あさのあつこのレビュー一覧
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ネタバレ信次郎のが腹を刺された。襲った男は遺体で大川に上がる。探っていくうちに信次郎の父親の過去が見えてくる。信次郎はそれを暴いていこうとするが、伊佐治には耐えられない。
「おもしれえからだよ」「人の本性を露にする。後生大事に被っていた仮面を引き剥がす。化粧を剥ぎ取って素顔をさらけ出させる。おもしれえじゃないか」
それが信次郎である。この男にとって父親などどうでもいいのだ。見知らぬ他人と何らかわりはしない。引き剥がすべき皮を被っているかいないのか。それだけが、人を量る基なのだと、清之助は思い知る。
「だからよ、遠野屋」「おれは、おぬしが許せねえんだ。嫌でたまんねえんだよ。厚くて滑々した皮を被ったままの男がどうにも我慢できねえ」
それが、信次郎が清之助に興味をもつ理由なのだろうか。 -
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ネタバレメインの3人と吉倉家、篠音と與次、於よう、お吉。主要メンバーが勢揃いの最終巻。
闇神波の存在、神波の「宝」、藩の財政、襲撃された篠音と與次、お吉とこどもたち…。問題にきちんと決着がつき「ハッピーエンド」と言える結末だとは思うけど、主人公の伊月が不憫!!
慕ってきた父に運命を弄ばれていたことが発覚し、想いを通じ合わせた於ようとは結ばれないどころかその手で最期を迎えさせることになり、強い信頼関係で結ばれていた圭寿との間に大きな秘密を抱え、その後を影として過ごした生涯。
燦も圭寿も、ほかのみんなが愛する人と幸せな結末を迎え、自分の願いを叶えただけに、真面目で優しい伊月だけが報われなさすぎて悲しい。
圭寿に仕えて、田鶴の人たちの暮らしを守った生涯は、幸せだったと伊月は言いそうな気がするけど、伊月個人も幸せであってほしかった。育ての母の八重が伊月を我が子以上に愛してくれていたのがせめてもの救い。 -
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おいちの不思議語りの2作目。
17歳になったおいちの親友お松とおふね。それぞれが自分の夢を追いかける。おふねは桜を見て怖いと言う。不思議な表現が瞼の奥に残った。
飾職人の新吉やならず者の与造、吉助の登場も布石を打つ。
そのおふねに事件が起こる。おいちは自分が医者と言えないもどかしさを感じる。女医の認められない逆流の時代にふねを漕ぎ出す。おふねの名前はそういう意味なのかもしれない。
おふねにはお腹に赤ん坊がいた。これも布石の一つになっている。前作に少しだけ置かれた石の回収がある。松庵の過去、おいちの出生、田澄十斗との関係が明らかになる。
叔母であるおうたとその夫藤兵衛がこの作品に深みを与えている。苦悩を超えた笑いは病をも克服する。その通りだと実感する。医術に慢心は要らない。全てを治せると思うなと松庵。病やケガを診るのではなく人を診るというのは、どんな人間関係でも言えることだ。素敵な言葉である。
また少しの布石を残して、心の中に桜が舞った。 -
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ネタバレ2019/04/18 再読。
2023/03/24-26 再再読。
・おわっちゃった~。まだビヨンドあるけど……
・ダストシュート落ちてるところの初っ端から、ネズミへの愛の独白が止まらない紫苑やんばいな。でもほんとに、再会してから今までたくさんたくさんのできごとやそれに伴う感情があって、相手に抱く思いの変化や自分に対する自責の念だったりがあっても、あの日ネズミが伸ばした腕を紫苑が握ったのだけは真実だ、というのはすごく強い芯みたいなものだな。
・ふたりにとって確実に強烈な原体験であっただろうし、もしふたりが4年後再会しなくてもこの思い出でしぶとく生き続けられてたろうなと思う。
・ネズミを病院に運んで、イヌカシに肩を抱いてもらったときに支えてくれる体や声や温もりがありがたい、と感謝した直後に「ぼくが欲しいのは、この温もりではないのだ。この身体、この囁き、この腕ではないのだ。」って思うのちょっとウケちゃった。どんだけネズミのこと好き……
・ネズミを治療してくれた医師、そういえばこんな人もいたっけな!なんで忘れてたんだろ!て思ったら直後に死んじゃってた。アニメではどうなってたっけな…… 楊眠関係がかなり変わってるんだよな。
・人知を超えた支配者、それを鎮めることのできる少数の人、というのは今思うとかなりガッチガチのSFだな。初見/初読のころは、エリウリアスの存在がだいぶ浮いてるように感じてた気がするんだけど、ディストピアといえどかなり理解しやすい(未来としてありえなくないくらいの)世界観の中に急にブッ飛んだフィクションの存在が出てきたからかも。
・あと、エリウリアスって海外の神/異形っぽい感じ? クトゥルフとかそういう……クトゥルフ読んだことないから細かくはわかんない。適当なこと言ってる。ごめん。あんまり日本の神っぽくない感じだなって思った。
・そもそもNO.6(都市)が宗教とかほぼ無くなってるからな。だからかも。おもしろい。
・「きみのいない世界なんて、意味がない。ネズミ、なんの意味もないんだ」←ほんとにすごいな紫苑少年は。情熱的にもほどがある。大きくなったらどうなっちゃうの。
・エピローグの終わり方もすご~く良いな…… 壁がなくなったこと、地下世界に住んでいた人が森で定住できるようになったこと、矯正施設の跡が公園になったこと(これはちょっと怖いな)、変化したことを描写して、NO.6という都市を過去のものにしたラスト、良い……
・良い小説!こんなの中学生のときに読んだらおかしくなっちゃうよな(おかしくなった人より)。実はビヨンドの内容はほとんど覚えてないので楽しみ。本編よりも読んだことない気がする。 -
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ネタバレ2019/04/16 再読。
・2023/03/21-22再再読。
・は~。沙布……
・どうやっても間に合わなかったの切なすぎる。違和感にネズミが気づいているのに紫苑がぎりぎりまで気づかなかったのもつらい。
・沙布がどんな姿になっていようとも助け出そうとする紫苑、本当に紫苑。理想をしっかりと実行しようとするところはすばらしいよ、ほんとに。沙布に今までのことを語りたい、新しい友人たちを紹介したい、と頭の中で沙布に話すシーン切ないな。
・沙布と再会した直後、心の中で沙布に語りかける紫苑の一人称が「おれ」になっていて、沙布と紫苑が友人同士でなく、男女の関係として隣にいる未来ももしかしたらあったんじゃないかなと思った。少なくとも4年前にネズミと会ってなかったらの話になるのかもな……
・月薬もそうなんだけどさ…… NO.6(作品)って結構容赦なく「死ぬやつは死ぬ」だよなと思った。コンセプト自体そういうもんだからまあ、そうなんだろうけど、つれえ。
・イヌカシと力河視点の方もかなり好きだ。みんな頑張ってる(特にイヌカシね)。イヌカシは勘がいいし機転もきいてる。頭の中の(心の中の?)ネズミに鼓舞されながらしっかりと動いていてすごいよ。
・なんで沙布を殺した、と取り乱してしまう紫苑に、あんたの言う通り利用したんだと言うネズミつらいな~。紫苑に殺人をさせてしまったこともあり、本当にそうだったんじゃないかと萎えてしまっているネズミ…… 自分に言い聞かせているようでもある。
・動けなくなってしまったネズミに「ひとりで逃げろ」と言われてぶちぎれる紫苑、いいな、かっこいいぞ。そんなこと紫苑ができるわけないとわかっていそうなのに、どうしても言わなきゃいけなかったんだろうな。 -
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ネタバレ2019/04/13 再読。
・2023/03/18-19 再再読。
・欲まるだしなんだけど、やっぱこの巻かなり好きだな…… 矯正施設の中に入って一気に緊張感が増して、お互いのことをもう一度見直したというか改めて認識しなおしたみたいな雰囲気感じる。
・イヌカシとシオンもなー…… なんか、イヌカシに対してやっぱり母性があるんだなあとかそういう…… 母としての役割をあんまり求めたくないと思ってしまうんだけど、イヌカシなりにシオンのことを大事に大事に育てようとしていて良い。赤子からの信頼にしっかりと応えようとしていて、良い保護者だよ。
・必ずシオンのもとに帰る、と決意するところもたまらんな、ネズミと紫苑を助け出して、しっかり自分も生きて帰ると信じている……
・倒した兵士のことを「仕方ない」と言った紫苑にたっぷり5ページ分「あの紫苑が…… 仕方ないって……」って悩んでるネズミ愛おしいな。紫苑が思っているより、ネズミは紫苑の言葉に影響されてんのたまらん。
・そのあと小型爆弾セットしたときに「この位置じゃきみがぼくの盾になってるみたいじゃないか」って言われて「この状況で位置関係なんかどうでもいい、ばか」と返すけど、内心(どんな状況下でも他者のことを忘れない…… 紫苑だ……)って安心してるのすごいよほんと。他者のことを忘れないというか、ネズミだからなんだよな。
・羅史に撃たれて紫苑の腕の中で「やっぱりあんたと死ぬんだな」と受け入れるネズミ、たまらんたまらん。紫苑が反撃すると思ってなかったんだな、ほんとに。ネズミの中で紫苑がどれだけ清らかなもので、聖なるもので、汚れを知らないものであった/あってほしかったのかがここで強く感じられる。
・失意のままに羅史を撃って自責の念に駆られていた紫苑が、ネズミを捉えた途端「瞳の中に歓喜が閃く。笑みが大きく広がる。安堵の吐息がもれる。」と描写されててきぱきネズミの手当に戻るの、すごく、良い…… ネズミに自分がしたことを暗に示されて錯乱するけど、ネズミの涙で正気に戻るところもすごい。紫苑の中でネズミという人間の存在のデカさ。
・ネズミの涙たまらんなあ。この作品の中でさ、ネズミの涙って全部紫苑のために流れてんだよなあ。
・エレベータの中で、祈りのために組み合わされるかと思った指がそのままこぶしになった、とネズミが紫苑を見てるところ、すごくいい。今まであんまり印象に残ってなかったシーンだったんだけど、ここすごくいいな。この期に及んで、紫苑に「他者に慈悲をかけるやさしさ」みたいなものを無意識に望んでしまってるような気がする。
・月薬さ!!?ほんと死なないでよかったよね!!?!? 必要な犠牲とかそんなんじゃなくてほんとに死なないでよかったよね……
・つらすぎる。