松本清張のレビュー一覧

  • 点と線

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    国内ミステリ作家として避けては通れない松本清張に触れてみよう、ということで手に取った一冊。
    松本清張といえばドラマ「黒革の手帖」の印象が強く(見ていたわけではありませんが)、そして社会派ミステリを確立させた一人として、大好きな宮部みゆきさんに通ずるところがあるのでお手並み拝見の気持ちで読みました。

    登場するのは、”ザ・靴底を減らして歩く刑事”。
    そして昭和32年の発表ということで、東京から福岡まで一日がかりの移動が描かれており、改めて現在の交通網がいかに発展したものかとしみじみ。
    ……でも、飛行機の可能性を考えないのはいかがなものなのか?!
    当時の交通事情に詳しくないので、(ああ飛行機は登場

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    2024年12月30日
  • ゼロの焦点

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    ネタバレ

    この物語が評価されたのは謎そのものではなく、もはや戦後ではないと言われた時代の暗黙の了解を、闇に葬らないように、サスペンス仕立てで書き表したことにあると思う。

    米兵の夜の相手を勤めた女性たちの哀しさ。まとわりつく侮蔑の目。どんなに拭い去りたくて、幸せになりたかったか。
    殺人事件までは起こさなくてもこの思いが分かる人、または身近な人がそうなのではないかと思っている人、他人事ではなく我が事として受け止めていたからこそ多くの人に読まれたんだろう。

    戦後の雰囲気を色濃く反映しているは任侠映画とかなのかなと思うが、そう言う派手なものばかりじゃなくて、沈黙されたものにも目を向けないといけないなと思う。

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    2024年12月30日
  • 黒革の手帖(下)

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    ほー、こういうリベンジで進んでいきますか。エンターテイメントの読み物として面白いと思う。
    古いとかいう評価もちらっと聞いておりましたが、むしろ現在性が際立っている気がする。目下の事件がそれを体現してます、要するにカネにまつわる蠢きは何ら変わることはないという。

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    2024年12月29日
  • 黒革の手帖(上)

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    ★評価は再読後に。
    目下騒ぎの事件みたい、という話を聞いて改めて手に取る。まったく内容覚えていない。。。
    いつものことだからさておき、すらすらと読める。
    そして驚愕するのはおそらく本質的に今の事件は昔とまったく変わらない事態だということ。そこに目を付けた作家、恐るべしではありますが、現実も恐るべし。
    まぁカネ絡みの欲望は古今東西、何ら変わることがないという単純明快なことと言えばそれまでですが。

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    2024年12月24日
  • 小説帝銀事件 新装版

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    戦後の日本を舞台とした凶悪犯罪。読み進めていくうちに明らかに犯人の人物像とは違う人が犯人に仕立て上げられているなと思いながら読んでいたら当時は自白重点主義といい被疑者がやりましたと言えば犯罪立証という今生きている私からすれば恐ろしい時代だったことがわかった。
    それは確かにそれっぽい証拠に主観を立てて問い詰めていけば段々と被疑者もやっていおうがやっていまいが追い詰められていく。犯行につながるものに対する主観はあったが確実に結びつく証拠ではない、でも犯行を自白したらそれで立証される。
    大衆の声も被疑者の考えも刷り込みや決めつけ、大きな力をもつものからの圧力でどうにでもなってしまう。それは時代が変わ

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    2024年12月23日
  • 砂の器(下)

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    良く練られたトリックですが、現実にあり得るのでしょうか…?
    途中途中、話が複雑になってきたかな、と思った辺りで、他の人に説明する形でおさらいしてくれるのは有り難かったです。
    会話や描写に時代を感じますね。

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    2024年12月23日
  • ゼロの焦点

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    ゼロの焦点
    松本 清張 (著)

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    ### あらすじ
    自殺した夫には、妻も知らないもう一つの名があった──。
    『点と線』と並び称される松本清張初期の代表作。
    広告代理店に勤める鵜原憲一と結婚した禎子は、新婚旅行から帰って間もなく金沢に旅立った夫が戻らないことを不審に思い、自ら金沢へ向かう。そこで彼女は、夫の隠された過去と戦後の混乱が招いた悲劇に直面する。北陸の灰色の空の下で繰り広げられる心理描写と緊迫感あふれる展開が、読み手に深い余韻を残す。

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    ### 感想
    松本清張さんの作品を初めて手に取りました。名前や代表作については以前から知っていましたが、原作を読

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    2024年12月21日
  • ゼロの焦点

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    ネタバレ

    一気に読めてしまう没入感はあれど、読破の爽快感があまりなく肩透かしをくらった。
    誰しも秘密にしたい事はあれど、最初から隠さず向き合っていたら誰も死なずに済んだのにとか思ってしまう。
    特に本多の死がよくわからん。
    こんな人もいるよねーってくらいで、好みではなかった。
    でも途中でやめずに読める。
    不思議。
    だから星3つ。

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    2024年12月18日
  • ゼロの焦点

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    Audibleにて。
    初読み松本清張。

    交際期間ゼロ、お見合い結婚後すぐに夫が失踪してしまう。
    実質数日間しか一緒にいない、まだよく素性も知らない夫のために妻はよくここまでやるなぁと思ってしまい、登場人物の誰にも感情移入できず。

    昔の火曜サスペンスドラマを観ているような感じだった。断崖絶壁も出てくるし。
    面白かったけど残念ながら自分の好きなタイプではなかった。

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    2024年12月16日
  • ゼロの焦点

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    禎子さん、新婚なのに夫が行方不明になって可哀想だな〜悲劇のヒロインか〜と思っていたら、まさかのそのまま探偵役。うぉ、かっけ〜!!!
    トリックどうこうというか、「松本清張、文章上手すぎ」と思いながら楽しく読んだ。
    いやもうほんとに松本清張、文章上手すぎ。

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    2024年12月12日
  • ゼロの焦点

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     やはり松本清張の推理小説はリアリズムがあるので、サスペンスを楽しめる。オーディブルで聴いたのだが、大昔に読んだ記憶が蘇るのでとても良かった。北陸の裏寂しい情景を描くのが上手いと思う。

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    2024年12月12日
  • なぜ「星図」が開いていたか―初期ミステリ傑作集―(新潮文庫)

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    初期のキレッキレ時代の松本清張短編集。表題作を含め8編収録。短編ミステリーの契機となった張込みなど社会の問題や何故?が渦巻く昭和の世界観にどっぷり浸かる。やはり清張作品はホワイダニットがテーマになってくる作品が多く、その中でも何故か予定を変更して東北の地で変死を遂げた市長の死の真相を追う「市長死す」は面白かった。意外性に富み見せ方が素晴らしい。不思議な読み口が広がる「顔」や「共犯者」もよかった。

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    2024年12月03日
  • 点と線

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    完璧だけど、作為的で不自然なアリバイを、パズルのピースをひとつひとつはめて行くような推理で、最後ピタっとあうところが気持ちいい

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    2024年12月02日
  • ゼロの焦点

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    ラピュタの久我美子特集、そこで「ゼロの焦点」(1961)が上映される。

    清張か。映画も未見だが、小説も未読。
    上映までには、まだ間がある。
    先に小説を読んでみるか。。。

    ゼロの焦点

    いやあ、初松本清張だ。
    なんか、うれしい。

    200頁くらいまでは、夫の失踪の話だけなので、いささか苦しい....
    そのあとに、第一の殺人が起こる。
    そこからは一気呵成に読ませる。

    犯人、全然わからんね。そう、きたかー

    清張って、1909年(明治42年)生まれ。
    あの太宰治と同じ年の生まれ。

    太宰はそこそこ読んだけれど、清張はまったく....

    いい機会だ。清張作品、また読みたい。

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    2024年11月27日
  • 黒革の手帖(下)

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    元子のような生き方が最後まで上手くいくはずがないので後半の展開、特に首謀者はなぜ気がつかないのか不思議なくらい予想通りでした。
    ただ、最後の最後でもう一発ちょっとしたどんでん返しがあるだろうと期待していたのですが、別の意味でのサプライズできれいに幕を閉じました。
    ともあれ、昭和の空気をたっぷり感じることができて良かったです。

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    2024年11月23日
  • 天才画の女

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    新人の天才画家の絵のルーツをめぐるお話。話の進み方はスラスラと読め、展開も掴みやすい。特に最後の展開は今まで散りばめていた伏線や疑問を一つの道にしており、読後感もよかった。ただ自分自身に絵の知識がないため、美術のワードが難しくて、そこは読むのに苦労した。

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    2024年11月17日
  • 葦の浮船 新装版

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    ネタバレ

    小関は良い奴。
    折戸は、いるよねこういう奴でも因果応報喰らってほしかったなぁ…!!

    近村達子は正しい意味で賢い女性だったが、笠原幸子は恋が絡むと盲目になる性質だった。「分かってはいるけど嫌いになれない」みたいなね。もっとちゃんと旦那さん相手に真摯に向き合えば宜しかったのだ。

    今の時代ならSNSやらなにやらで大炎上して折戸も教授から降りることになっただろうが、当時はうまくもみ消すことができたんだろう。
    とはいえ、今も大学のアカデミアにはこの頃のニオイが残っているよなぁ。

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    2024年11月15日
  • 軍師の境遇 新装版

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    NHK大河「軍師官兵衛」そのまんま。いやもう、カッコ良すぎる黒田官兵衛。秀吉も嫉妬するほどの才知、先を読む洞察力、判断力。秀吉の猜疑を感じて早々に出家し、黒田如水と改名したぐらいだ。それほどの頭と男気がありながら、自分を死ぬ寸前まで追いやった憎むべき城主を許し、最期まで家老と城主という立場を守り続けたこの忠誠心。しびれるな〜。蹴られても殴られてもご主人様を慕う忠犬のようだ。このダメダメ城主は御着の小寺政職(まさもと)、大河では鶴太郎が演じた。申し訳ないけどこのダメ城主と赤っ鼻の鶴ちゃんが重なってしまう。小寺のために息子を人質に差し出し、小寺のせいで何年もの間土牢で過ごし「ちんば」になってしまっ

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    2024年10月27日
  • 弱気の蟲~松本清張プレミアム・ミステリー~

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    「二つの声」:野鳥観察と、粋な俳句・・集まるおっさん連中の顔が剥がれていく。
    清張の俳句の技に意外性。

    「弱気の蟲」:キャリアの下で腐って行って腐廃下化の様な小役人。下手なくせに、ちょいと女に色気を感じて、ずるずる。かけマージャンの落ちていく先は女でもわかるだけに、読みつつもう嫌で嫌で、うんざり。
    街であったら、つばでも吐きたくなるようナ・・まさに虫3匹・・ごみのような男の顛末記。

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    2024年10月25日
  • 黒地の絵―傑作短編集(二)―

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    恥ずかしながら初清張。
    社会派で、巨悪を糾弾する!みたいなイメージを勝手に持っていたけど、なかなかどうして愛憎ドロドロ。
    登場人物の情の深さ以外は、時代を感じさせない文章と展開で引き込まれる。
    普通の人の普通の日常に潜む深い落とし穴、怖いね。

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    2024年10月24日