松本清張のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
気位の高い青年作家(専業では無い)が妊娠した恋人を抹殺するも盗作した文章から綻びが生じる倒叙型ミステリー。もっとも後半は刑事サイドからの追い込みになる。
松本清張の作品は天網恢々とでもいうべき顛末になるが本作の主人公についてはほぼ無職で女2人を妊娠させる好色ぶり、女関係を完全に秘匿する狡猾さ、困ったら殺害という方法を選ぶ短絡さ、しかも何の躊躇いもなく実行する冷酷さ、ケチをつけておいて文章を丸ごと盗作し追求されても言い訳する厚顔無恥さ、探りを入れて直ぐに後悔する小心さ等の条件が揃いすぎている。あくまで妄想だが同じ小説家として松本清張が最も許せないタイプの悪党だったのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
矛盾した様なタイトル。デザイン盗用疑惑を新卒の女子デザイナーが追求していく話。昨今(2022年頃)もデザイン類似性というか絵のトレース疑惑で古塔つみ氏のイラストが大問題になったが目の付け所がさすが巨匠というべき先見性である。『真贋の森』同様にアートミステリーなので殺人はないが却って作品が陳腐にならなかった様にも思える。
この作品に限ってたことでもないが主人公の調査、人脈、コミニュケーション、推理の各能力の高さに「あんた、デザイナーじゃなくてもやっていけるよ!」とツッコミたくなった。
女体を狙う輩、児童虐待する輩等クズも多いがマトモな人も多いのが救い。何より「犯人」の潔さは清々しく感じられ現代の -
Posted by ブクログ
人生初の松本清張。
風邪ひいてた時にアマプラでNHKの「未解決事件」を見漁っていて、その中に帝銀事件を扱ったものがあった。ただ帝銀事件について描くんじゃなくて、あれは何かおかしかった、と真相に迫ろうとする松本清張の視点から描いていたもので、ゾクゾクする面白さがあって、そこでこの本を知った。
ドラマを観ていたせいかもしれないけど、小説というよりもほとんど松本清張のルポルタージュのようで、主人公のジャーナリストはほとんど松本清張本人だ。小説とは言いつつ、出てくるものは(たぶん)全部実名で、松本清張がこれが真実なんだと伝えたい一心で書いているのが分かる小説だった。調べ尽くして、最後の一手には辿り着け -
購入済み
彩り河
業界雑誌の雇われライターである山越は、東洋商産を操っている陰の人物へ、暴露記事を持って接触し、600万円をせしめたのだが、罠にはめられ帰らぬ人となった。
下巻の主役は、過去、東洋商産で社長の座を巡って敗れ、今は高速道路料金所で働く井川となる。
井川のかつての恋人山口は、銀座クラブ・ムアンのママとなっていた。一方、山越はこのママのパトロンが追求している人物と睨んでいた。二人はお互いにムアンのママの様子を探っている時に偶然に知り合っていた。
井川は山越の調査活動の足跡を辿り、黒幕にたどりつく。黒幕は井川のかつての恋人山口を殺害している。過去、黒幕から被害を被っていたジョーを交え、井川の仕返し