松本清張のレビュー一覧

  • 神と野獣の日

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    1973年に発表された作品なのに、全然昔話になっていません。
    某国のミサイルの誤射から東京着弾までを書いています。インターネットと携帯電話が出て来ないのを除けば、まるで昨日今日の話のようです。

    あと1時間で、今いる場所が壊滅すると言われたら、逃げるのか、残るのか。ライフラインを守る仕事をする人たちが逃げたらどうするのか。
    交通機関は動くのか?動かないのか?電気はいつまで供給されるのか?

    頭の中で自分ならどうする?という問いを明滅させながら一気読みでした。

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    2013年09月21日
  • 或る「小倉日記」伝

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    森鴎外・俳句・考古学・・といった対象に魅了された人々が、そのマニアならではの視野の狭さから、皆不幸のうちに死んでいくという短編集。報われない努力、屈折、欲求不満、悪意・・不条理や人の暗部は話のコクを出すために必須だが・・嫌なことでもあったのか。

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    2013年09月16日
  • 塗られた本

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    塗られた本 松本清張(著)

    松本清張を読み返して、ずいぶん私の中の価値観が、
    変わっていたことに気がついた。

    松本清張を社会派と呼ばれていたことの意味が、
    やっと分かったような気がした。
    ピュアーな気持ち、純粋な気持ちを大切にするものを、
    主人公に据えることで、社会の汚濁、人物の低俗さを、
    浮かび上がらせることに、主題をおいた。
    多分、若かりし頃の社会と大人というものに対する
    私の見方もそんな風だったのだろう。
    松本清張は、ピュアーで、ロマンチストだった。

    今読むと、松本清張の手法であり、何と無く、
    胡散臭さを感じるのである。

    小さな出版会社を立ち上げた 美也子。
    水商売から、純

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    2013年10月01日
  • 紅い白描

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    若い女性から 
    会社の偉い人や経営者とその時代の寵児を見つめた時に
    人間的な潔癖さを求めるという視点で 人間性を疑う。
    翳った旋舞においても 同じような手法だった。

    『芸術はニンゲンが生み出すものだ。
    その芸術がすばらしかったら、人格的にもすばらしいに違いない。
    ニンゲンと芸術とが 背反することがあるだろうか』114ページ
    俗物が 創造性を生み出すのか?とも 問いかける。
    さらに ビジネスが 関連してくる。
    芸術とビジネスが ぶつかる。
    積極的に売り込むこと(商魂)に嫌悪を感じる。
    芸術家は商魂をもつべきではない。
    クライアントの理不尽な要求にどう対応するのか?

    俗っぽいニンゲンに描くこと

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    2018年03月05日
  • 張込み―傑作短編集(五)―

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    8編短編集。
    表題作の「張込み」から順に、「顔」「声」「地方紙を買う女」「鬼畜」「一年半待て」「投影」「カルネアデスの舟板」

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    2013年08月26日
  • 翳った旋舞

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    三沢順子は 新聞社の資料調査部に 配属された。
    地味な仕事であるが、重要な仕事だ。
    (今では、インターネットがありこの作業は少なくなっているはずだ。)人物の写真を間違えることで、会社に激震が走る。
    部長は世渡り上手で 腰掛け。
    次長は麻雀、競馬、競輪にでかけてしまう。
    新聞社は余裕があったのか緩んでいた。
    川北編集局長が 弛みを一掃するような懲罰人事をおこなう。
    順子はいたたまれなくて 辞表を出そうとすることから、
    人生の変化が始まる。

    真佐子は順子の高校時代の友達で、銀座の一流クラブのホステス。
    人のあしらい方がうまく、一流と言われる人たちとの付き合いがある。
    江木郁子は会社の電話交換手。

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    2013年10月01日
  • 写楽の謎の「一解決」

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    古本で購入。

    松本清張が写楽の正体についての考察を披瀝した講演を収めた本。
    いつどこで開催された、何の講演会なのか、明記されていないのは何なんだ。

    写楽の正体については諸説紛々である。
    曰く、阿波侯お抱えの能役者斎藤十郎兵衛である。いや阿波侯屋敷にいた蒔絵の下絵師だ、白川家門人の片山写楽だ、版元の蔦屋重三郎こそ写楽その人だ…
    まさに「謎の浮世絵師」に相応しい。

    清張はこれらの説を様々な論証をもって否定する。
    そして「思いつき」として語るのが、「写楽=精神病者説」である。
    写楽の絵の特徴たるデフォルメは実は絵師本人にとっての正常、つまり視神経の狂いから生じたものだと言う。

    清張による写楽

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    2013年08月16日
  • 数の風景

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    ネタバレ

    筆者最晩年の作品ではあるが、何か遠い時代を思わせる雰囲気もある。
    時間の経過はゆっくりであるが、謎が謎を呼ぶ筆致で読ませるところはさすが巨匠というところである。
    とはいえ、特に大きなドンでん返しもなく、作品としては平凡なものであると感じた。

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    2013年08月15日
  • 十万分の一の偶然

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    A新聞の「読者のニュース写真年間最高賞」に輝いた東名高速での事故の写真、本当に偶然なのか。
    謎解の後の展開が面白かった。

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    2013年08月07日
  • Dの複合

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    初めて読んだ松本清張。
    何となく関係性は仄めかされるものの関連性が不明確な事件や自称がひとつになっていく感じは、一部が重なりあっているいくつかの円がひとつに重なっていくような感じ。
    宮部みゆきの、関係なさそうな点的事件がひとつの線で結ばれていく感じとはまた違って、自分の推理をしながら読むことができた。

    初めて読んだのもあったが、物語に没頭するまでの時間がかかったのが難点。
    この没頭するまでの時間をエンジンがかかるまでの時間と表現すると、なるほど知らない作者の本を読むのは「本当にエンジンがかかるかなあ」という車に対する不安と同一視できるのかな。
    でも、エンジンがかかってからの颯爽感を感じさせる

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    2013年07月03日
  • 強き蟻

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    30歳年上の男と結婚した主人公。
    どこまでも強欲、本音で生きてて嫌な気はしないが、物語的には悪者になってしまうのだな。

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    2013年06月29日
  • 黒地の絵―傑作短編集(二)―

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    ハイパーどんより小説。
    どれもこれも、心にずっしりくる。好きな話がない。だけど最後まで読んでしまった。これも人間か。人間だな。

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    2013年06月19日
  • 点と線

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    初の松本清張作品。
    古さを切に感じる時代設定と登場人物の発想力の弱さはやや退屈でした。
    けどすごいなと思ったのはこんなに淡々とした文体なのに各キャラクターやトリックがすごい分かりやすいところ。
    きっと作者は尋常じゃない文章力を持った方なんだろうなと思います。

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    2013年06月10日
  • 失踪の果て

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    ネタバレ

    ミステリーの短篇集。
    昔は斬新だったであろう松本清張のミステリーも、今の時代に読むと、火曜サスペンス劇場を思い浮かべてしまう。

    それでも新鮮さがあり楽しめると思ったのは、「春田氏の講演」。

    日本各地で講演を行う売れっ子評論家の春田氏。
    あるとき彼のファンを名乗る美しい女性が現れ、心をときめかせる。
    彼女の正体がわかっても、ときめきはなくならなかった。
    まるで初恋を描いたような甘い雰囲気を持つ話だ。

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    2013年05月28日
  • 告訴せず~松本清張プレミアム・ミステリー~

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    ネタバレ

    選挙資金を横領して小豆相場へ投資し新たな事業を始めようとする男の話。
    終始、ハラハラドキドキしながら読んだ。
    破滅の道は予想がつくだけに、読んでて楽しいものではなかった。

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    2013年05月10日
  • Dの複合

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    ミステリーに旅行と歴史を味付けにした。その道具だてがややくだくだしい。もう少し短くまとめても良かったのではないか。12.4.20

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    2013年04月20日
  • 隠花平原(下)

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    どんでん返しのような呆気ない結末だった。多数の人間関係の錯綜、憎悪が底流にあり、殺人、自殺に向かわせる。新興宗教の問題もその後の事件の予見として鋭い。13.4.6

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    2013年04月06日
  • 隠花平原(上)

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    義兄は人違いで殺されたのかも。絵描が探偵ばりに事件の究明に乗り出す。風采の上がらぬ刑事が、表には出ないが気になる存在。13.3.30

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    2013年03月30日
  • 死の枝

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    11篇の短編集。様々なシチュエーションでの殺意、捕縛への怯え。事件解明まで何年も経って破滅に落ちていくというのも特徴。13.3.23

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    2013年03月23日
  • 黒い空

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    90年代に刊行された作品の割に、ちょっと読みにくい。日本史のエピソードが筋に絡んでるので、戦国武将の時代の話をすいすい読めるような人じゃないと、ちょっと行き詰まると思います。

    読み終えてトリックを考えてみるとタイトルは非常に巧妙ですし、伏線も綺麗にきっちり回収されていって、最後にきちんと集約されてます。ただ、素人探偵役の人の動きに対して、警察がこんなに敏感に反応するかなぁ?という辺り、リアリティに欠けるかな。

    ちなみに推理小説としては、前半は「コロンボ」型(ドラマで言うなら古いけど「古畑任三郎」型)です。つまり、犯罪の経緯がすべて読者に明らかにされ、それを隠蔽するためのトリックも語られると

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    2013年02月23日