松本清張のレビュー一覧
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松本清張文学忌 1909.12.21〜1992.8.4 清張忌
若い頃、よく読んだ松本清張。どれを再読しても良いけれど、残してある文庫の紹介文を読んでいたら、この中編集が連作推理小説集とあり、全く覚えてないのでこちらを読みました。
が、しかーし、連作ではありませんでした。共通事項は、死者が出るところしかないです。
(ちなみに昭和の文庫本)
そして、新装版の紹介を確認したら、傑作中編小説に変わっていた。やれやれ。
「歯止」
能楽堂の場面から始まり、演目は「班女」
結構後、二年で自殺した姉。死因は薬物接種。遺書はなし。その妹も現在高校生の息子の非行と犯行に苦しんでいる。偶然、息子の奇行を母親が -
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上巻はミステリーにしては淡々としてゆったりな空気感だった。
下巻まで読み進めるとサスペンス色が見え始め、登場人物たちのつながりが紐解かれていく。いよいよ緊張感が高まってきた。
事件のトリックは意外にも技術的な描写が目立った。
だけど正直物足りなかったかな。上記技術的トリックも裏付けが弱いし、主人公刑事による犯行動機の推察も「え、そんな程度で人殺す?」って感じだった。犯人確保の後は描かれないので、動機の掘り下げやそもそもそれが合っていたのかの検証はなされない。
あと上下巻通してなんだけど、刑事の周りに運よくキーマンが現れたり、事件のつながりを刑事の思い付きレベルで解き明かしていく場面があっ -
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この作家の膨大な作品の数々を「清張山脈」と称することがあります。デビューの遅さを反発力とするかのように社会構造、昭和史、古代史、占領下の闇、そして天皇制…テーマがテーマを呼び次々と連なっていく激しい造山活動は発表当時のジャーナリスティックなインパクトを超えて没後30年を過ぎ今もなお仰ぎ見られています。今年になってもNHKで「小説 帝銀事件」という作品自体の成立をテーマにしたドラマが放映されていました。しかし遠くで眺める山脈の中にどんどん分け入っていくとちょろちょろとした渓流にもならない湧き水みたいなものがあることを知るのです。湧き出ているのは人間の嫉妬、恨み、憧れ、虚栄、諦観、自分でもコントロ
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「松本清張」の時代小説集『軍師の境遇 新装版』を読みました。
『表象詩人』、『溺れ谷』、『新装版 遠い接近』、『半生の記』に続き、「松本清張」作品です。
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「松本清張」がつむぐ、軍師「黒田官兵衛」の波乱にみちた生涯。
天正三年、「羽柴秀吉」と出会い、軍師「黒田官兵衛」の運命は動き出す。
「秀吉」の下で智謀を発揮して天下取りを支えるも、その才ゆえに不遇の境地にも置かれた「官兵衛」の生涯を描いた表題作ほか、二編を収めた短編集。
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「羽柴(豊臣)秀吉」の下で智謀を発揮した軍師の「黒田官兵衛(如水)」、戦 -
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2022秋に発刊された当作品、行間から清張のあの【顔】と作品の根となったとてつもない臭いが立ち込めて来た。
匂いではなく臭い・・・北九州から中央へ出て、「清張在り」という立ち位置を確立した彼の足取り。
旧弊むんむんの文壇に一見さらりと立ち向かい 実は執筆人生のほぼ24時間脳裏に救う物凄いエナジー。
サスペンスモノはなく、実録を基にした周辺エピソードを膨らませたものが大半。
清張好きにはたまらないだろう・・関心がない人にはこの「臭さ、暗さ、湿り気」に辟易するだろう。
案外、昨今のインスタグラムにも近いねっとり感すら覚えた。
特にラストの「雑草の実」~清張ファンなら既読感ある情景が立ち込めると思 -
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湖底の光芒
大手企業の専務が、下請け企業に無理難題を押し付ける。一方、主人公は小規模な工場を営む女性経営者である。物語りは、この専務の悪意に満ちた思惑と、工場の経営に全身全霊を注ぐ主人公と、この義理の妹がおりなす。これらの結末が表題である。
女性たちをたぶらかし虐げる場面がある、好みではない、ので星3つ。