あさのあつこのレビュー一覧
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ときどき、こんな人がいるのです。
山に入ったまま、帰ってこられなくなってしまった人が。
これはとてもすき。
自然って癒しとか優しいだけではない。不気味でおそろしい場所でもある。だけどその自然をただ忌避するのではなく、自然が畏敬の対象であることを改めて感じさせてくれる幻想的なはなし。
一番すきだったのは「四」。
そこでの朝の光についての文章がなるほどと思った。
わたしはそれまで朝の光と聞くと元気さだとか温かさを思い浮かべていたけれど、ここでは刺すような光だと表現されていた。それを自分で常に感じるほど山を近い存在として感じていたわけではなかったけど、なんとなくわかる。
不気味だけど美しい本だ -
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進研ゼミの連載小説を書籍化だそうで、まぁ、進研ゼミらしいといえばそんな雰囲気の話で、あさのあつこさんらしい話というばそんな雰囲気の話でした。やはり、あさのあつこさんは中学生の心情を描くのが上手い。ちょっとしたことなんだけど、この年代の生徒にとっては大きな問題なわけで…。学校と会社と舞台は異なりますが、大人でもこのような環境に置かれて悩んでいる方も多いかもしれません。13歳の時にこの本に出会っていれば良かったなぁ~と思う方も多いのではないでしょうか。ヤングアダルト(YA)向けの一冊ですが、大人にもおすすめ。親子で感想を話し合うと楽しめそうだと思いました。
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Posted by ブクログ
児玉清氏が推奨する「弥勒」シリーズで、著者の時代小説に魅了されたが、このシリーズも期待にそぐわぬ出来栄えとなっている。
しかし、シリーズものと知らず、1作目を読まぬうちに2作目を読んでしまったのはちと残念(笑)
解説でいう「暖かな部屋でぬくぬくしていたら、いきなり寒風が吹く外に放り出されたというような感覚」の本作は、登場人物に「・・・真実はわからねえ、人ってものはわからねえ」と、吐露させる。
弥勒シリーズ同様、人間の不可思議さ、心の闇の奥底を描き出す著者の小説は、読み手の心を掴んで離さない。
死者の声が聞こえるという異能の持ち主が主人公であるが、健気で明るい彼女と彼女を取り巻く人々が魅力的であ -
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ネタバレ前作2編が物足りなかったので期待していなかったが、作者が登場人物を描くのに慣れてきたからか、ずっと面白くなっていた。
信次郎は名前に反して、だーれも信じていない歪な男だが、今回歪なままにかわいげのあるところを見せている。
ホームズに影響を受けているようだが、ワトソンくんに心を開いていないホームズって単なる性格破綻者なのがよくわかる。
一応ワトソン役の伊佐治さんに対しては少し心を開きかけているようなそうでもないような、どっちかというとドラマのジョンの立ち位置に近い。腹も立つけど見捨てられないみたいな。
そこに第三の男、清之介が信次郎の前に『大きな謎』として立っている。
この構図は今までの探偵もの