松本清張のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「Dの複合」に続き、再び松本清張作品の「影の地帯」を読んでみた。
新進カメラマンの田代利介が九州での取材旅行の帰途、飛行機の中で若い女性と同伴者の小太りな男と偶然出会う。この単なる偶然な出会いが思わぬ展開を見せていく。
田代の行き付けのバーのマダムが失踪してしまい他殺体として発見される。田代は情報を求め動き回るが、その立ち寄り先に若い女性と小太りな男が現れる。最初は単なる偶然だったものが、田代が核心に近づくにしたがい意図的なものへと変化していく。そして、バーのマダムの失踪と時期を同じくして、大物政治家も行方不明となる事件が発生する。この事件も時期が偶然だったものが、次第に関連性が見 -
Posted by ブクログ
作者には少し珍しい時代小説の短編集です。
ただ、読んでみると時代が変わっても人間の欲や嫉妬、打算は変わらないのだと感じさせられ、むしろ清張らしさが強く出ているように思いました。
表題作では、理不尽に佐渡へ送られた男が地獄のような環境で生きる姿が描かれますが、読んでいてとにかく重く、簡単には救われないところが印象に残りました。
ほかの作品も、権力のある側ではなく、時代に翻弄される人たちの感情が中心に描かれていて、そこに妙な生々しさがあります。
昔の話なのに人間の弱さや身勝手さが今とほとんど変わらないことに少し怖さを感じました。
派手さはありませんが、読み終えた後にじわじわ重さが残る短編集でした。 -
購入済み
紅い白描
葛山正太郎は葛山産業美術研究所で商業美術を営む。原野葉子は葛山に学ぶべく希望を持ってこの研究所に入る。葛山の作品はその独創性が世界的な評判となっていった。葉子は葛山作品の芸術性、芸術家としての彼には賛同するのだが、商業主義にはしる彼の別の面が見えてくる。この相反する二面性に対する疑問が尽きない。
葉子はあるとき葛山が接したらしい少年ヒロシと知り合う。ヒロシは知能が遅れているらしい。ヒロシに興味を持った葉子は、ヒロシについて調べ始めると、背後に葛山の影が察知されてくる。 -
Posted by ブクログ
ずっと気になっていた作品を漸く読んだ。
犯人がどちらなのかわからないミスリードが巧妙過ぎて最後まで錯乱させられていた。空港の華々しいシーンから一転して犯人が逮捕されるシーンの静かな幕引き、偽りで作られた脆い仮面、砂の器が崩れおちるような物悲しさ。読み終えてタイトルの意味をやっと理解し、思わず膝を打った。
犯行動機は自身の過去が明るみになり、これまで築き上げた立場が危うくなることを危惧しての殺人ということだったが、個人的には幼少期にたった一人の家族である父親から無理やり引き離され、天涯孤独になってしまったその原因を作った相手への怨みもあるのではないかと感じた。小説には、親子関係がどうであったか