松本清張のレビュー一覧
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BSテレ東 「松本清張 流人騒ぎ」時代小説の連作短編集「無宿人別帳」「彩色江戸切絵図」「紅刷り江戸噂」から映像化した、1話完結のミステリー時代劇。水先案内人は佐々木蔵之介。
無宿者は江戸制度の谷間──。人別書き、現代でいえば戸籍から除かれた彼らは町内で住居を定めるのもままならず、ましてや定職など持てようはずがない。食い詰めた無宿人から犯罪が頻発したのは当然である……。賭場の喧嘩で八丈島へ流され、赦免船を待ちわびる忠五郎、牢の火事で思わぬ自由を得た平吉、佐渡から島抜けを図る新平、入墨を暴かれて堅気の暮しを失う卯助など、都市の底辺で喘ぎながらも自由と公正を渇望する男達を描いた傑作時代短篇集。 -
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表象詩人
将来の幹部候補と目される陶芸技術者の深田弘雄は美人の妻、明子を伴って、東京から九州小倉へ渡り陶器工場で働く。後輩の三輪、秋島、久間は、たびたび深田家を訪れ懇意にしていた。3人は、きれいな標準語を口にする明子に密かに好意を持っていた。秋島と久間は、北原白秋やヨネ野口をかじり、詩人を気取って、明子の注目を引き、暗黙にライバル視していた。
小説は三輪(私)が、これらの人間模様を語るように展開されていく。
盆踊りの夜、明子が何者かによって殺害される。盆踊りに参加した三輪、秋島、久間が警察から犯人と疑われる。三輪には明確なアリバイがあった。秋島と久間にはアリバイがなかったが犯人の決め手はなく、事件は迷宮入りとなってしまう。
40年もしてから偶然にも三輪と秋島が再会する。当時を思い起こし語り尽くす。思いもかけない者が犯人として浮上するのであった。 -
Posted by ブクログ
作者には少し珍しい時代小説の短編集です。
ただ、読んでみると時代が変わっても人間の欲や嫉妬、打算は変わらないのだと感じさせられ、むしろ清張らしさが強く出ているように思いました。
表題作では、理不尽に佐渡へ送られた男が地獄のような環境で生きる姿が描かれますが、読んでいてとにかく重く、簡単には救われないところが印象に残りました。
ほかの作品も、権力のある側ではなく、時代に翻弄される人たちの感情が中心に描かれていて、そこに妙な生々しさがあります。
昔の話なのに人間の弱さや身勝手さが今とほとんど変わらないことに少し怖さを感じました。
派手さはありませんが、読み終えた後にじわじわ重さが残る短編集でした。 -
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紅い白描
葛山正太郎は葛山産業美術研究所で商業美術を営む。原野葉子は葛山に学ぶべく希望を持ってこの研究所に入る。葛山の作品はその独創性が世界的な評判となっていった。葉子は葛山作品の芸術性、芸術家としての彼には賛同するのだが、商業主義にはしる彼の別の面が見えてくる。この相反する二面性に対する疑問が尽きない。
葉子はあるとき葛山が接したらしい少年ヒロシと知り合う。ヒロシは知能が遅れているらしい。ヒロシに興味を持った葉子は、ヒロシについて調べ始めると、背後に葛山の影が察知されてくる。 -
Posted by ブクログ
ずっと気になっていた作品を漸く読んだ。
犯人がどちらなのかわからないミスリードが巧妙過ぎて最後まで錯乱させられていた。空港の華々しいシーンから一転して犯人が逮捕されるシーンの静かな幕引き、偽りで作られた脆い仮面、砂の器が崩れおちるような物悲しさ。読み終えてタイトルの意味をやっと理解し、思わず膝を打った。
犯行動機は自身の過去が明るみになり、これまで築き上げた立場が危うくなることを危惧しての殺人ということだったが、個人的には幼少期にたった一人の家族である父親から無理やり引き離され、天涯孤独になってしまったその原因を作った相手への怨みもあるのではないかと感じた。小説には、親子関係がどうであったかの描写はなく、あくまで個人的な解釈だが、父子の間にはちゃんと愛情があったのだと思いたい。
映画本編は見たことはないが、キービジュアルとなっている父子が二人海沿いを旅する姿が印象的だ。映画は親子の関係を小説以上に描いているのかもしれない。映画も見ようと思う。
そういえば、子供の頃に夢中になって何度も観ていた踊る大捜査線THE MOVIE2の元ネタはこの作品だったのかという発見も個人的に嬉しかった。 -
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雑草群落(上)
手広く骨董屋を営む60歳代の古美術商草日堂社長、高尾庄平である、長男の健吉も商売に参画するが一本立ちの気配である。妻の友子とは、マンネリ化しており、若い水商売あがりの和子を密かに囲っている。
庄平は、苦労して上り詰めたと言われる大企業の明和製薬社長中村為蔵に取り入ろうと画策する。商売で競合する駒井が、庄平の行く先々で暗躍している。
庄平は、一旦は、社長の著書「こしかたの記」に書かれたその壮絶な過去に引き込まれ涙を流すのだが、だんだんとその裏が暴露されてくる。
庄平は、副社長の早川、中村の謡の師匠である倉田や、社長室の日下部に接近する。予測だにしなかった和子と中村の位置関係が露わになる。
庄平は中村が興味を示す肉筆浮世絵を何とかしなければと悩む、そんな骨董があろうはずがない、庄平はよからぬ画策をはじめるが、、、、
(下巻へ続く)