あらすじ
Q大理学部の中年教授が大学からの帰途に失踪、赤坂のマンションの一室で首吊り死体となって発見された。自殺か、他殺か?当人が一度も口にしたことのない場所で死んでいたこと、カバンの中にしまう習慣の手帖が洋服のポケットにあったこと、などの不審点から他殺説が浮上。教授と若い女の話し声を耳にしたという隣室夫婦の証言で、捜査の的は、謎の女の追求に絞られたが……。表題作ほか「額と歯」「やさしい地方」「繁盛するメス」「春田氏の講演」「速記録」を収録。素材、テーマに多彩な変化を見せる推理短編集。
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Posted by ブクログ
奇怪な事件も真相が明るみになると人の業という至極単純な動機に振り回されたことに気付く。女性・金銭・怨恨、いずれかの障壁が人生を狂わせてしまう。なんて愚かなんだ、それがなんて人間臭いんだ。煩う過程が生活に宿る。だから松本清張の作品は面白い。