松本清張のレビュー一覧
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塗られた本 松本清張(著)
松本清張を読み返して、ずいぶん私の中の価値観が、
変わっていたことに気がついた。
松本清張を社会派と呼ばれていたことの意味が、
やっと分かったような気がした。
ピュアーな気持ち、純粋な気持ちを大切にするものを、
主人公に据えることで、社会の汚濁、人物の低俗さを、
浮かび上がらせることに、主題をおいた。
多分、若かりし頃の社会と大人というものに対する
私の見方もそんな風だったのだろう。
松本清張は、ピュアーで、ロマンチストだった。
今読むと、松本清張の手法であり、何と無く、
胡散臭さを感じるのである。
小さな出版会社を立ち上げた 美也子。
水商売から、純 -
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若い女性から
会社の偉い人や経営者とその時代の寵児を見つめた時に
人間的な潔癖さを求めるという視点で 人間性を疑う。
翳った旋舞においても 同じような手法だった。
『芸術はニンゲンが生み出すものだ。
その芸術がすばらしかったら、人格的にもすばらしいに違いない。
ニンゲンと芸術とが 背反することがあるだろうか』114ページ
俗物が 創造性を生み出すのか?とも 問いかける。
さらに ビジネスが 関連してくる。
芸術とビジネスが ぶつかる。
積極的に売り込むこと(商魂)に嫌悪を感じる。
芸術家は商魂をもつべきではない。
クライアントの理不尽な要求にどう対応するのか?
俗っぽいニンゲンに描くこと -
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三沢順子は 新聞社の資料調査部に 配属された。
地味な仕事であるが、重要な仕事だ。
(今では、インターネットがありこの作業は少なくなっているはずだ。)人物の写真を間違えることで、会社に激震が走る。
部長は世渡り上手で 腰掛け。
次長は麻雀、競馬、競輪にでかけてしまう。
新聞社は余裕があったのか緩んでいた。
川北編集局長が 弛みを一掃するような懲罰人事をおこなう。
順子はいたたまれなくて 辞表を出そうとすることから、
人生の変化が始まる。
真佐子は順子の高校時代の友達で、銀座の一流クラブのホステス。
人のあしらい方がうまく、一流と言われる人たちとの付き合いがある。
江木郁子は会社の電話交換手。 -
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古本で購入。
松本清張が写楽の正体についての考察を披瀝した講演を収めた本。
いつどこで開催された、何の講演会なのか、明記されていないのは何なんだ。
写楽の正体については諸説紛々である。
曰く、阿波侯お抱えの能役者斎藤十郎兵衛である。いや阿波侯屋敷にいた蒔絵の下絵師だ、白川家門人の片山写楽だ、版元の蔦屋重三郎こそ写楽その人だ…
まさに「謎の浮世絵師」に相応しい。
清張はこれらの説を様々な論証をもって否定する。
そして「思いつき」として語るのが、「写楽=精神病者説」である。
写楽の絵の特徴たるデフォルメは実は絵師本人にとっての正常、つまり視神経の狂いから生じたものだと言う。
清張による写楽 -
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初めて読んだ松本清張。
何となく関係性は仄めかされるものの関連性が不明確な事件や自称がひとつになっていく感じは、一部が重なりあっているいくつかの円がひとつに重なっていくような感じ。
宮部みゆきの、関係なさそうな点的事件がひとつの線で結ばれていく感じとはまた違って、自分の推理をしながら読むことができた。
初めて読んだのもあったが、物語に没頭するまでの時間がかかったのが難点。
この没頭するまでの時間をエンジンがかかるまでの時間と表現すると、なるほど知らない作者の本を読むのは「本当にエンジンがかかるかなあ」という車に対する不安と同一視できるのかな。
でも、エンジンがかかってからの颯爽感を感じさせる -
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90年代に刊行された作品の割に、ちょっと読みにくい。日本史のエピソードが筋に絡んでるので、戦国武将の時代の話をすいすい読めるような人じゃないと、ちょっと行き詰まると思います。
読み終えてトリックを考えてみるとタイトルは非常に巧妙ですし、伏線も綺麗にきっちり回収されていって、最後にきちんと集約されてます。ただ、素人探偵役の人の動きに対して、警察がこんなに敏感に反応するかなぁ?という辺り、リアリティに欠けるかな。
ちなみに推理小説としては、前半は「コロンボ」型(ドラマで言うなら古いけど「古畑任三郎」型)です。つまり、犯罪の経緯がすべて読者に明らかにされ、それを隠蔽するためのトリックも語られると