重松清のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あのひとのことをどう呼べばいい?
決めかねている。
あのひとは気づいているだろうか。出会ってから二十年が過ぎて、言葉を交わしたことは何度もあったのに、僕はまだ一度もあのひとに呼びかけていない。
おじさんー。
藤井さんー。
フジシュンのお父さんー。
どれもだめだった。小学生の頃から顔見知りだったフジシュンのお母さんのことは「おばさん」と呼べるのに、フジシュンが死んでから出会ったあのひとを「おじさん」とはどうしても呼べなかった。
あのひとだってそうだ。僕はずっと名前を呼んでもらえなかった。
僕があのひとに語りかけて、あのひとが僕に語りかける。でも、僕たちの言葉にはずっと宛名がなかった。ぽつりと漏ら -
Posted by ブクログ
自分にもあてはまる、親の無力さを感じる。何とかしてあげたいという親の行動が子供にとって全くよくないことにつながることがほとんどだ。普段通り、生活を変えずに、接する。仕事を辞めたりせず、気を使いすぎず、いつも通りに。寄り添う気持ちで、愛情は伝わる。とか聞くけど、そんな神対応みたいな冷静な親なんていないだろう。愛情ってなんだろう、今までの子育てってなんだろう、私が悪かったのかとか、親もただの人間であることを思いしらされる。
最後のビタースイート・ホームが若干軽さがある話で助かった。「エビスくん」は本当にきつかった。防波堤でエビスくんに病院に来てくれるように頼む辺りは、もう限界やんと思って涙がどんど -
Posted by ブクログ
またまた、職場の友人から貸してもらった。
その友人も、通勤電車でのみ読書を楽しむ人。
電車の中で、泣きそうになった、と言うので。
確かに、涙が。
朝から泣ける。
でも、残念ながら、文体は私には合わなかった。
それに、ちょっと、「いかにも」ってのが、気に入らない文章とか、句読点の使い方が少し気になる。
でも、いい話だ。
文中にあったように、余命がわかって、「その日」の準備をするほうが、覚悟が出来ていいのかな。
その人がいなくなっても、世界は、街は、日常は何も変わらず時を刻む。それは残酷か、それとも優しさか。
絶望を背負ったまま生きていけるほど人間の心は強くないから、
とあった。
それは -
Posted by ブクログ
題名の「きよしこ」がキリストを連想させ、天からきよしの日々を見ている感じ、祈の気持ちで読み進めた。
転校の連続、吃音というハンディキャップから、ずっと1人で闘っている印象。他者との分かち合い、きよしの荷を軽くしてる存在、を彼は永続的に持てない。両親はそういう存在に足りえず、共に歩む友人、支えとなる大人とのつながりが薄い。
それでも何とか高校3年までたどりつき、自立、自由の入口にたつ。結局、それぞれ環境の変化や自分の生き方にもがきながら、答えを見つけていかなければならないのだろう。それが大人になるということなのか、成長と呼ばれるものなのか。
回りに左右されていた子供時代とは違う、自分で選ぶきよし
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