松本清張のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
上下巻 完読
さすがです!
行員として職務にまっとうする日々の中で
仕事ができても会社に長年尽くしても
決して女子行員は高みを望めない
真面目に働いてきたのにもはやお局として煙たがられる存在
元子はうんざりしていた
絶望していた
経験と信頼を「黒革の手帖」に書き留め
銀行から〝ちょうだい〟した7000万円で銀座にクラブをオープンする
愛も情も知らず大人になってしまった元子
欲だけが彼女の活力となり這い上がろうと
お金に人生を捧げる姿は何故か哀しい
お勉強になります
人が思う人としての幸せは人それぞれ
だとしても幸せになれない人はどこまでいっても結局は幸せにはなれない
なぜなら幸せはお金や地位や -
Posted by ブクログ
主役の戸谷は、正直にいって「馬鹿」だと思う。
犯罪行為に手を染めているにも関わらず、計画は杜撰でその場限り、楽観的すぎ(というか嫌なことからは目をそらす性格)、人を見る目がない。
犯罪を行うのならば冷徹さがひつようなのに、そういった覚悟もなく、ただただ楽観的な自分の予測に従って破滅している。
まさしく「士道不覚悟」
弁護士の下見沢からするとこのような下らない男は軽蔑に値すると思うし、だから罠をかけたのだと思う。
下見沢が最初から戸谷を罠にかけようと思っていたかは作中からはわかないが、このような男はいずれか誰かに破滅させられただろう。
途中でトヨがいう「あなたは私がついていないと破滅しますよ」は -
Posted by ブクログ
ネタバレ1.気になっていた松本清張シリーズ、今度は銀座の女の野望を描くストーリーということで、まったく開拓していない分野だったので購入しました。
2.銀行員として働くことに退屈さを感じていた原口元子は、バァとして働くことを決意し、銀座で働き始めた。そして、数ヶ月経ったのち退職をして、自分の店を持つことを決意した。元子は自分の店を持つために、会社の金を横領することにし、見事に会社の金を奪った。これの裏には、支店長と次長のある弱みに付け込んだことがきっかけだった。これを機に、退屈さを感じていた元子の人生は、一気に様変わりし、銀座のママに君臨するために、あらゆる男の弱みに付け込んだ。果てなき野望を掲げた女 -
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ネタバレ奉天で銃器店を営んでいる横倉健児は、同業の先輩である竜頭商会の宇野陽太郎に話を聞いている。宇野は退役海軍少佐で、なんでも大本教に入信し、宣伝使の辞令を貰い、満州で宣布してくるようにと出口王仁三郎より言われてきたという。宇野に、これからも大本教にのこられるのかと問うと、「じつはどうしようかと迷っている。いっそ宗教団体を創ろうかとも思っています。新興宗教は鉄砲屋よりも儲かりますからね。」と。横倉は、吉林省吉林に向かった。かれはそこで現地の宗教事情を探りに行ったようである。舞台は日本からはなれ、満州に広がる。それがどのように繋がってくるか。宮中、華族、満州、大きな舞台の中で、松本清張最後の小説を読む
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ネタバレ埼玉県特高課係長の吉屋は、月辰会研究所に目を留めた。宗教団体だろうか?天理研究会事件を思い出したからだ。案内の警察署長は宗教団体ではなく、占いをしているようだという。東京方面から自動車で来る人もいるとか。しばらく様子を窺っていたら、その研究所に呼ばれたタクシーに女性が乗って出てきた。駅前でその女性に会のことを尋ねようとしたが、拒否され、仕方なく警察署まで同行してもらったが、名前は言うがどうしても身分を明かさない。無理を言うと包みを抱えて離さない。無理にその包みを取り、中を覗いて驚いた。「深町女官殿」と記された封書が出てきた。そして、バックからは「宮内省皇后宮職」職員「北村幸子」という名刺が出て
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ネタバレ以前、『オカルトクロニクル(サイトの方)』で「青ゲット事件」を読んだ時、松本清張がその事件を元に「家紋」という短編を書いてあると知り、読んでみたかった本。
ただ、「家紋」はややイマイチだったかな?
雰囲気等はいいんだけどなぁー。
というのも、雪代の思うその人が犯人だったとすると、市之助も美奈子も、そして隣家のお房もその人をおそらく知っているわけだ。
だとすると、いくら街灯がない暗い中に頭巾をかぶっていたとしても、ちょっと無理があるような?
確かに明治のこと(「家紋」ではいつの事か書かれていない)だから、いくら廃仏毀釈の世とはいえ、寺の権威はまだまだ相当あったとは思う。とはいえ、2人殺され(実際