松本清張のレビュー一覧
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彩り河
業界雑誌の雇われライターである山越は、東洋商産を操っている陰の人物へ、暴露記事を持って接触し、600万円をせしめたのだが、罠にはめられ帰らぬ人となった。
下巻の主役は、過去、東洋商産で社長の座を巡って敗れ、今は高速道路料金所で働く井川となる。
井川のかつての恋人山口は、銀座クラブ・ムアンのママとなっていた。一方、山越はこのママのパトロンが追求している人物と睨んでいた。二人はお互いにムアンのママの様子を探っている時に偶然に知り合っていた。
井川は山越の調査活動の足跡を辿り、黒幕にたどりつく。黒幕は井川のかつての恋人山口を殺害している。過去、黒幕から被害を被っていたジョーを交え、井川の仕返し -
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彩り河(上)
業界紙の雇われライターである山越は、東洋商産の経営状況に疑いを持つ。東洋商産の社長高栁は、銀座のクラブ・ムアンの美人ママ山口のパトロンらしい。しかし山越はこれに疑いを持つ、さほど大きくもない東洋商産、しかも経営状況もよくない、こんな会社の社長が、パトロンであるはずがないと。
山口と高栁には不可解な災いが起きてしまう。そんな中、山越の調査活動はついに東洋商産を操っている陰の人物へと到達する。 -
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中央流砂
農林省の課長補佐である倉橋は、砂糖汚職に深く関わっており、警察から取り調べを受け、逮捕間近となった。警察や検察は、組織がらみで次官や局長やさらに政治家が絡んでいるとにらむ。その追求の糸口となる倉橋が崖から転落して死亡する。農林省で暗躍する西弁護士が彼の死を発見する。はたして事故か自殺かそれとも....。
定年も見えてきた事務官山田は、局長岡村などのエリートコースとは、無縁な男であり上司に従順な官吏である。山田は事件の真相は掴んでいるのだが、一切口をつぐみ、内心とは裏腹に岡村局長に従順な振る舞いである。 -
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NHKの特番「未解決事件」で、松本清張が帝銀事件をノンフィクションで書こうとしたものの、葛藤の末に小説として出す経過が描かれていた。なるほど本作の前半は小説のように進んで行くが、後半はずいぶん趣きが変わってくる。こういうのをルポルタージュというのか…。
その後『日本の黒い霧』で結局ノンフィクションとして取り上げたところを見ると、やはり清張は帝銀事件については他作品とは異なる向き合い方をしていたのかなと思った。
個人的に後半は読み進めるのに苦労したが、何度か読み返すうちに良さがわかってくるのかも。 -
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数の風景
断魚荘にたまたま宿泊した縁もゆかりもない男2人(TとI)、会話を交わす仲となった。2人の男の目を引く女性(U)も宿泊していた。
IもU女史すぐに舞台から去ってしまう。Tを中心に物語はさほどインパクトなく、何が本筋なのか分かりにくいまま展開していく。唯一、Tはある女性が殺害された疑いを持つ。このことが物語の後半の主題となっていく。
終盤になって、事件は起きた。IとU女史が再登場する。とくに、U女史がみた「数の風景」が事件解決の糸口となる。
終盤が読みどころの小説といえる。
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Posted by ブクログ
ネタバレ悲しい話、という事前情報を聞いていたからもっと悲しい話かと思っていたけど、そうでもなかった。それは、私がハンセン病患者が受けていた差別について何も知らないからである。また「悲しい話」と評した人はドラマ版を見ていたのだけど、おそらくドラマ版の方がよりその辺りの描写が鮮烈だったんだろうなと思った。考えてみれば病気して離婚されるとか結構最悪なんだけど、作中では割とサラッと流されているので思ったほど心は震えず、水のように読み終わってしまった。関川じゃなかったんだ〜という感じはある。実はドラマ版について調べてたらあらすじでいきなり真犯人書かれてるという強烈なネタバレを喰らってたので、驚きがないのはそのせ