松本清張のレビュー一覧
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人間の辛さ(からさ)、人生の辛さ(つらさ)が、しみじみと身に染みる。しかし、そこがいい。
松本清張は10代の頃に『点と線』と、あとアンソロジーに収録されているものをいくつか読んだだけだった。今になってこの短編集を読んで驚く。面白い。10代に読んだ時よりも、格段に面白いと思ったのだ。
嫉妬、愛憎、自負、そして劣等……
すさまじいエネルギーである。けれど、その根本にあるのは一個の人間の脆さ、いっそ儚いほどに切ない人間の等身大のちっぽけさである。
ガリガリの自負心≒虚栄心を描いたものは私自身、身に覚えがありすぎるだけに読んでいてとても辛く、ああ、自分はこういうものにもっとも「痛み」を感じるのか、 -
Posted by ブクログ
「黒革の手帳」が本気で何が面白いのか分からなかったので、僕のなかで松本清張は火曜サスペンス劇場の人ぐらいのポジションになってしまっていたのですが、この「黒い福音」はよかった。
そもそも僕は、吉村昭作品のようなノンフィクション小説が好きで、本を読み終わったあとは「現実すげー」とアホ面で元ネタの事件について色々調べたりして賢くなった気になっているわけですから、同じく現実に起きた事件を下敷きにしたこの「黒い福音」が面白くないはずはなかったのでした。
しかしこの作品のすごいのは、吉村昭小説では出来る限り事実に即して物語が描かれるのに対し、犯人が結局捕まっていない殺人事件の犯人の行動を全部書いてしま -
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ネタバレ今まで読んだことのある清張の中では異色のストーリーだった。ミステリー要素は少なく、太宰とかが書きそうな、不倫+情死の話。そして、それを追いかける夫。中東のロードムービー的なところも多く、清張にありがちな知識のひけらかし(=無駄が多い)が垣間見れたので、若干めんどくさかったけど、真吉が死んじゃうんじゃないか、保雄が見つけちゃうんじゃないか、とハラハラした。あと、カイロとかアンマンとか、砂漠とか、大好きな中東が舞台になっているだけに、知ってるわかる、と共感できた。
ラストシーンは、ちょっと悲しかったな。そういうオチ⁈っていう残念感。 -
Posted by ブクログ
上下巻あって、各500page。
上巻は、主人公・戸谷信一の自堕落な生活から殺人のきっかけを書いてて
下巻は、自分が犯したことがどう自分に跳ね返ってくるか。
を書いてあります~。
上巻はね、普通の不倫ドラマみたいな感じ。
下巻から追い詰められて推理小説っぽくなる長編小説よ。
結局、女誑しで金を巻き上げるために殺した主人公が
その女たちに嵌められちゃうんだけど、
これはストーリー的にとっても面白かったわ~。
っつうか、この主人公の男、どーしようもない奴だな。
女もさ、んな男に嵌るなよ。って感じなんだけど、
一番、賢かったのは槇村隆子と下見沢作雄だね~。
やってかましたね~!!
って、感じで