松本清張のレビュー一覧

  • 点と線

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    派手ではないが、確かに推理小説の画期の一つとなったことを納得させるだけの格式の高さがある。
    特に印象に残るのは作中人物による習作の「数字のある風景」という随筆。
      
     "私がこうして床の上に自分の細い指を見ている一瞬の間に、全国のさまざまな土地で、汽車がいっせいに停っている。そこにはたいそうな人が、それぞれの人生を追って降りたり乗ったりしている。私は目を閉じて、その情景を想像する。(略)汽車の交差は時間的に必然だが、乗っている人びとの空間の行動の交差は偶然である。私は、今の瞬間に、展がっているさまざまな土地の、行きずりの人生をはてしなく空想することができる。"

    時刻表を

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    2025年08月10日
  • 黒い樹海 新装版

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    新聞社の才媛たる姉信子は妹祥子に告げた行先と違う場所でバス事故死。知り合いの同乗者が見捨てたと推理した祥子は縁故採用で新聞社に入社し各界の著名人達の中に犯人がいると睨み調査するが関係者が不審死を遂げていくサスペンス。
    読後感としては祥子及び周囲は信子の優秀さを褒めていたが、寧ろ妹の方が男のあしらい方(主要人物の大半が彼女に肉欲的関心がある様な動きをしている)や事件を調査する行動力が優れている。
    警察でないためにアリバイ調査や罠の掛け方が上手くいかずギリギリのところで死人が発生するというのはサスペンスとして上手くできている。あまりにも手際が良いので自分は犯人が解明編まで分からなかった。最後に決着

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    2025年08月07日
  • 疑惑

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    YouTubeでおすすめに挙がってきた映画「疑惑」(桃井かおりさん出演)を観て、原作を読んだことがないことに気がつき、読みました。

    桃井かおりさん版の鬼クマ、私が中学生くらいの時に観た記憶あり、その時も思いましたが、今観てもその演技にひきこまれます。あんな女優、今いますかね??

    映画とは違う、まさかの結末にちょっと驚きました。

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    2025年08月06日
  • 小説帝銀事件 新装版

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    松本清張文学忌、清張忌
    1958年文藝春秋連載
    1959年第16回文藝春秋読者賞受賞
    社会派ノンフィクション

    1948年、帝国銀行で起きた毒殺事件。12人が命を落とし、現金が奪われた帝銀事件
    まだ日本は、GHQの占領下にあった
    当初は参考人のひとりだった画家・平沢貞通が、ある時点から犯人と断定され、死刑判決を受けるまでの経緯には、今も多くの謎が残っている


    まず、事件の経過を資料に基づいて小説として再現、次に捜査や証拠への疑問を提示し、そして清張なりの推理と再考を試みている

    読み終えて強く印象に残ったのは、容疑者・平沢の言動の不安定さだった
    虚言癖や経歴詐称が、むしろ「犯人らしさ」を強め

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    2025年08月04日
  • 火と汐

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    4つの短編。
    松本清張らしい、男と女のもつれ、金銭のもつれ、男のプライド、そういう大好きな要素がちゃんと入った佳作集。
    なるほど、松本清張は常にその時の新しいことを用いると。外れがない。

    全文はブログで
    www.akapannotes.com

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    2025年08月06日
  • 砂の器(下)

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    ネタバレ

    すでに犯人がわかっていてそれを証拠固めしていくというあらすじである。らい病が解説だけに掲載されていると最初に読んだときには思っていたが、ライという言葉が最後の方に出てきていた。映画ではそのらい病で親子がさすらう姿が強調されていた。

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    2025年08月03日
  • 砂の器(上)

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    ネタバレ

    松江文学紀行で紹介された。とても有名な推理小説である。映画にもなっている。上巻では殺人事件で周囲の人が2人シンでしまったが、真犯人はまだ出てこない。

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    2025年07月31日
  • 砂の器(上)

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    蒲田駅操車場で発見された身元不明の扼殺死体の捜査をする今西刑事。手がかりを得られないまま捜査本部は解散となるが…。
    登場人物の一人が昭和八年生まれと言っているので、昭和三十年代の話だと思います。女性はこんな話し方をしていたのかしら、ズック(おそらく帆布)のスーツケースとは…など想像しながら読みました。若者が古いものを毛嫌いするのはいつの時代も変わらないようですね。
    たくさんの謎をかかえて下巻へ。

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    2025年07月30日
  • 小説帝銀事件 新装版

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    ネタバレ

    気になっていた事件。
    ついに読むことができた。

    タイトルに小説とついているが、
    帝銀事件をそのまま描いている。
    編集者があるきっかけでこの事件を調べ
    まとめた形になっている。

    帝銀事件は昭和23年1月26日に起こった
    毒殺・強盗事件だが、
    その手口があまりに手慣れていて
    犯人は軍関係者だと目された。
    しかし、操作は行き詰まり
    名刺という証拠品から絵描きが浮上する。
    物的証拠は間接的なものばかりなのに
    強要された自白により
    犯人とされ死刑判決を受けてしまう。
    旧刑訴法では、自白を証拠とできたためだ。

    この犯人はおそらく冤罪と思われる。
    死刑執行はされず獄中で高齢でなくなっている。

    この本

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    2025年07月20日
  • 砂の器(下)

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    時代を感じる小説でした。名作と言われているので読んでみました。なかなか読み応えのある、やはり名作でした。島根がたくさん出てくるかと期待していましたがあまりでてこなくて残念でした。

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    2025年07月19日
  • 点と線

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    4.0/5.0

    電車や飛行機など乗り物を使ったトリックや、時間を使ったトリックなどが多く、結構頭を使って読んだ。
    安田の緻密で精密なアリバイをなんとか刑事たちが一つ一つ暴いていく展開がスリリングだった。
    汚職事件の更に細かい詳細や、汚さ、姑息さみたいなものがもっと描かれているとより物語に入り込めたと感じた。

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    2025年07月08日
  • 考える葉 新装版

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    時代は昭和35年。国民の価値観や生活環境が大きく変わった頃。しかしまだ戦後15年。戦争がもたらした影響も所々に残っている。
    敗戦後のゴタゴタに紛れて富を得た者が私利私欲のために悪事を働き、殺人事件がおこる。そんな中、思いもよらず事件に巻き込まれてしまった青年が真相を追う話。
    当時の生活、お金の価値、防犯カメラが普及していなかった頃の警察の捜査など興味深く読めた。
    ミステリー好きなら是非読んで欲しい一冊です。


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    2025年06月24日
  • 山峡の章

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    山狭の章

    昌子は夫の堀沢と妹の伶子が時を同じくして行方不明となり、安否を気づかう。2人は、作並温泉の「山狭」で帰らぬ姿となって発見される。

    経済計画庁に勤ていた堀沢は、有能な人物のようにみえるのだが、日々課長らに付随するのにあくせくしているようであった。昌子は、このような夫にしっくりしない想いを抱くようになっていた。

    一方、妹の伶子は、堀沢を避けていた、このような失態を犯すはずがない、と晶子は確信していた。

    昌子の真相究明がはじまる、堀沢の上司の課長ら、伶子の付き合っていた年配者や女性に面談し、思考をめぐらす。

    東和財政研究所に勤める吉木は、昌子がずっと気になる存在だった。物語の後半で、昌子と吉

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    2025年06月01日
  • 十万分の一の偶然

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    「激突」という写真はA新聞社の年間最高賞に選ばれた。東名高速道路で起きたその玉突き大事故は、果たして本当に“偶然起こった”瞬間だったのか。
    真相を追う髭の男。
    この時代の小説にはよくある事だろうが、同じ文章を何度も挿入する為、少し飛ばし読みが必要。
    しかし流石は清張先生、山鹿との対立シーンは手に汗もの。
    ジャーナリズム、功名心、などを問う作品。勿論時代背景の勉強にもなる。

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    2025年05月20日
  • 美しき闘争 下 新装版

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    頼りにならない夫と別れた恵子が魑魅魍魎とする出版業界で味わう受難を描いた長編の後編。本作は女流作家梶村の失踪を扱うがお馴染みの殺人とはならない。殺人でないが故に警察も介入せず薄汚い工作が行われている。恵子の義侠心は涼とすべきだが相手も方法もまずかった。ここは現実社会でも参考になるだろう。
    昭和30年代の古き良き世界を描いた『三丁目の夕日』という漫画があるが本作はその真逆で昭和30年代の弱肉強食世界を描いているように思う。セクハラだけではなく全てのハラスメント要素があるオールハラスメントともいうべき酷さ。男達の獣欲に閉口しそうになるが悪い意味でもエネルギーには満ちていて高度経済成長(本作は196

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    2025年05月11日
  • 考える葉 新装版

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    しぶい

    推理というかなんというか。
    あれしてこれして、こうなって

    こんな感じではない作品。謎解きの要素が少なかった気がする。
    解説が興味深かった

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    2025年05月05日
  • 美しき闘争 上 新装版

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    姑のいびりと夫の不甲斐なさから家を出た井沢恵子。かつての伝手で女流作家の家に行くが評論家大村から仕事のあてを紹介された事で魑魅魍魎な雑誌の世界に巻き込まれる話。タイトルと異なり全然美しくないように思えるが巨匠による意図か?
    好色破廉恥漢な大村を始め出てくる男達が現代の価値観で言うところのクソ。連載時期が1962年と高度成長期にあたるので人権も何もなかったのだろう。仕事そのものは恵子の実力で取っているのに邪な気持ちを持つ連中が多すぎて本来の実力を発揮させないところが本当に酷い。綺麗事を並べるつもりは無いけど、こうやってせっかく輝きを持つ人物を社会的に封殺するという点で社会的殺人事件ともいうべきで

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    2025年05月05日
  • 疑惑

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    2編の中編集。30年ぶり位の再読です。
    すっかり内容を忘れてしまっていました。
    「疑惑」は桃井かおりさんのラストシーンの意味深な笑みが目に焼きついていたので、原作のラストがこんなだったかぁ〜と思う次第ですが、これはこれでおもしろかった。
    素行の悪さで人を判断してはいけないとつくづく思う内容でした。
    「不運な名前」は偽札の話でよく分からなかった。

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    2025年03月31日
  • 網

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    ネタバレ

    選挙と金の問題で殺人が起こる話。松本清張先生といえば推理小説だけではなく「昭和を暴く」というキーワードがある。昭和に起きた出来事を清張先生の独自の視点でノンフィクションに仕上げた作品もあるほどだ。このように裏で選挙工作が行われようとしている清張先生独自の皮肉たっぷりな視点はやはり清張文学なのだろうと思う。なお、物語では「湯河原温泉」が登場する。湯河原と聞けば神奈川県の湯河原温泉を想定するが、今回は長野県の湯河原温泉だ。長野県須坂市に湯河原温泉があるのだが、長野出身の私も長野に湯河原があるのは知らなかった。

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    2025年03月24日
  • 弱気の蟲~松本清張プレミアム・ミステリー~

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    ネタバレ

    「二大長編推理小説」ということで、二つの作品が収録されている。どちらも、思わぬ衝撃的な出来事が起きた。この「プレミアム・ミステリー」はミステリー要素に疑問がある作品もあるが、これはどちらもミステリー要素があった。どちらでも殺人事件が起きる。それも犯人は思わぬ人だった。特に表題の『弱気の蟲』では役人である川島が麻雀に嵌まり、鴨のように扱われて借金を拵える。その時の心情は極めてリアリティであるし、つい同情してしまう描写は清張先生ならではの表現力。そして、もはやお決まりと言って良い男女の絡れ。どちらも面白い。

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    2025年03月24日