松本清張のレビュー一覧

  • 点と線

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    ネタバレ

    前半から中盤にかけての緻密な物語の積み重ね、重厚な筆致、これぞ長編ミステリの歴史的傑作!と叫びたくなるような威厳に溢れている。『空白の4分』という発想の美しさ。そして本作が旅行雑誌『旅』に掲載されたというよく出来た構図。当時の読者が夢中になる気持ちがよく分かる。

    が……。
    「飛行機あるやーーーん」って何?
    いくら当時旅客機は一般的では無いと言っても、天下の捜査機関が飛行機の存在を失念するなんてうっかりが、物語の根幹に関わってくるそのちゃぶ台返しっぷりには唖然とするしかない。

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    2024年09月22日
  • P+D BOOKS 山中鹿之助

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    元々好きな清張、時代物案外好む。
    最近、難しい本の合間に、軽い読み物として成長ものを再読している。
    この作品は全く知らなかった。
    時代劇で一番面白いのは戦国時代と任じている・・制度も秩序もリセット状態で、人間の本能がむき出しにくんずほぐれつを呈しているあり様を感じられるから。
    中部、北陸、東海、そして大阪近辺は頻回に舞台となるので頭に入っていたが、山陰山陽は中間的存在の武将が同時存立しており、なかなか頭に入らなかった。

    半ば達する前に?~これってひょっとしたら【少年少女向けじゃないの】という感触。
    読後、巻末解説で、その辺を記してあった。
    清張は195年代に、青少年向け歴史ものを相次いで執筆

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    2024年09月18日
  • 点と線

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    随分前に読んだことがあるはずなのだが、一切覚えていなかったという事もあり、ページ数も多い訳ではないのでそれ程時間を掛けずに読み終えた。
    殺人事件の容疑者を所謂謎解き、アリバイ崩ししながら追い込んでいくが、東京から福岡、北海道と移動に電車が使われており、何故飛行機を使わないんだろうと、妙な所で現在とは違う違和感があったが、この本が世に出たのは生まれる前、昭和30年前半なのでこれでは仕方がないと納得した。
    まあ結局飛行機はトリックの材料に使われた訳ではないので重要ではないが、物語は面白いが、この時代の違和感が妙に頭から離れなかったからか、物語に入り込めなかったかな。
    あと今の政治も昔も相変わらず汚

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    2024年09月18日
  • ゼロの焦点

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    終盤までは引き込まれてどんどん読めたが、終盤の推理が妄想かなと思うくらいに強引で失速。
    この本の登場人物達の個人情報への意識がなさすぎて笑った。(執筆された時代もあるのだろうか)

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    2024年09月11日
  • 遠い接近

    購入済み

    遠い接近

    時代背景は戦時中から終戦直後。山尾信治は予期せず赤紙召集となる。前半は所属連隊での苦渋に満ちた日々、いつ南方戦線へ送られるのか不安な日々を過ごす様子が綴られる。本来、赤紙対象でないはずの自分へ、赤紙がきた。そこには作為があった、ある人物が浮かび上がった。

    無事生きて終戦を迎えるが、家族は疎開先の広島で原爆にあい全員が亡くなった。赤紙を作為したその人物へついに接する、「遠い接近」であった。信治の復讐が始まる、完全犯罪を成し遂げたと思えたが、、、

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    2024年08月28日
  • ガラスの城 新装版

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    最後までどうなるか読めない展開で、
    予想の難しさに振り回されて
    読み終えた印象。

    面白い内容だった。
    犯人全然わからなかったな。

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    2024年07月24日
  • 張込み―傑作短編集(五)―

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     著者の推理小説の出発点と目される表題作を含む8編収録の短編集。昭和30年代の作品が多いため描写はやや古いが、話の展開は面白い。
     刑事もの、裁判ものなど、様々な趣向の作品が展開されている。

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    2024年06月23日
  • 強き蟻

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    BSテレ東 2024.6.15放送
    欲望が犯罪を生み出す!

    夫の遺産を狙う伊佐子のまわりには、欲望にとりつかれ蟻のようにうごめきまわる人々。男女入り乱れ愛欲が犯罪を生み出す異色の長篇!

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    2024年06月19日
  • 或る「小倉日記」伝―傑作短編集(一)―

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     学問芸術の世界に没入して出世を目指すも自らの才能と境遇との落差に翻弄され、絶望し、破滅する--そのような者たちを描いた作品を多く読める短篇集。また学芸の世界以外が舞台の、やましい事情を抱えた人間の苦悩や破滅を描いた作品も収録。人や社会の暗く汚く嫌な部分を濃く巧みに描き出すこの作者には驚かされる。お気に入りは「火の記憶」・「青のある断層」・「箱根心中」。

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    2024年06月07日
  • ゼロの焦点

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    名作です。あっと驚くどんでん返しというより、主人公と一緒にじっくり推理していくような感じ。

    歴史小説としての価値がある。

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    2024年06月06日
  • ガラスの城 新装版

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    久しぶりの松本清張。土の知識とかOLの気持ちの繊細なところとかさすがだわ。人間をよく観察しないとこんな風には書けないのでは。。

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    2024年05月28日
  • 渡された場面

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    気位の高い青年作家(専業では無い)が妊娠した恋人を抹殺するも盗作した文章から綻びが生じる倒叙型ミステリー。もっとも後半は刑事サイドからの追い込みになる。
    松本清張の作品は天網恢々とでもいうべき顛末になるが本作の主人公についてはほぼ無職で女2人を妊娠させる好色ぶり、女関係を完全に秘匿する狡猾さ、困ったら殺害という方法を選ぶ短絡さ、しかも何の躊躇いもなく実行する冷酷さ、ケチをつけておいて文章を丸ごと盗作し追求されても言い訳する厚顔無恥さ、探りを入れて直ぐに後悔する小心さ等の条件が揃いすぎている。あくまで妄想だが同じ小説家として松本清張が最も許せないタイプの悪党だったのかもしれない。

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    2024年05月23日
  • 風の視線(下)~松本清張プレミアム・ミステリー~

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    ミステリーでなくメロドラマ。
    千佳子の行動が割と意味不明だが、年齢の若さを考えると頷けなくもない。カメラマンの旦那を介抱してくれた夫婦が松本清張作品でも屈指の良い人達で良い影響を与えるキャラとして印象的。作品といえば大体全てを失うことになる登場人物は悲惨な末路を遂げることが多いが潔い人には救いがあり本作はそれが最も報われている珍しい話だと思う。
    なおゲス商社マンについては悪事も含めて嫌な奴のままでヒールとして役割を全うしていたのはいつも通り。

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    2024年05月19日
  • 風の視線(上)~松本清張プレミアム・ミステリー~

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    シンガポールで商社マンとして成功した男、貞淑な美人妻アヤコ、新進カメラマンの青年、その妻である千佳子、昼行燈だがアーティスト達の応援者たる記者。大体この5人が織りなすラヴストーリー。死体が出てきた事からミステリーが始まると思うと全然そうはならない。
    言い分はあるがそれぞれ勝手な連中ではある。王道ヒロイン的なアヤコも言い寄られた男の処理に見合い結婚させるなどしている。それでも夫の方が松本清張作品によく見られる愛人持ち(人妻でも容赦なし)金にも汚めかつ人間性も嫌な奴というお手本の様なヒールのため他の登場人物達が浄化されていた。

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    2024年05月16日
  • 内海の輪 新装版

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    不倫&殺人を描いた中編2作収録。どちらも相手の女性は歳上で夫側はかなり歳上、そしてダブル不倫という特色。
    表題作の方は元兄の嫁さんで兄もなかなかの屑だったが弟の方も肉欲不倫を楽しんで相手を妊娠させて困ると殺害という短絡的かつ身勝手な男である。本書に限らずだが松本清張の作品では男は愛人を持っているのがデフォルトみたいなのが多い。多分昭和の価値観で男尊女卑の感が強い。
    『死んだ馬』の方は美しい夫人の方が見た目劣化していくだけでなく目をつけた青年の金に吸い付くヒルの様でタイトルが秀逸。犯人側に同情もしたくなるが…。

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    2024年05月14日
  • 告訴せず~松本清張プレミアム・ミステリー~

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    選挙資金を持ち逃げして相場で当てて…というサスペンス。占いと相場という合理的なんだか非合理なのかよく分からん組み合わせで引っ張っていくのはさすが。
    怪しい登場人物達もさることながら他作品に違わず人間は信用できん!と思わされる。

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    2024年05月13日
  • 水の炎

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    覚えやすいけど何を言ってるのかよく分からんタイトル。銀行役員塩川が愛人と共謀し妻信子と彼女を愛する助教授の関係をでっち上げようとするサスペンス。
    妻の実家から金を吸い上げ、その妻には罠をかけと塩川は悪辣ではあるが脇が甘いという点が終盤に爆発する辺りで溜飲が下がる仕様。もちろんコイツが1番の屑だが他も婚約者が居るのに人妻に懸想する助教授や信子を罠に嵌めるため若い会社員を誑かす愛人、信子の苦しみを知った上で結婚の継続を進めようとする両親など他の連中もクソであった。読むと人間不信になれそうな本。

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    2024年05月12日
  • 紅い白描

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    矛盾した様なタイトル。デザイン盗用疑惑を新卒の女子デザイナーが追求していく話。昨今(2022年頃)もデザイン類似性というか絵のトレース疑惑で古塔つみ氏のイラストが大問題になったが目の付け所がさすが巨匠というべき先見性である。『真贋の森』同様にアートミステリーなので殺人はないが却って作品が陳腐にならなかった様にも思える。
    この作品に限ってたことでもないが主人公の調査、人脈、コミニュケーション、推理の各能力の高さに「あんた、デザイナーじゃなくてもやっていけるよ!」とツッコミたくなった。
    女体を狙う輩、児童虐待する輩等クズも多いがマトモな人も多いのが救い。何より「犯人」の潔さは清々しく感じられ現代の

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    2024年05月12日
  • 松本清張ジャンル別作品集 : 4 法廷ミステリ

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    聞いたことのある内容だと思うが結末までは記憶にないというものが多い。もともと清張の短篇は好きでだいぶ読んでるし、ドラマのスペシャルもほぼ欠かさずに見てるから。

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    2024年04月22日
  • 小説帝銀事件 新装版

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    人生初の松本清張。
    風邪ひいてた時にアマプラでNHKの「未解決事件」を見漁っていて、その中に帝銀事件を扱ったものがあった。ただ帝銀事件について描くんじゃなくて、あれは何かおかしかった、と真相に迫ろうとする松本清張の視点から描いていたもので、ゾクゾクする面白さがあって、そこでこの本を知った。
    ドラマを観ていたせいかもしれないけど、小説というよりもほとんど松本清張のルポルタージュのようで、主人公のジャーナリストはほとんど松本清張本人だ。小説とは言いつつ、出てくるものは(たぶん)全部実名で、松本清張がこれが真実なんだと伝えたい一心で書いているのが分かる小説だった。調べ尽くして、最後の一手には辿り着け

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    2024年04月20日