松本清張のレビュー一覧

  • 状況曲線(下)

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    建設談合に絡んだ欲望ミステリー。
    上巻で主役と思っていた味岡さんがまさかの死体。死後も気が弱いとか散々言われていて不憫になる。
    下巻は毛色が変わって『点と線』の様な刑事が執念の捜査の末に事件を解決するミステリー。トリック、動機ともに加害者サイドの悪辣が際立つ。人を殺す事に良心の呵責もないのが行動で分かるのはさすが松本清張先生。芸者軍団と刑事達のやりとりはホッコリするけど基本はえげつない話。

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    2025年02月12日
  • 点と線

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    ネタバレ

    初めて松本清張作品を読んだ。古い本だからと敬遠していたが、非常に読みやすかった。
    犯行自体のトリックを暴くというよりは、アリバイ崩しをしていく話。犯人が犯人であるという確証無しに、違和感だけをもとに捜査とアリバイ崩しを進めていくことに少し違和感があったが……。
    不可解な点が表れては解き明かされる、という展開がテンポよく続くので、するすると読み進めることができた。

    解説にもある通り、わずかに疑義や穴が残るが、それはそれで想像の余地があって面白い。

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    2025年02月12日
  • 点と線

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    ネタバレ

    犯人の目星は最初から付いているものの、九州から北海道までを縦横無尽に飛び回ってアリバイを少しずつ崩していくのは、面白かった。三原警部補の推理の域を出ないが、安田夫妻の顛末には女性の怨みの恐ろしさを感じた。

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    2025年02月04日
  • 状況曲線(上)

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    建設業界の談合を取り仕切る実力者の元に集まる重役たちの1人である味岡専務は殺人のあったビルで目撃されて以来、追い詰められていくサスペンス。外貌は太ったオッサンですが味わう恐怖というかサスペンスはヒッチコック作品にでも出てきそうなキャラに比すべきものがあります。いつの間にか自分の知らぬ間に実力者に直接取りいる奴がいたりするまではビジネス世界ではありがちでしょうが年増芸者がベッドで待ってると思っての死体は気の毒すぎてハラハラしてきました。

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    2025年01月31日
  • 水の肌

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    松本清張さんの長編は昔、良く読んだが短編はそれ程読んでないので最近ハマって読んでます。
    この「水の肌」は5編からなる短編集。

    人の名前など時代的に古い作品ですが内容は今も変わらず人間の深層心理を描いた松本清張らしい短編ばかりでのめり込んで読みました。

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    2025年01月30日
  • 憎悪の依頼

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    主に昭和30年代に発表された10の短編集。殺人の動機を探る表題作、贋作画家と美術評論家の関係を描く『美の虚像』、やりきれなさが残る『絵葉書の少女』など人間の悲しさが滲み出る作品が多い。敗戦を引き摺る暗い日本が主舞台。重い短編集だが引き込まれる

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    2025年01月26日
  • 草の陰刻 新装版(上)

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    2025年の4冊目は、日本が誇る大推理小説作家、松本清張の「草の陰刻」です。1964年から1965年に読売新聞に掲載されていた新聞小説です。
    60年前に書かれたとは思えません。おこがましい限りですが、十分、今でも通用していると思います。流石、清張です。

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    2025年01月25日
  • 黒の様式

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    中編3つ収録。1本目から若い頃に死んだ姉の話なのだが義母と義兄の醜関係が暗示されており思春期を迎え成績急降下中の息子の荒れ方がリンクしているのが不気味。ミステリーではあるが親子関係については普遍的なテーマといえるだろう。
    2本目は義父と息子だが母を殺されたと弾劾広告を打つ事で騒動となる筋。トリックとしては昔刑事コロンボで観たような気がするが田舎の人間関係の不気味さというところが秀逸だった。
    3本目は美術ミステリーと思いきや純粋な殺人ミステリーで本書では最も本格派に近いように思える。それでも芸術家のサガの様なところが描写されているのはこの作者の持ち味だろう。松本清張氏は仏像のアルカイックスマイル

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    2025年01月11日
  • 点と線

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    東京の料亭「小雪」の女中、お時と、その料亭の客で官僚の佐山の情死体が福岡市香椎海岸で発見された。東京駅のプラットフォームで2人が乗り込むところを、お時の同僚の女中2人と同じ料亭の客である安田が目撃していたことが、情死の裏付けとなった。しかし、博多のベテラン刑事である鳥飼重太郎は、佐山の持っていた社内食堂の伝票から、2人の情死説に疑問を持つ。女は好きな男とならたとえ腹が空いていなくてもコーヒー一杯くらい食堂に付き合うはずだが、この男は1人で食堂で飯を食っているのである。2人の関係は恋人同士ではないのではないか…?

    東京駅で13番線プラットフォームから15番線プラットフォームが見えるのは、1日の

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    2025年01月04日
  • ゼロの焦点

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    見合いで結婚した夫が突然失踪してしまうところから物語が始まる。
    広告代理店の営業職で、金沢と東京の二重生活をしていた夫。金沢に夫の失踪の秘密があると、禎子は金沢へ向かう。そこで彼女が知った真相とは…

    1950年代、まだ戦後まもないこの時代に女性が生きて行くのは大変だった。時代に翻弄された可哀想な女性たちが物語の鍵になっていきます。
    幸せな結婚生活のはずが、最初から夫の鵜原憲一にはどこか不穏な影があった…そんな不穏な雰囲気をじわじわと感じさせるのがなんて上手なんでしょう。
    序盤からどんどん物語に引き込まれていきます。
    夫の失踪を調べるうちに起きる第一、第二の殺人。
    日本海の荒々しい海、寂しい漁

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    2025年01月01日
  • 黒革の手帖(下)

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    ネタバレ

    銀行のお金を横領し銀座のママとして成り上がっていくことを策略する元子と周りの人々のお話し。
    前編はトントン拍子に進むものの後編の途中ぐらいから雲行きが怪しくなり…
    なぜこんなに酷いことをするのか、と元子自身も考えるが、結局は人の怨みの深さや断ち切れない愛情が根本にあった。それが金と性の欲望渦巻く銀座を舞台に、抉り出すように描かれていた。

    ラストは実質的に元子の"敗北"で終わってしまうのだが、もう一つどんでん返しが欲しかった…が、白い壁に囲まれた15年間を脱して夢を見れただけでよかったのかしら…。

    ちなみにこの小説は1980年に出版されたということで、言葉遣い(バーではな

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    2025年05月01日
  • 水の肌

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    松本清張は、推理に重きを置いているというより、やはり一人の人間が悪事に手を染めるまでの過程を詳らかに描いている。トリックももちろん奇抜なんだけれど、私が松本清張作品にハマる理由は、そのトリックに飽き足らず「人間」という存在を丁寧に描いているからだなと毎回読んで思う

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    2024年12月31日
  • 疑惑

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    「疑惑」は人間とは主観で物事を考えてしまう生き物なんだなと思わせられる作品であった。読んでいくうちに読者のわたしたちも鬼塚球磨子に対して憎悪の感情を募らせていくようになっている。読者は球磨子が然るべき罰を受けることを願ってしまうけれど、それと実際に罪を犯したか否かという事実はまったくの別物であって慎重に検討しなければならない。人を裁くことの難しさ、そして「面白さ」もわかるような気がした。松本清張作品で、人を殺してしまうのはいわゆるサイコパスではなく、ごくありふれた人である。その人たちがいかにして人を殺してしまうかを丁寧に描いてくれているので、そこが好きだなと思わせられる。

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    2024年12月31日
  • 巨人の磯

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    ネタバレ

    短編集五篇。トリックが奇抜なものが多いけれど、トリックのみに終始せず、犯行に至るまでの心理状態や過程、人物相関を丁寧に描いている点がやっぱり好きだ。
    一作目の腐乱死体の話を、常陸国風土記の話と考察しているのがまた面白いなと感じた。各地に伝わる神話や伝承を物語という一側面から捉えるのではなく、科学的な側面から現実的に考えていくという視点が深みをもたらしていると思う。

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    2024年12月24日
  • 点と線

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    1957年の作品。

    なんともミステリ小説の気分になったので、初めて松本清張を読んだ。
    あっという間に読み終えてしまう面白さ。

    時代を感じさせる場面はたびたびあるが、それも魅力となっていて読み進める足枷には全くなっていない。
    ミステリ小説の完成された形はおよそ70年前には出来上がっていたのかもしれない。

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    2024年12月23日
  • 歪んだ複写―税務署殺人事件―

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    作者の徹底した権力者(強者)への反骨精神が窺える気がする作品だった。作者の松本清張氏が新聞記者であったことも関係していると思う。
    私が松本清張作品を好きな理由に、推理小説でありながら「なぜ事件は起きたのか?」という動機に重きをおいて終始描かれているという点が挙げられる。あとがきにあった文学は「人間を描く物」という言葉が印象に残っている。凝ったトリックよりも、一人の人間を凶行に至らしめたその過程を読むのが好きなんだろうなと気付かされた。

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    2024年12月13日
  • 砂の器(下)

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    一度読んであったものを、映画を見たあとに再読。
    犯人を追い詰めていく様はスリリングだが、映画版ほどの情緒はなかった。
    映画版とセットで楽しむと良いと思う。

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    2024年12月03日
  • 黒地の絵―傑作短編集(二)―

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    そういえば松本清張を読んだことがあるかどうか記憶にない。もしかしたら初めてなのかな。やはり凛とした拡張高いものを、気品というのかな、そういうものを感じた。ただ表題作の「黒地の絵」だけは、内容がショッキングだけに後半の展開が中途半端なものに感じた。「真贋の森」は、壮大な企みであったにも関わらず贋作者が、つい知り合いに一言漏らしれしまったことで計画が潰れてしまうという話だが、今の兵庫県知事選挙におけるPR会社の社長がネットでつい自慢してしまったことで、てんやわんやになっている事件を彷彿させた。

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    2024年11月28日
  • 砂の器(下)

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    阻害された孤独な人物を主人公として、その深淵を覗いた、深く深刻な問題を含んだ小説

    母との別れ、父との別れ、病気による差別、浮浪児としての孤独と恐怖、戦争、そして孤独、主人公の人生がどれだけ辛くて苦しいものだったのか、私の未熟な想像力では計り知れない。
    戦後、浮浪児が恥ずべきもの、差別されるものだったと妻にも言えず隠し通していた元浮浪児の方の手記を読んだことがある。
    すごい時代、信じられない。秀雄には何重にも苦しいことの連続、自分のせいではない、まさに人生に翻弄される哀れさが、想像しただけで痛々しく刺さる。

    秀雄の人生を軽くのぞく程度で、この小説は終わっている。秀雄についての文章はわずか数ペ

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    2024年11月27日
  • 黒革の手帖(上)

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    有名な作品なのに未読だったので読んでみた。
    どうやら最初は銀行員だった女性が巧みな横領や恐喝によって銀座でのし上がる物語のようです。
    昭和の中後期の話だけあって法律も常識も街の様子も全てが今とはかなり違いますが、自分が小学生だった頃の作品なので何となく懐かしい匂いがします。
    大御所の有名な作品だけあって内容はかなり濃いものなので、下巻も楽しみです。

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    2024年11月22日