の生き方が潔過ぎて、なぜか共感してしまう。
    ちょうど「検察側の罪人」読んだ後だけど、「検察側」の後味に悪さには憤りを覚えるのに、全くこの作品には憤りを覚えなかった。
    なんだろう・・・本来は憎むべき犯人なんだろうけど、犯人の人となりがほとんど出てこないから、なのかな・・・。

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    2013年12月22日
  • 聞かなかった場所

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    ネタバレ

    妻が突然の事故で亡くなった。
    行動範囲の狭かった妻の、亡くなった場所は
    夫の知らない場所だった。
    妻の行動に疑問を抱いた夫が捜査を始める。



    おもしろかった。ミイラ取りがミイラになるお話。
    なんとかして罪から逃れようとする様が
    息苦しいほどにリアルだった。

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    2013年12月22日
  • 黒い福音

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    社会派松本清張の憤怒がこの作品を生み出した。

    50年前の日本人スチュワーデス殺人事件を扱った本書は

    終戦後の日本の国際的地位の低さと

    勝戦国から流入した、人、物、金、そして思想がいかに敗戦国である日本に影響を及ぼしたのか、教えてくれる。

    清張の取材力と、原動力となった怒りが、本書を映えさせている。

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    2013年12月07日
  • 無宿人別帳

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    新潮文庫「親不孝長屋」の「左の腕」を読んだのを機に、これが収録された元本に手を伸ばした。筆力はさすがだが、1957年「オール讀物」に連載された10の短編集で、載せた順番も考慮されているように感じた。「流人騒ぎ」が良い。13.10.12

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    2013年10月12日
  • 歪んだ複写―税務署殺人事件―

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    今も昔もある汚職への怒りよりも、新聞記者の執念に圧倒される。
    普通ならば事情通なあの人物が主役になるところを新聞記者の執念をクローズアップしているところが松本清張イズム。

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    2013年10月10日
  • 山峡の章

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    FMラジオで城之内ミサが絶賛していたので読んでみた。「氷の灯火」改題。作並温泉近くで下級官僚と女性の情死事件が発生。主人公の夫と彼女の妹だった。不審に思った主人公が、事件の深層に迫る。文章、ストーリーだてが上手い。13.9.15

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    2013年09月15日
  • 数の風景

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    松本清張は 巨匠である。
    様々な知識を駆使する。
    数の名前のある地域。なぜ その名前に 数がついたのか。
    数マニア。キク女は すらりとして プロポーションもよく
    俳句か短歌を詠ずる人かと思われたが。
    ウィーンの学会にも出る という 大学の先生だった。
    彼女が 解き明かしたことが、事件が発覚するのだった。

    矢部は 雪深い 断魚荘で、自殺することを考えていた。
    矢部は 様々な事業を企て 不動産で失敗し多額の負債を抱えていた。
    矢部は 画家だといって、断魚荘に泊まっていた。
    設計士の板垣は 石見銀山の観光開発のための地元の人から呼ばれていた。
    同じ宿に泊まり、キク女もおなじように 泊まったのだった

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    2018年03月05日
  • 時間の習俗

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    『点と線』の名コンビ三原警部補と鳥飼老刑事が試行錯誤を繰返しながら巧妙なトリックを解明してゆく本格推理長編。

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    2013年08月26日
  • 告訴せず~松本清張プレミアム・ミステリー~

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    風采の上がらない中年男が選挙の裏金を持ち逃げした。
    告訴されることのないその金を資本に投資をし、儲けた金で人生をやり直そうと目論む。
    政治資金のからくりや小豆相場の駆け引きといった社会派な要素に農作物の出来高を占う神事という古典を絡めているのが面白く、主人公とともにひたひたと迫るスリルを味わうことができた。

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    2013年08月23日
  • わるいやつら(下)

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    上巻はやや退屈で星3つなのだけど、下巻でぐっと面白くなった。
    「わるいやつら」とはよくつけたもので、主人公戸谷のことをひたすら
    「悪いやっちゃな〜」と思いつつ読んでいたが、後半徐々に彼が破局に向かっていく時にはなぜか彼が可哀想になってしまった…笑。あまり男女の愛憎が絡んだ話は好きではないが、さすが松本清張、とても楽しめた。

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    2013年08月19日
  • 古代史私注

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    古本で購入。

    古代史に並々ならぬ関心を抱いていた松本清張が、講談社の雑誌「本」に連載した随筆をまとめたもの。
    1つ3ページほど、約50回が収録されている。

    内容的に大きなウェイトを占めているのは、「イラン文化的要素の渡来」というテーマ。
    清張は古代ペルシアの文様の特徴である図柄の左右対称・聖樹・動物・三日月・リボン・ハート形・ローゼット、二面一躯様式の石造物などの影響が日本に及んでいること、あるいは飛鳥の石造物から、イラン系胡人が飛鳥にいたことを推測する。

    個人的に古代史にそれほどの興味はないのだが、遥か西方の文化が万里を超えて日本にやってきたという話には何かワクワクせざるを得ないもの

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    2013年08月16日
  • 虚線の下絵

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    与えられた生、虚線の下絵、通過する客、首相官邸、4編を収録。

    二・二六事件を扱った「首相官邸」以外は女性の不倫もの。
    「通過する客」が推理小説として一番面白かった。
    「首相官邸」は難しかったが、大半の兵士は真相を知らずに上官の命に従ってクーデターに参加したことが痛ましい。

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    2013年07月29日
  • 十万分の一の偶然

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    他の作品同様に昭和の雰囲気を感じられるところが面白い。同じ日本だから舞台設定がよく分かる一方でどこか外国の話のような印象も受ける。

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    2013年07月16日
  • 蒼ざめた礼服

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    ネタバレ

    そんなに期待せず、久しぶりに松本清張の本を読みたくなったから読んだけど、面白かった~~。
    さすが清張殿。

    主人公の片山が数日前に何気なくかった古雑誌を『譲ってほしい』と新聞の投書で読んだことがこの話の始まりで、「なんでその雑誌をそんなに欲しいのか」という疑問を模索していく間に、殺人が起こり、さらに疑惑が深まっていく。

    次々に起こる事件や出来事が繋がりそうで繋がらない。
    でも、こういうミステリーは清張殿ならではですな~。政治的背景も織り込んでいくとは、さすが。

    もちろん時代は戦後何年か経っての古い話で、「コピー」がまだオフィスにも普及されてない時代だけど、でも、そんな古さも気にならなく読め

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    2013年07月07日
  • 蒼い描点

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    長かったー。

    松本清張の作品で、女の人が主人公なのはあんまり読んだことがなかったので、ちょっと新鮮でした。
    事件の流れももちろんはらはらだったけど、ちょいちょい挟まる恋心も、読んでてどきどき!

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    2013年07月05日
  • 西郷札―傑作短編集(三)―

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    こちらに収められている『くるま宿』という作品がとても好き。

    時代劇といっても明治維新後が舞台。主もちではない人力車車夫の話。ごろつきめいた車夫が多い中、少し年をとっていて寡黙で穏やかな車夫がおりまして、ある車夫どうしの喧嘩を鮮やかに仲裁したことから、彼の素性が知れます。

    維新で貧に耐えながら武士らしく筋を通している男と、維新後の新しい世の中になんとなく乗っかった男の後ろめたさがテーマなのかなぁ。

    小品ですが、武士ってつらいねと、じんわりと感動。

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    2013年07月05日
  • 証明

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    中編集。
    「証明」「新開地の事件」「密宗律仙教」「留守宅の事件」

    「密宗律仙教」は新興宗教もの。淡々と書かれているがユーモアというか皮肉か、面白かった。

    動機は色と金、日本の女性って案外貞操観念の薄いのか。

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    2014年01月25日
  • 或る「小倉日記」伝―傑作短編集(一)―

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    人間の辛さ(からさ)、人生の辛さ(つらさ)が、しみじみと身に染みる。しかし、そこがいい。

    松本清張は10代の頃に『点と線』と、あとアンソロジーに収録されているものをいくつか読んだだけだった。今になってこの短編集を読んで驚く。面白い。10代に読んだ時よりも、格段に面白いと思ったのだ。

    嫉妬、愛憎、自負、そして劣等……
    すさまじいエネルギーである。けれど、その根本にあるのは一個の人間の脆さ、いっそ儚いほどに切ない人間の等身大のちっぽけさである。
    ガリガリの自負心≒虚栄心を描いたものは私自身、身に覚えがありすぎるだけに読んでいてとても辛く、ああ、自分はこういうものにもっとも「痛み」を感じるのか、

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    2013年06月28日
  • 時間の習俗

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    完璧なアリバイが徐々に崩れていく過程が純粋に面白い。特にはっきりとした動機もない容疑者を、そこまで執拗に追いつめるものかという疑問がなきにしもあらずだったのだが、最後容疑者が犯人と確定した時には拍手をしたい気分になった。やはり正当派ミステリーというのは読んでいて気持ちがいい!

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    2013年06月15日
  • 状況曲線(下)

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    トリックの突飛さが面白い作品で、松本清張によくあるいわゆるドロドロした人間ドラマとは毛色が違う、どちらかというと普通の推理小説です。ただ、建設業界の談合という題材は、読み応えあります。

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    2013年06月09日