あらすじ
東都相互銀行の若手常務で、野心家の夫塩川との生活に心を満たされぬ信子は、大学の通信教育を受け、独身助教授浅野を知った。彼女の知的な美しさに心を惹かれて愛を告白する浅野。信子は、その想いの激しさにたじろぐが、夫は、妻の不貞を疑いながら、二人の接近を画策した。不倫をでっち上げることで実業界への飛躍を図ろうとしたのだ――。巨匠松本清張が、美しい人妻の心の遍歴の行末を描く、長編サスペンス!
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Posted by ブクログ
松本成長の得意な鬼畜男、が出てくる作品。
それと対比するように美しい花のごとき
女性が出てくるのです。
ちなみにそれが、鬼畜男の妻。
彼女は有無も言わさず
鬼畜男の陰謀煮から娶られていきます。
そしてその中では想っていた人の
死すらあるのです。
もし彼女に「決断力」があったら…
ただし、この鬼畜男に
最悪の制裁がくるのは
まさに爽快そのもの。
諸悪がきられていくそのさまは
まさに「爽快」
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相互銀行の設立者の息子で、その野心家で妻を顧みない夫、その夫と親の勧められるままに結婚した若き妻、その妻が通信教育のスクーリングで出会った若き大学助教授、そして、相互銀行の息子をたぶらかす新興企業の面々。
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東都相互銀行の若手常務、野心家の夫塩川弘治との結婚生活に心満たされぬ信子は、独身助教授浅野を知る。彼女の知的美しさに心惹かれ、愛を告白する浅野。美しい人妻の心の遍歴を描く。
水の炎
東都相互銀行の塩川弘治は35才にして常務だが、前身である無尽会社の殻を脱しない相互銀行に不満を抱き、有能だが冷徹で出世欲を持つ野心家である。弘治は愛人の成沢枝理子を囲い、美人で良妻であるにも関わらず、妻信子との間はすっかりさめていた。
弘治は、オリエント観光株式会社に融資して飛躍の足がかりを目論み、専務の徳山岩雄に接近する。陰には財界の今太閤、是土慶次郎がいる。弘治は是土に取り入ることが飛躍の道として、無理してオリエントへの融資金6千万円を手にする。
老獪な徳山や是土に、35歳弘治は対峙できるのか。そして信子と枝理子は弘治にどのように接していくのか。
清張ストーリー的な結末を迎える!
Posted by ブクログ
覚えやすいけど何を言ってるのかよく分からんタイトル。銀行役員塩川が愛人と共謀し妻信子と彼女を愛する助教授の関係をでっち上げようとするサスペンス。
妻の実家から金を吸い上げ、その妻には罠をかけと塩川は悪辣ではあるが脇が甘いという点が終盤に爆発する辺りで溜飲が下がる仕様。もちろんコイツが1番の屑だが他も婚約者が居るのに人妻に懸想する助教授や信子を罠に嵌めるため若い会社員を誑かす愛人、信子の苦しみを知った上で結婚の継続を進めようとする両親など他の連中もクソであった。読むと人間不信になれそうな本。
Posted by ブクログ
松本清張といえば、社会派推理や古代史を扱った作品が多いが、本作はそれらと異なるジャンルに属する。
ひとことで言うと、欲望と野心の固まりであり家庭を省みない夫に苦悩しながらも、美しく健気に生きるヒロインの姿を描いたロマン小説。
東都相互銀行の若手常務で野心家の夫である塩川弘治との生活に心を満たされぬ信子は大学の通信教育を受け、独身教授浅野を知る。浅野は信子の知的な美しさに心惹かれ、彼女に愛を告白する。だが、信子はその激しさにたじろぎ、次第に距離をおくようになる。ところが、夫は、愛人を利用して、信子が浅野と不貞を働いているかのように、二人の接近を画策する。彼は実業界への飛躍を図ろうと、その元手を信子の実家から借りるが、信子の不倫をでっち上げることで、その借金を棒引きにしようと企てたのである。
家に縛られ、夫に尽くす、世間の目を気にする・・・相当古い時代背景の小説ではあるが、サスペンスの要素もあり、それなりに楽しめた。妻の気持ちや人権を踏みにじり、愛人を操り、野心達成のため手段を選ばぬ悪辣な塩川。そんな彼の成れの果ての姿に対し、自らを見つめ直した信子が最後に見せた毅然とした態度には思わず「よくやった」と拍手を送りたくなった。