重松清のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
そうだったな。僕だってそうだった。学生時代は、おとなの存在など目に入らなかった。背広にネクタイ姿で会社に通うことが、ちょっと考えればなによりもリアルなはずの未来だったのに、それを自分と結びつけることはなかった。身勝手なものだった。人より図抜けた才能や強烈な野心があるわけでもないのに、ひととは違う人生を歩むんだと決めつけていた。ずうずうしかった。甘かった。若かった。すべてをまとめて、要するに、生きることに対して傲慢でいられたのだと思う。
まだたっぷりと残っている手付かずの未来を前に、今日をむだづかいしているような恋人同士の笑顔は、いつの時代の、どこの街でも変わらないのだと思う。
そんな日々は、いつか終わる。僕はそれを知っている。だが、いつか終わってしまうんだと知らないからこそ、いまがいとおしくなるんだということも、おとなになればわかる。
ゆるしたい相手を決してゆるせずに生きていくひとと、ゆるされたい相手に決してゆるしてもらえずに生きていくひとは、どちらが悲しいのだろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物語がどう終わるのかなぁと思ってたらこう終わったか……。重松清さんは割と「家族の再生」がテーマになることが多いと思うのでラストは意外といえば意外なかんじ。でもまぁ主人公が死んだというだけで、その後に続くものは描かれてるんだけど。
圧倒的な「一人」の人生を最後まで書き切った怪作だった。「一人」と「一人」が一緒に歩み出せたところで、終わってしまったけど。語り部はずっと宮原(弟)の方だと思ってたけど、神父の方だったんだね。終盤、語り部が誰か分かって、神父の人格が出てくることで物語が二重になり、二重のまま進んで、最後には生きている神父だけが残る。この構成すごいなと思った。
⚫︎あらすじ
「どうして、にんげんは死ぬの?」
舌足らずなおまえの声が言う「にんげん」は、漢字の「人間」とも片仮名の「ニンゲン」とも違って、
とてもやわらかだった。そのくせ「死ぬ」は輪郭がくっきりとして、おとなが言う「死ぬ」のような照れやごまかしなどいっさいなく、
まっすぐに、耳なのか胸なのか、とにかくまっすぐに、奥深くまで、届く――。
想像を絶する孤独のなか、ただ、他人とつながりたい……それだけを胸に煉獄の道のりを懸命に走りつづけた一人の少年。
現代日本に出現した奇跡の衝撃作!
(角川公式HPより引用) -
Posted by ブクログ
作者はおやじ殺しだ。おやじの機微に触れる数々の場面と交差する思い。読みながらつい相槌を打ってしまう私。
一般サラリーマンの多くは、会社勤めが終わると新たなコミュニティで自分の在り処を探すことになる。いわゆる第二の人生のスタートなのだが、コミュニティの最小単位である家族からしてなかなかに厄介だ。
家族を想い、がむしゃらに頑張ってきたはずなのに、気付けば家族の輪から疎外されてる感ありあり。周りに悪気がないから始末に困る。することもなく家でゴロゴロ、行くあてもなく外をブラブラ。
定年おやじの背中から漂う哀愁は、身の置き場を探し求める心の放浪の象徴だ。
定年ゴジラ達が踏み潰した我が街のジオラマはこれまでの人生の縮図だったのか。
ご家族の皆様、お父さんは頑張りました。定年したら居場所を作ってあげてください。
本作、楽しく読ませていただきました。 -
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重松清の長篇作品『たんぽぽ団地のひみつ』を読みました。
『赤ヘル1975』、『流星ワゴン』に続き、重松清の作品です。
-----story-------------
団地をめぐる冒険が始まった!
幸せすぎる結末が待つ、家族と友情のミラクルストーリー。
取り壊しが決まった団地に暮らす祖父を訪ねた六年生の杏奈。
そこはかつてドラマ『たんぽぽ団地のひみつ』のロケ地だった。
夢の中で主演の少年、ワタルくんに出会ったことをきっかけに、杏奈と祖父、そして住民たちは、団地をめぐる時空を超えた冒険に巻き込まれて――。
大人たちが生きた過去への憧憬と、未来へ向かう子どもたちへの祝福に満ちたミラクルストーリー。
『たんぽぽ団地』改題。
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『しんぶん赤旗 日曜版』に2014年(平成26年)9月から2015年(平成27年)10月まで連載され、2015年(平成27年)に刊行された作品です。
■プロローグ
■団地坂の再会
■夢の中でクランクイン?
■徹夫さんと昭子さんとワタルくん
■ワガママ姫、登場
■ようこそ、8号棟へ
■おじいちゃん
■ナルチョさん
■純平の秘密
■チコさんの悔しさ
■帰ってきたワタルくん
■一九七三年の夏休み
■幻の続編を探せ!
■映画には悪役も必要だ
■勇気を出して
■再会
■たんぽぽの綿毛
■バイバイ
■エピローグ
■文庫版のためのあとがき
僕らの団地がなくなる前に、映画を撮ろう!運命と奇跡のクランクイン、、、
元子役の映画監督・小松亘氏は週刊誌のインタビューで、かつて主人公として出演したドラマ『たんぽぽ団地のひみつ』のロケ地だった団地の取り壊しと、団地に最後の一花を咲かせるため「たんぽぽプロジェクト」が立ち上がったことを知る――その代表者は初恋の相手、成瀬由美子(ナルチョ)だった。
取り壊しが決まった団地に暮らす祖父を訪ねた小学六年生の杏奈は、不思議な少年に出会う――そこはかつてドラマ『たんぽぽ団地のひみつ』のロケ地だった、、、
夢の中で主演の少年、ワタルくんに出会ったことをきっかけに、杏奈と祖父、そして住民たちは、団地をめぐる時空を超えた冒険に巻き込まれて……大人たちが生きた過去への憧憬と、未来へ向かう子どもたちへの祝福に満ちたミラクルストーリー。
少年ドラマ、ガリ版、片思い――あの頃を信じる思いが、奇跡を起こす……取り壊し前の団地に舞い降りた、奇跡と運命のハッピーエンディング。
取り壊しの決まった団地に住む祖父・徹夫と孫娘の杏奈が、かつてそこで撮影されたドラマの主人公・小松亘(ワタル)と出会って、時空を超えた冒険を繰り広げるという物語、、、
団地という舞台がユニークで、懐かしさを感じさせ、そして魅力的に描かれていたことが印象的でした……団地という舞台を活かした時空を超えた冒険と人間関係の変化を描きつつ、昭和から平成にかけて日本の住宅文化を支えた存在であり、多くの人々の思い出や生活が詰まっている団地の魅力や価値を伝えようとした作品なんじゃないかと感じました。
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