重松清のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
①カカシの夏休み
短冊があればあるだけ願い事を書ける。子供の頃の僕だってそうだったのだろう。大人になると思い出せない願いごとが、あの頃は本当にたくさんあったのだ。
「学生時代は、ちょっと背伸びして読んでたの。最近になって、やっとぴったりになりたかなって思ってたんだけど・・・・・・よく考えたら、その『最近』って、十年ぐらい前のことなんだよね」
くしゃくしゃになった表紙の皺をていねいに伸ばしながら「いつのまに追い越しちゃったのかなあ」と寂しそうに笑った美和子は、結局その雑誌を買わなくなった。
僕たちは、そんなふうにしてオジサンやオバサンになることを受け入れてきた。これからも似たような出来事を繰り返して、年老いていくのだろう。
片一方の言いぶんだけを聞いて単純に同情したり憤ったりしていた若い頃が、懐かしい。歳をとって、世の中や人間のいろいろなことがわかってくるにつれて、中立の位置から身動きがとれなくなることが増える。やはり、僕たちはカカシなのだろう。
「いままでずーっと仕事に張り切っててさ、今度からはカズのことや家のことでがんばらなくちゃって張り切って・・・・・・ちょっと、張り切りすぎちゃったんだよな」あのひとも必死になって自分の居場所を探していたんだろうな、と思う。身動きできないはずのカカシが、歩きたくて、歩きたくて、目の前にいる鳥やけものを追い払いたくて、収穫を一粒たりとも奪われたくなくて、だからあんなにいらだっていたのかもしれない。
②ライオン先生
言葉でつなげなくとも、父親が生きてきた四十数年の足取りは見当がつく。どこにでも転がっていそうな、平凡で、おもしろみに乏しく、真似るのは簡単に見えて、けれどもう一度同じように生き直せと言われたら意外と難しい、そんな人生がある。
いま、それが、粉々に砕けた。職を失って断ち切られたものは、未来ではなく、過去だ。
③未来
「弟もその子のこといじめてて、なんにも言わないけど、たぶん、いろんなひどいことしたんだと思うんですよね。でも、もう、これからは絶対にしないんじゃないかな、人のこといじめたり傷つけたり踏みにじったりするの、もうしないと思う」口で言うのとは逆のことが頭に浮かぶ。赤堀くんが自殺したのを教訓だとか反省材料だとかにするのは、よくない。死んだ人は生きている人の未来のために死んだわけじゃない。苦しんで、苦しんで、苦しんだすえに自分の未来を断ち切って、ひとりぼっちで、いなくなった。わたしは長谷川くんの苦しみがわからないままだったけれど、弟にはせめて弟だけには、死んでしまった人の苦しみが伝わればいい。そこから先は、いまはなにも考えなくていいから、ただ、人がいなくなるということの重みを、泣いて、悔やんで、べつに怒っても笑ってもいいけど、とにかくまっすぐに受け止められたら、いいな。
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Posted by ブクログ
読み始めてあっという間によんでしまった。
男女の差はあるのに所々とても身に染みた。親子の確執があるわけではない。でも年代なのか、置かれた状況なのか自分とカズを重ねてしまう。
きちんと家族をみてなくてはいけない。何が自分にとって1番大切なのかをよく見ていなくてはいけない。
仕事の変わりは結局いるが子の、親の代わりはいない。
ただ妻の下りは意味不明だった。受験サポートのストレスがそうさせた?単なる色狂い?旦那が自分をみてくれなくなったから?
走った理由も不明なら、それをしなくなる理由も不明。人間そんな単純に何かを思ったりしなかったりする訳ではないでしょうが。
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