松本清張のレビュー一覧

  • 彩り河(上)

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    彩り河(上)

    業界紙の雇われライターである山越は、東洋商産の経営状況に疑いを持つ。東洋商産の社長高栁は、銀座のクラブ・ムアンの美人ママ山口のパトロンらしい。しかし山越はこれに疑いを持つ、さほど大きくもない東洋商産、しかも経営状況もよくない、こんな会社の社長が、パトロンであるはずがないと。

    山口と高栁には不可解な災いが起きてしまう。そんな中、山越の調査活動はついに東洋商産を操っている陰の人物へと到達する。

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    2024年01月22日
  • 中央流沙

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    中央流砂

    農林省の課長補佐である倉橋は、砂糖汚職に深く関わっており、警察から取り調べを受け、逮捕間近となった。警察や検察は、組織がらみで次官や局長やさらに政治家が絡んでいるとにらむ。その追求の糸口となる倉橋が崖から転落して死亡する。農林省で暗躍する西弁護士が彼の死を発見する。はたして事故か自殺かそれとも....。

    定年も見えてきた事務官山田は、局長岡村などのエリートコースとは、無縁な男であり上司に従順な官吏である。山田は事件の真相は掴んでいるのだが、一切口をつぐみ、内心とは裏腹に岡村局長に従順な振る舞いである。

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    2024年01月01日
  • 小説帝銀事件 新装版

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    NHKの特番「未解決事件」で、松本清張が帝銀事件をノンフィクションで書こうとしたものの、葛藤の末に小説として出す経過が描かれていた。なるほど本作の前半は小説のように進んで行くが、後半はずいぶん趣きが変わってくる。こういうのをルポルタージュというのか…。
    その後『日本の黒い霧』で結局ノンフィクションとして取り上げたところを見ると、やはり清張は帝銀事件については他作品とは異なる向き合い方をしていたのかなと思った。
    個人的に後半は読み進めるのに苦労したが、何度か読み返すうちに良さがわかってくるのかも。

    #タメになる

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    2023年12月22日
  • なぜ「星図」が開いていたか―初期ミステリ傑作集―(新潮文庫)

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    松本清張の初期の傑作8選

    表題の「なぜ星図が開いていたか」も面白かったが、
    「市長死す」「顔」は、いかにもサスペンスドラマで取り上げられそうな作品。

    会話の言葉使いが昔風で、ちょっも違和感は有るけど
    読みやすいし、展開が早いので一気に読める。


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    2023年11月14日
  • 眼の気流

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    みうらじゅんの「清張地獄」を読んでから、私も再び清張地獄にハマりつつある笑

    清張の作品には、似た感じのものや同じトーンのものが多いが不思議に飽きない。しょうもない男や、男にとことん依存しいる女など、人間としてはクズの部類に入る人を描かせると本当に清張はうまいと思う。ある意味人間の本質を捉えているのだろう。

    私は昭和を知っている世代であるので、ある意味リァリティを持って清張作品を読めるのだが、若い読者にはどう感じられるのだろう。

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    2023年11月06日
  • 絢爛たる流離

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    連作短編をつなぐダイヤ。たまたまそれが事件の渦中に入っていく。時代を超えていく様は、ある種のビルドゥンクスとも思えるが、ダイヤは語らず。最後まで、あるいは結論をボカシながら、重ねていく手法は、昨今では少ないかも。様々なトリックも駆使しており、安心して読める清張ならでは、かな。

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    2023年10月29日
  • 黒革の手帖(下)

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    ネタバレ

    少し前に読んだ松本清張のサスペンスよりもドロドロしていてダイナミックな展開に富み、どんどん読み進められた。権力者を騙して財を築き、銀座の街で戦おうとして復讐に合う女性の物語。少しせつなくおどろおどろしい。

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    2023年10月16日
  • 数の風景

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    数の風景

    断魚荘にたまたま宿泊した縁もゆかりもない男2人(TとI)、会話を交わす仲となった。2人の男の目を引く女性(U)も宿泊していた。

    IもU女史すぐに舞台から去ってしまう。Tを中心に物語はさほどインパクトなく、何が本筋なのか分かりにくいまま展開していく。唯一、Tはある女性が殺害された疑いを持つ。このことが物語の後半の主題となっていく。

    終盤になって、事件は起きた。IとU女史が再登場する。とくに、U女史がみた「数の風景」が事件解決の糸口となる。

    終盤が読みどころの小説といえる。




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    2023年10月08日
  • 砂の器(下)

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    ネタバレ

    悲しい話、という事前情報を聞いていたからもっと悲しい話かと思っていたけど、そうでもなかった。それは、私がハンセン病患者が受けていた差別について何も知らないからである。また「悲しい話」と評した人はドラマ版を見ていたのだけど、おそらくドラマ版の方がよりその辺りの描写が鮮烈だったんだろうなと思った。考えてみれば病気して離婚されるとか結構最悪なんだけど、作中では割とサラッと流されているので思ったほど心は震えず、水のように読み終わってしまった。関川じゃなかったんだ〜という感じはある。実はドラマ版について調べてたらあらすじでいきなり真犯人書かれてるという強烈なネタバレを喰らってたので、驚きがないのはそのせ

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    2023年09月25日
  • 強き蟻

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    強欲が人をたぶらかせ命の尊厳も軽視する。そこに正当性など毛頭なく、非人道的自己肯定は他者から見ると狂気に映る。俗世はそんな都合良く事を運ばない、神の忠告は他者の嫉妬や憤怒に代謝される。松本清張のドラマは人びとの煩悩がサスティナブルに交錯する。だからこそ面白い。

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    2023年08月24日
  • 黒の様式

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    松本清張文学忌 1909.12.21〜1992.8.4 清張忌

    若い頃、よく読んだ松本清張。どれを再読しても良いけれど、残してある文庫の紹介文を読んでいたら、この中編集が連作推理小説集とあり、全く覚えてないのでこちらを読みました。
    が、しかーし、連作ではありませんでした。共通事項は、死者が出るところしかないです。
    (ちなみに昭和の文庫本)
    そして、新装版の紹介を確認したら、傑作中編小説に変わっていた。やれやれ。

    「歯止」
    能楽堂の場面から始まり、演目は「班女」
    結構後、二年で自殺した姉。死因は薬物接種。遺書はなし。その妹も現在高校生の息子の非行と犯行に苦しんでいる。偶然、息子の奇行を母親が

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    2023年08月04日
  • 状況曲線(上)

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    清張らしい面白い作品で一気に読めた。建設業界の談合の実態を知ることができた。ただし、最後のトリックを解明する場面では、あまりにも偶然が重なり過ぎているなあという印象。

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    2023年07月18日
  • 天才画の女

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    芸術ミステリーはやはり惹きつけられる。
    松本清張の重厚な雰囲気は尚更だ。
    でも本作は後半にかけて駆け足で進み、急に収束したような感じで、最後にもう一波乱欲しかった。

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    2023年06月20日
  • 松本清張ジャンル別作品集 : 1 武将列伝

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    「調略」「三位入道」「陰謀将軍」「腹中の敵」「群疑」「武将不信」「特技」「面貌」「戦国権謀」「柳生一族」の10編が収録。

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    2023年05月21日
  • 任務 松本清張未刊行短篇集

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    この作家の膨大な作品の数々を「清張山脈」と称することがあります。デビューの遅さを反発力とするかのように社会構造、昭和史、古代史、占領下の闇、そして天皇制…テーマがテーマを呼び次々と連なっていく激しい造山活動は発表当時のジャーナリスティックなインパクトを超えて没後30年を過ぎ今もなお仰ぎ見られています。今年になってもNHKで「小説 帝銀事件」という作品自体の成立をテーマにしたドラマが放映されていました。しかし遠くで眺める山脈の中にどんどん分け入っていくとちょろちょろとした渓流にもならない湧き水みたいなものがあることを知るのです。湧き出ているのは人間の嫉妬、恨み、憧れ、虚栄、諦観、自分でもコントロ

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    2023年05月17日
  • 小説帝銀事件 新装版

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     帝銀事件について事件発生からその後の捜査までわかりやすく解説されている。小説というよりはノンフィクションで読みにくい箇所も多いが、事件への興味から割とすらすら読めた。平沢はどう見ても冤罪で警察の威信のためのスケープゴートとしか思えないが、彼自身が供述で引っ掻き回したり金の出所を明かさなかったりと、犯人にされても仕方ない状況を作っている。画界の興隆のために大量殺人犯の汚名を着せられてもいい、というのは理解できない。

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    2023年05月07日
  • 黒地の絵―傑作短編集(二)―

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    9つからなる短編集。
    後味悪くてなんだか読むの辛く感じた作品でしたが、ある意味人間の嫌な部分が露わになったストーリーに感じました。

    『二階』『拐帯行』『黒地の絵』『空白の意匠』
    『草笛』『確証』

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    2023年04月30日
  • 駅路

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    松本清張氏の傑作短編集第六弾。推理モノ。完全犯罪をめざすが、ひょんなことから犯行が露見してしまう。特殊なトリックなどなく、ある程度は予想された展開ではあるが、これが昭和30年代の作品とは驚きです。

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    2023年04月29日
  • 軍師の境遇 新装版

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    「松本清張」の時代小説集『軍師の境遇 新装版』を読みました。

    『表象詩人』、『溺れ谷』、『新装版 遠い接近』、『半生の記』に続き、「松本清張」作品です。

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    「松本清張」がつむぐ、軍師「黒田官兵衛」の波乱にみちた生涯。
    天正三年、「羽柴秀吉」と出会い、軍師「黒田官兵衛」の運命は動き出す。
    「秀吉」の下で智謀を発揮して天下取りを支えるも、その才ゆえに不遇の境地にも置かれた「官兵衛」の生涯を描いた表題作ほか、二編を収めた短編集。
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    「羽柴(豊臣)秀吉」の下で智謀を発揮した軍師の「黒田官兵衛(如水)」、戦

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    2023年04月09日
  • 任務 松本清張未刊行短篇集

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    2022秋に発刊された当作品、行間から清張のあの【顔】と作品の根となったとてつもない臭いが立ち込めて来た。
    匂いではなく臭い・・・北九州から中央へ出て、「清張在り」という立ち位置を確立した彼の足取り。
    旧弊むんむんの文壇に一見さらりと立ち向かい 実は執筆人生のほぼ24時間脳裏に救う物凄いエナジー。

    サスペンスモノはなく、実録を基にした周辺エピソードを膨らませたものが大半。
    清張好きにはたまらないだろう・・関心がない人にはこの「臭さ、暗さ、湿り気」に辟易するだろう。
    案外、昨今のインスタグラムにも近いねっとり感すら覚えた。
    特にラストの「雑草の実」~清張ファンなら既読感ある情景が立ち込めると思

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    2023年03月31日