松本清張のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
元々好きな清張、時代物案外好む。
最近、難しい本の合間に、軽い読み物として成長ものを再読している。
この作品は全く知らなかった。
時代劇で一番面白いのは戦国時代と任じている・・制度も秩序もリセット状態で、人間の本能がむき出しにくんずほぐれつを呈しているあり様を感じられるから。
中部、北陸、東海、そして大阪近辺は頻回に舞台となるので頭に入っていたが、山陰山陽は中間的存在の武将が同時存立しており、なかなか頭に入らなかった。
半ば達する前に?~これってひょっとしたら【少年少女向けじゃないの】という感触。
読後、巻末解説で、その辺を記してあった。
清張は195年代に、青少年向け歴史ものを相次いで執筆 -
Posted by ブクログ
随分前に読んだことがあるはずなのだが、一切覚えていなかったという事もあり、ページ数も多い訳ではないのでそれ程時間を掛けずに読み終えた。
殺人事件の容疑者を所謂謎解き、アリバイ崩ししながら追い込んでいくが、東京から福岡、北海道と移動に電車が使われており、何故飛行機を使わないんだろうと、妙な所で現在とは違う違和感があったが、この本が世に出たのは生まれる前、昭和30年前半なのでこれでは仕方がないと納得した。
まあ結局飛行機はトリックの材料に使われた訳ではないので重要ではないが、物語は面白いが、この時代の違和感が妙に頭から離れなかったからか、物語に入り込めなかったかな。
あと今の政治も昔も相変わらず汚 -
購入済み
遠い接近
時代背景は戦時中から終戦直後。山尾信治は予期せず赤紙召集となる。前半は所属連隊での苦渋に満ちた日々、いつ南方戦線へ送られるのか不安な日々を過ごす様子が綴られる。本来、赤紙対象でないはずの自分へ、赤紙がきた。そこには作為があった、ある人物が浮かび上がった。
無事生きて終戦を迎えるが、家族は疎開先の広島で原爆にあい全員が亡くなった。赤紙を作為したその人物へついに接する、「遠い接近」であった。信治の復讐が始まる、完全犯罪を成し遂げたと思えたが、、、 -
Posted by ブクログ
気位の高い青年作家(専業では無い)が妊娠した恋人を抹殺するも盗作した文章から綻びが生じる倒叙型ミステリー。もっとも後半は刑事サイドからの追い込みになる。
松本清張の作品は天網恢々とでもいうべき顛末になるが本作の主人公についてはほぼ無職で女2人を妊娠させる好色ぶり、女関係を完全に秘匿する狡猾さ、困ったら殺害という方法を選ぶ短絡さ、しかも何の躊躇いもなく実行する冷酷さ、ケチをつけておいて文章を丸ごと盗作し追求されても言い訳する厚顔無恥さ、探りを入れて直ぐに後悔する小心さ等の条件が揃いすぎている。あくまで妄想だが同じ小説家として松本清張が最も許せないタイプの悪党だったのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
矛盾した様なタイトル。デザイン盗用疑惑を新卒の女子デザイナーが追求していく話。昨今(2022年頃)もデザイン類似性というか絵のトレース疑惑で古塔つみ氏のイラストが大問題になったが目の付け所がさすが巨匠というべき先見性である。『真贋の森』同様にアートミステリーなので殺人はないが却って作品が陳腐にならなかった様にも思える。
この作品に限ってたことでもないが主人公の調査、人脈、コミニュケーション、推理の各能力の高さに「あんた、デザイナーじゃなくてもやっていけるよ!」とツッコミたくなった。
女体を狙う輩、児童虐待する輩等クズも多いがマトモな人も多いのが救い。何より「犯人」の潔さは清々しく感じられ現代の -
Posted by ブクログ
人生初の松本清張。
風邪ひいてた時にアマプラでNHKの「未解決事件」を見漁っていて、その中に帝銀事件を扱ったものがあった。ただ帝銀事件について描くんじゃなくて、あれは何かおかしかった、と真相に迫ろうとする松本清張の視点から描いていたもので、ゾクゾクする面白さがあって、そこでこの本を知った。
ドラマを観ていたせいかもしれないけど、小説というよりもほとんど松本清張のルポルタージュのようで、主人公のジャーナリストはほとんど松本清張本人だ。小説とは言いつつ、出てくるものは(たぶん)全部実名で、松本清張がこれが真実なんだと伝えたい一心で書いているのが分かる小説だった。調べ尽くして、最後の一手には辿り着け