あらすじ
心の通い合わない結婚をした奈津井。妻との関係が悪化する久世。亜矢子への思いを断ち切れない2人の男たち。それでも3人は微妙な愛情関係を保っていた。だが、海外に単身赴任していた亜矢子の夫・重隆が帰国したことで、3人の危うい均衡は崩れていく。都会を漂う孤独な男女の愛の終着点は!? 圧倒的な人間洞察力と筆力で、愛の虚無と憂愁を描く恋愛サスペンス!
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Posted by ブクログ
竜崎亜矢子の夫・重隆は、かつて車内のタイピストだった千佳子とも関係を持っていた。が、小説後半で、一気に重隆は密輸事件容疑で逮捕される。亜矢子、新婚生活から逃避し、家を出た千佳子、そしてなカメラマンの奈津井の行く末は。
風の視線(下)
若き奈津井久夫は頭角を表しはじめた有能な写真家である。「杉の会」が開催した五人展に展示した写真は、奈津井が特に高い評判だった。千佳子と見合い結婚するが、愛情とは縁遠い2人であった。物語は、奈津井が密かに思いを寄せる女性を明らかにしていく。一方、千佳子も過去の男性がおり、自ら再び接近していく。
竜崎重隆はM物産のシンガポール支社長であった。妻、亜矢子は同行せず、重隆とは別居状態であったが、それは彼女の望みでもあった。
久世俊介はR新聞社事業次長の肩書き渋い中年であった。津久井の属する「杉の会」は久世の支援を受けていた。
風の視線(下)
物語は、津久井久夫、千佳子、竜崎重隆、亜矢子、久世俊介が、複雑に絡み合う人間模様を深掘りしていく。それは、彼ら彼女らに対して、あたかも「風の視線」のように語られていく。
小説のフィナーレが感動を呼ぶ。期せずしてこの物語は、津久井久夫と千佳子、および久世俊介と亜矢子、二組の長編ロマン小説だったのである!
Posted by ブクログ
ミステリーでなくメロドラマ。
千佳子の行動が割と意味不明だが、年齢の若さを考えると頷けなくもない。カメラマンの旦那を介抱してくれた夫婦が松本清張作品でも屈指の良い人達で良い影響を与えるキャラとして印象的。作品といえば大体全てを失うことになる登場人物は悲惨な末路を遂げることが多いが潔い人には救いがあり本作はそれが最も報われている珍しい話だと思う。
なおゲス商社マンについては悪事も含めて嫌な奴のままでヒールとして役割を全うしていたのはいつも通り。