松本清張のレビュー一覧

  • 霧の旗

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    「先生が弁護料を理由に断ったせいで、私の兄は、無実の罪を着せられたまま獄中死しました。」

    彼女の復讐は、お門違いで、何も正しくはないけれど、凛とした佇まいと意志の強さ、眼差しが目の前に見えるように伝わってきて、美しいと感じてしまう何かがある。

    芸術性さえ感じる、この復讐劇。サスペンス好きは必読だ。

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    2013年05月30日
  • 状況曲線(下)

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    何度目かの再読。

    上巻でおぼろげに浮かぶ犯がの影を追う側に視点か移ります。トリック解明では少し加速するものの、進行中の計画の阻止と犯人を追い詰めるラストは、またジリジリと。

    テンポの良いのもいいけど、焦らされる展開もやっぱり楽しいのです。

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    2013年05月12日
  • 状況曲線(上)

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    再読。3~4回目。
    前半と後半で視点が変わりますが、前半は追い詰められるスリル。
    良くも悪くも松本清張なので、ジリジリした進行に焦らされます。そこが好き嫌いの分かれ目かな。
    →下巻に続く。

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    2013年05月10日
  • 霧の旗

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    世間的には普通の弁護士のごくありきたりに思える行為が恨みを買い、陥穽に嵌る。金持ちが有利という裁判制度の問題を個人の怨念に託けて批判する。13.5.2

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    2013年05月02日
  • 黒い空

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    ネタバレ

    ・知識(歴史)のひけらかしっぽいところが清張っぽい
    ・室町~戦国時代の関東のことがよくわかる
    ・歴史をこえてまで陰湿!これも清張っぽい
    ・解説に書いてあったけど、清張の作品にはタイトルに「色」をつけたものが多く、なかでも「黒」が一番多いらしい。言われてみたら確かに!
    ・黒い空=カラスで、最後までこのカラスがキモだった。

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    2013年04月25日
  • 半生の記

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    実に誠実で素朴な私小説。
    清張が何ゆえに 文学の道に進んだのか
    本のわずかな動機だった。
    その動機を最大限活かした。

    清張が、印刷の下働きをしているときも
    朝日新聞に勤めているときも
    『なにかがたりない』『なにかがむなしい』
    と感じながら生活していた。

    しかし家族の生活を支えていかなければならない
    という二つの労働が必要だった。
    清張の常なる向上心というべき姿勢が
    文学史に 残る実績を作り上げた。

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    2016年07月17日
  • 黒い福音

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    「黒革の手帳」が本気で何が面白いのか分からなかったので、僕のなかで松本清張は火曜サスペンス劇場の人ぐらいのポジションになってしまっていたのですが、この「黒い福音」はよかった。

    そもそも僕は、吉村昭作品のようなノンフィクション小説が好きで、本を読み終わったあとは「現実すげー」とアホ面で元ネタの事件について色々調べたりして賢くなった気になっているわけですから、同じく現実に起きた事件を下敷きにしたこの「黒い福音」が面白くないはずはなかったのでした。

    しかしこの作品のすごいのは、吉村昭小説では出来る限り事実に即して物語が描かれるのに対し、犯人が結局捕まっていない殺人事件の犯人の行動を全部書いてしま

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    2013年03月28日
  • 黒い福音

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    聖職者として身を捧げようとする外国人神父が、一人の女性と恋に落ちる。彼をとりまく教会関係者と裏で暗躍する巨大犯罪組織が、信仰心と愛欲の狭間で葛藤する彼を巧みに利用しようとして、悲劇が起きてしまう。

    純粋無垢な神父が追いつめられ犯罪に手を染めてしまうまでの過程と、そして宗教団体をとりまく巨大な闇組織の全貌を後一歩まで追いつめる警察官の様子が非常にスリリングに描かれ、最後まで目が離せなかった。

    しかしこのストーリーが実際に起きた殺人事件を基に作られたということを知った時が一番震撼してしまったが・・

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    2013年01月31日
  • わるいやつら(下)

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    大切な書類を盲信的に人に預ける愚や警察が容疑者を追い込んでいく手法などが面白いです。タイトルどおり善人など一人もいません。

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    2013年01月28日
  • わるいやつら(上)

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    女好きでかつ金を巻き上げることに血道をあげる院長の転落記。女性から若さと金がなくなった時、人はどうなるか。現在不倫中の方にお薦めします。

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    2013年01月28日
  • 黒い画集

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    「天城越え」は映画で、「証言」はラジオの朗読で知った。人に言えない秘密をもっているものだが、暴かれる不安、葛藤が鋭く表現されている。清張作品の真骨頂とも言える一冊。13.1.1

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    2012年12月31日
  • 砂漠の塩

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    ネタバレ

    今まで読んだことのある清張の中では異色のストーリーだった。ミステリー要素は少なく、太宰とかが書きそうな、不倫+情死の話。そして、それを追いかける夫。中東のロードムービー的なところも多く、清張にありがちな知識のひけらかし(=無駄が多い)が垣間見れたので、若干めんどくさかったけど、真吉が死んじゃうんじゃないか、保雄が見つけちゃうんじゃないか、とハラハラした。あと、カイロとかアンマンとか、砂漠とか、大好きな中東が舞台になっているだけに、知ってるわかる、と共感できた。
    ラストシーンは、ちょっと悲しかったな。そういうオチ⁈っていう残念感。

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    2013年04月25日
  • わるいやつら(上)

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    上下巻あって、各500page。
    上巻は、主人公・戸谷信一の自堕落な生活から殺人のきっかけを書いてて
    下巻は、自分が犯したことがどう自分に跳ね返ってくるか。
    を書いてあります~。

    上巻はね、普通の不倫ドラマみたいな感じ。
    下巻から追い詰められて推理小説っぽくなる長編小説よ。

    結局、女誑しで金を巻き上げるために殺した主人公が
    その女たちに嵌められちゃうんだけど、
    これはストーリー的にとっても面白かったわ~。

    っつうか、この主人公の男、どーしようもない奴だな。
    女もさ、んな男に嵌るなよ。って感じなんだけど、
    一番、賢かったのは槇村隆子と下見沢作雄だね~。
    やってかましたね~!!
    って、感じで

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    2012年11月26日
  • 黒地の絵―傑作短編集(二)―

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    人間の悪意に焦点を当てた作品が多い。戦時中の闇を引きずるような内容が多いが、人の心の弱い部分をリアルに描いており今日でも色あせない。少し人間不信になるかもしれない。

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    2012年11月24日
  • 西郷札―傑作短編集(三)―

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    明治維新は、日本が経験した唯一のパラダイムシフトだと考える。本短編集は、このパラダイムシフトに翻弄された人々の数奇な運命を描いたものが半分。更に徳川物で、封建制度のなかでやはり制度のもつ矛盾に翻弄された人々を描いたものが半分である。
    かなり細かい部分まで時代考証がなされていて、非常にリアリティがある。

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    2012年11月11日
  • けものみち(下)

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    恐ろしい!と読み終わってまず感じた。人間の怖さが描かれて、ドキドキ最後まであっという間に読めてしまう。

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    2012年11月06日
  • 波の塔(下)

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    昭和時代の女性のうちに秘めた激しい恋心がよくわかる。切ない思いと 最後は死を選択するあたりは時代の女性の観念を如実に描写している

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    2012年11月03日
  • 黒い福音

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    ネタバレ

    実話に基づく推理小説。
    スチュワーデス殺人事件とその背後にある教会と密輸組織の関与を暴く。
    久々に読んだ松本清張。最後に捕まらないところがスッキリしないけど、実話に基づくなら仕方ないか。
    他のもまた読んでみたい!

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    2013年04月25日
  • 黒い手帖

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    随筆とは知らずに読んだのだが、思いの外読みやすく、なかなか興味深い内容だった。エンタメ小説か純文学かという議論は、今日では余り意味をなさないものになってしまったが、私が学生の頃などはまだそのような議論はあったと思う。松本清張氏の論は今で言えばほぼ常識であるが、当時はかなり異質な説として文壇から嫌われていたのかもしれない。
    それにしても、現実の殺人事件に対して、推理小説家が真面目に自分の推理を展開した文章が雑誌等で発表されているというのはさすがに時代を感じる。

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    2012年10月11日
  • 高校殺人事件

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    ネタバレ

    これが初松本清張ってのはだいぶ邪道なんだろうか(汗)。

    とにかく読みやすいのにびっくりした。
    50年以上前に書かれたものとは思えない。
    戦争に絡んだ描写が出てくることで、その都度認識するくらい。

    今度は点と線にチャレンジだ。うん。

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    2012年10月01日