松本清張のレビュー一覧

  • 砂の器(下)

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    ネタバレ

    私が子供の頃に見たのは中居くんのドラマなので、印象がだいぶ違う。
    戸籍の件はありそうだけど、それ以外はちょっと突飛な仕掛けだなと思った。『日本の黒い霧』ほどの衝撃を受けられずにいるので、もしかして清張ミステリーと相性良くないのだろうかと不安になる。
    加藤剛の映画が素晴らしいらしいので見てみたい。

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    2025年08月31日
  • 半生の記

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    小説家松本清張になるまでの長い長い閉じ込められた半生の記

    自伝。
    ご本人は絶対に面白みも何もないし著名作家の知り合いもおらぬしつまらぬと書くつもりもなかったもの。
    両親の話、生まれてから小説を書くまでの長く鬱々とした日々の記録は、実にじめじめと湿度が高く劣等感と閉塞感に満ち満ちていました。
    金銭的な貧しさやそれゆえの学歴のなさ、それ故に差別を受けたことや両親の束縛などが綿々と書き連ねてあり、これは恨み言なのかと思いきや、戦地への出航時に自分だけ父親が送りにきたり、母親が迎えて泣いただの、束縛が苦しいと綴りながらも息苦しいほど愛されている実感も実はあったのではないか、など思ってしまった。

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    2025年08月29日
  • 点と線

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    人生松本清張一作目。スッキリとした文章と昔ながらの熟語で好感の持てる文体であり、非常に読みやすい。
    事件を追う三原なる者は優秀な地位にいるはずの人物なのに、えらい失念が多く、そういえばと何かを思いつくくだりが多過ぎて、なんだか読んでいて新喜劇でも見てるのかって気分になる。あまりにも滑稽。
    ラストも予想外だけど、期待も裏切られた気分になってちょっとがっかりした。

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    2025年08月28日
  • 熱い絹(下)

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    夏になるとなぜか手にとってしまう。

    小説の書き方では、説明でなく描写せよと習うそうだが、本筋の殺人事件の部分は全て説明。その代わり舞台となるカメロン・ハイランドが丁寧に描写されている。とりわけ、スモーク・ハウス・インの描写が素敵。

    時代は半世紀も前だから、マレーシアの状況も今とは全く違うと思うが、自宅でささやかに、避暑地の気分を味わえる。

    殺人事件の解決にはいささか都合良すぎと思われるし、ラストがあまりにも日本的なのがおかしいが、松本清張氏の筆力と博識さには感服する。

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    2025年08月27日
  • 葦の浮船 新装版

    購入済み

    葦の浮船

    好対照な2人の助教授が織りなす物語。折戸二郎は上代史専攻の才能ある助教授であるが、好色漢で巧みに女性に接近しすぐに手を出す人物である。一方、小関久雄は中世史専攻の助教授で、まったく女性には縁が無いと思い込んでいる好人物である。なぜか2人は、深い付き合いである、小関は折戸の行動に納得していないが、学問上の実力差は認めざるを得ず、折戸にうまく牛耳られていることに自ら納得している。

    2人の教授と、人妻笠原幸子、および近村達子、2人の女性が、ストーリーを展開する。前半は、不倫物語の様態で☆二つかなと思っていたが、後半になって、清張小説の面目躍如といったところである。

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    2025年08月05日
  • 霧の旗

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     兄が殺人容疑で捕まり、無実の罪を着せられたまま獄中死したのは、高い弁護料を払うことができない自分を高名な弁護士が弁護を断ったからだ。こう捉えた瞬間から、その弁護士に対する妹の復讐が始まる。
     誰もが自分の都合を持ち、時には他人の事情よりもそれを優先させて生活している。しかし、その他人の事情がいつまでも気にかかってしまうことはある。しかも自分の事情が大したことではなかった場合は特に。
     そのように心に引っかかった一点の染みが徐々に大きくなっていく様と、そこに執念を燃やし復讐を遂げようとする様子を、高名な人間が転落していく様と周囲の人間模様から描き出している。

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    2025年07月26日
  • 黒革の手帖(下)

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    ネタバレ

    ドラマが好きだったので小説も読んでみました。
    ラストに向かうにつれ元子の女性味が描かれていき、人の恨みというものの恐ろしさを感じました。

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    2025年07月11日
  • 砂の器(下)

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    操車場で発見された扼殺死体。今西と吉村は捜査本部が解散されてからも、任意捜査という形で連絡を取り合い少しずつ犯人に迫っていく。少しずつ明らかになるヌーボーグループ。これまでにない殺人の方法が明らかになる。
    描かれ方が結構昔風味。殺害方法もなかなかに独特。現代でもこれは難しそうだなと感じる。まあそれでも警察ものとしては結構練られている感じするので、どのような思考で犯人を追いかけているか非常にわかりやすい。

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    2025年07月06日
  • 黒革の手帖(下)

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    ネタバレ

    とても面白かった
    読んで行くうちに何故か元子に頑張って欲しいという気持ちになってしまい、最後は元子が可哀想に思えてしまった

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    2025年06月27日
  • 夜光の階段(下)

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    ネタバレ

    2025/31

    女性ライターに罪がバレて、逆に利用される展開は面白い。

    その女性すら殺してその罪を友人に擦り付ける展開も「嫌な主人公」に振り切ってていい。

    ただここまで一生懸命読んで最後が事故死は呆気なく感じた。この呆気ないオチも松本清張っぽい。

    偶然から始まる執念で彼を追った刑事はなんだったんだろう(?) 松本清張に出てくる刑事はみんな愛してるけど、ちょっとキャラが薄かった。

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    2025年06月27日
  • 夜光の階段(上)

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    ネタバレ

    2025/22

    母親の本棚から借りた本。

    松本清張なら何でも読んでみたい。

    売れっ子美容師の主人公は女性たちの心を掴んでどんどん出世していく。面白い。

    嫉妬深いライター女性に傷跡を指摘される。
    気になる終わり方でいいね。

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    2025年06月27日
  • 葦の浮船 新装版

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    物語よりも、場面場面に清張のエロさが沸き立ってくる。そのエロさは、明らかにかつてモテなかった男の描く陰湿なエロさで、カラッとしたものがない。大変扇情的。

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    2025年06月26日
  • 死の枝

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    1.交通事故死亡1名
    2.偽狂人の犯罪
    3.家紋
    4.史疑
    5.年下の男
    6.古本
    7.ペルシアの測天儀
    8.不法建築
    9.入江の記憶
    10.不在宴会
    11.土偶
    短編集。どれも完全犯罪にならず破綻が生じて犯行が暴露する。続きが気になるのはいつもの松本清張の作風といったところか。1と5と7と11は中でも読みやすくおもしろかった。

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    2025年06月24日
  • 黒い樹海 新装版

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    最初と途中で色々考察しながら読んでましたが、結末は全然違いました笑

    犯人は最後まで分かりませんでしたが、松本清張のミステリーは最後まで犯人が分からないところが面白いです!

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    2025年06月16日
  • 天才画の女

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    確かに怪しい存在の画家だが、そこまで調べるかなと思うほどすごく捜査していた。松本清張なのでいつ人殺し起きるかなと思っていたが芸術にフォーカスした作品であり、同業者たちとのやり取りが非常に面白い。

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    2025年05月30日
  • 黒革の手帖(下)

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    ネタバレ

    上巻の元子は応援したくなり、やるねえ〜と思いながら読んだ。頭の切れる人はかっこいい。構成が良いのでサクサク読んだ。
    だが、下巻の元子はどうにも好きになれなかった。安島のくだりでは、今まで数字を見つめてきた人間が、そんな急に熱心になるものか?と思い、「敏腕であっても所詮は女だ」とでも言わんばかりの描き様に、興ざめした。女性の描き方が時代ならではで、今の感覚で読むものではないということだろう。
    最後のどんでん返しでは元子は裏切りに裏切られ、寒気がした。そんな、ここまでしなくても、いいじゃないですか?妊娠・流産に関しては、「成り上がった女の転落」を描きたいばかりのように思ってしまった。後味があまりに

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    2025年05月29日
  • 小説帝銀事件 新装版

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    去年、死刑囚として47年もの間拘束されていた袴田さんの無実が確定し、釈放された。袴田さんはもはや、自分が釈放されたことがわかっているのかも疑問なぐらい精神をきたしてしまっている。。人生の大半を牢の中で過ごさせてしまった罪の大きさは計り知れない。

    帝銀事件もまた然り。戦後間もない昭和23年、帝国銀行椎名町支店で青酸カリによる大量殺人が発生した。行動のスムーズさから判断するに、犯人は冷静沈着、慎重な性格で、かなり医療に精通した人間と推察される。そしてまた大量の死を目の当たりにしても動じないところを見ると残忍酷薄で精神力の強い人物である。そこで警察は軍関係、特に七三一部隊を含む科学研究所に焦点を

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    2025年05月27日
  • 十万分の一の偶然

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    ネタバレ

    普通に面白いけど、蛇そんなに怖かったの?!ってちょっとズッコケた。
    まあ苦手って描写はあったけどね。
    松本清張を初めて読んだのが中学生の頃で当時はとても難しいと思ったけど、今こうして読むとまどろっこしいほど丁寧な説明が繰り返され、娯楽性が強いと改めて感じた。歳を経て、自分の成長を知る清張。
    サスペンスドラマを観ているように読めるので、もっと気楽に他の作品も読みたいと思った。

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    2025年05月23日
  • Dの複合

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    ネタバレ

    羽衣伝説や浦島伝説を追って各地を飛び回るのだが、その動きがあまりに不自然で、意図的なものがあることは明白。もったいぶられた挙句、最もわかりやすい結論。
    緯度と経度に並ぶ土地を繋げるという発想から、やや無理目のミステリーとなっている。

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    2025年05月17日
  • 蒼ざめた礼服

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    一介の勤め人がちょっとしたことをきっかけに謎解きに進んでいく。筋立ても面白いのだけど、昭和20年代半ばの設定(書かれたのは昭和30年代)が興味深かった。「明日辞めます」と言って会社を辞められたり(それなりにちゃんとした企業の正社員っぽいのに)、待ち合わせで会えなかったり、急ぎの内容を速達でやり取りしたり(多分電話の普及率のせい)、雑誌や本に著者の住所が記載されていたり…。あっという間に世の中は変わるんだなあ。

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    2025年05月08日