松本清張のレビュー一覧
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まだまだあった、読み残しの清張作品。
『美しき闘争』(角川文庫)と『蒼い描線』(新潮文庫)
昭和時代を感じるのはおもしろいし、しかも古びていないところがすごい。
両書とも熱海や箱根が舞台、そしてストーリー展開によって、日本全国縦横に旅する、その土地土地が目に浮かぶ。
『美しき闘争』(角川文庫)1962年雑誌に連載、1984年カドカワノベルズ刊行
『蒼い描線』(新潮文庫)昭和33年7月から週刊誌に連載、昭和34年(1959年)に光文社から刊行
巻末解説とあるけれど、ほんとうにほんとうに清張さんの作品は多いのだ。
清張さんはわたしが児産みが一段落して(笑)子育て真っ最中の1972年ごろから -
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ネタバレ帝銀事件が起きた昭和23年の日本は、連合国の占領下にあった。当時の日本人はもちろん、日本の様々な組織(検察・警察含む)にとってアメリカを中心とする占領軍は途方もなく巨大で、時には「壁」になったのだろう。
事件の犯人を旧日本軍関係者と睨んでいた警察捜査の主流は、「壁」にぶち当たってしまった。「壁」が旧日本軍のある一部に利用価値を見出し保護したからである。行き場をなくした主流が傍流の平沢貞通犯人説に殺到し、あれよあれよという間に平沢の死刑判決に至ってしまった。平沢自身、あまり素行がよくなかったことや脳の病気による虚言症などを抱えていたことがあり、自白重点主義の当時、心証の面で不利に働いただろう。
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「松本清張」の時代小説『新装版 鬼火の町』を読みました。
『表象詩人』、『溺れ谷』、『新装版 遠い接近』、『半生の記』、『軍師の境遇 新装版』に続き、「松本清張」作品です。
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朝霧の大川に浮かぶ無人の釣舟。
漂着した二人の男の水死体。
川底の女物煙管は謎を解く鍵か。
反骨の岡っ引「藤兵衛」、颯爽の旗本、悪同心、大奥の女たちを配して描く時代推理。
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天保の江戸を舞台にした時代推理… 時代小説というよりは、ミステリ小説として愉しめましたね。
■幽霊船
■煙管の追及
■厚い壁
■煙管の持ち主
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「松本清張」が作家デビュー前までを回顧した自叙伝『半生の記』を読みました。
『表象詩人』、『溺れ谷』、『新装版 遠い接近』に続き、「松本清張」作品です。
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著者を育んだ故郷・小倉の記憶、そして父母のこと、兵役や仕事のことなど……。
いかにして「作家・松本清張」は生れたのか?
文壇デビュー以前の回顧録。
日本が破滅に向って急速に傾斜していった時代、金も学問も希望すらもなく、ひたすら貧困とたたかっていた孤独な青年、「松本清張」。
印刷所の版下工として深夜までインクにまみれ、新聞社に勤めてからも箒の仲買人までしながら一家八人の生活を必死で支えたその -
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「松本清張」の中編2作が収録された作品『表象詩人』を読みました。
「松本清張」作品を読むのは2年半振りくらいですね… 短篇ミステリ作品集『水の肌』以来です。
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昭和初期の小倉。
私鉄職員の“わたし”「三輪」は、陶器会社に勤める仲間、「秋島」、「久間」とともに詩を愛好していた。
陶器会社の高級職員「深田」の家に集まっては詩論を戦わせるが、三人とも都会的な雰囲気をまとう「深田」の妻「明子」に憧れていた。
だがある夏祭りの夜、「明子」は死体で発見される。
事件は迷宮入りとなるが……(表題作)。
山中で発見された白骨の謎を追う『山の骨』も併載。
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「松本清張」の長篇ミステリ作品『蒼い描点』を読みました。
「有吉佐和子」の『悪女について』を読んで、昭和の雰囲気の作品を読みたくなったんですよね、、、
「松本清張」作品は、今年5月に読んだ『松本清張傑作選 黒い手帖からのサイン―佐藤優オリジナルセレクション』以来ですね。
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女流作家「阿沙子」の秘密を握るフリーライターの変死――事件の真相はどこにあるのか?
代作の謎をひめて、事件は意外な方向へ……。
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1958年(昭和33年)7月から1959年(昭和34年)8月に『週刊明星』に連載された長篇ミス