あさのあつこのレビュー一覧
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中一の巧は面倒くさい奴であまり好きになれない。大人の目で見ると、このさき巧には挫折しか待っていない気がする。小六の豪が言った「おまえ、きっと、ピンチに弱いぜ」は本当のような気がする。野球部にすぐに入部しない巧の態度は、新田東中野球部そのものをばかにしている。実力もあって自信もある姿は羨ましいが、まだ十三歳だ。強くて上手くなりたいなら、監督や先輩から謙虚に学ぶ姿勢は必要だと思う。巧がやりたいのは野球なのだろううか?、と思う。巧がやりたいのは自分の球をしっかり受け取ってくれる豪を相手に渾身の速球を投げることなんじゃないかな。極端な話、バッターも要らない気もする。だって、打たれるなんて思っていないの
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短編集、とも違うなあ、とある藩のあちこちの、男と女の生き様アンソロジーというか。奥に同じ景色がある粋な設定。
甚三郎始末記/女、ふたり/花散らせる風に/風を待つ/もう一枝あれかし
柚香下川、槙野川の流れるとある小藩、小舞藩、これ架空なんだろうけれど、読み終える頃にはこの藩の景色がなんとなく見える。季節の移ろいも、ひとの暮らしも。それぞれの短編の人間関係はつながってないんだけども、おなじ藩のおなじ時代の出来事で、こういう設定の短編はありそうでなかった。視点は侍であったり武家の妻であったり女郎であったり。立場さまざまで男と女が思いを抱え。ラストの「もう一枝~」は肉付けすれば映画になりそう。秘め -
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ネタバレ★4.5
名作なのは知ってた。ずっと読んでなかったこなかったことをとても後悔した。
ディストピア小説の金字塔!って感じ。
ストーリーも分かりやすいし、キャラも立ってる。
一人一人の生い立ちとか、経験とか、すべてがギュッと詰まってて。でも紫苑に会ってみんな自分の感情がぐるぐる分からなくなって、紫苑は紫苑でネズミ達に会ってすべてがひっくり返って、そんな中で自分も揺らいでいく。
紫苑が自分で気づかないまま闇に落ちていく過程がいい。ネズミはそれを間近で見て、感じで、心動かされたあの純粋無垢な紫苑に戻って欲しいと願う。そんな自分が嫌になる。
NO.6はただの実験施設だったんだね。
人が人を支配しよう -
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紐解いたのは、「岡山藩物語」が収録してあると聞いたから。岡山市が自治体PR誌としてつくった6篇の短編集なのだが、未取得だった。此処には2篇載っている。古代がテーマのあと4篇が不掲載だったのは残念だったけど、これも読み応えあった。
この短編集全部、時代や地域の周辺で頑張っている者たちに焦点を当てている。池田綱政なんて、名君で父親の池田光政と比べると知られていないし、地元では名臣・津田永忠こそ知られているけど全国的には無名である。ましてや、国宝・閑谷学校のあの見事な石の壁を築いた石工なんて、誰も知らない。後楽園の造営、備前平野の広大な沖新田の干拓を支えた高い技術の基に、大阪で孤児になった藤吉の頑 -
ネタバレ 購入済み
快適に管理された聖都市での全てを捨て、「ネズミ」とともに脱出した紫苑。命がけで逃亡した先は、紫苑が初めて目にする壁の向こうの世界、西ブロックだった。
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購入済み
十数年ぶりのNo.6
小学校か中学校のときに図書室にあったNo.6を読んでいました。当時最終巻を読まずに卒業してしまいましたが、ふと表紙を目にしてその内容を思い出し、すごく気になって購入しました。
奇病の正体、No.6の成り立ち、ネズミと紫苑の関係といった物語の中核が明らかになる回で、一気に読み進めてしまいました。
小さい頃に読んだ話ですが、いま読んでも心に来るものがあります。奇病に混乱する人々の不安などは、当時よりも今のほうがよく理解出来、そのために紫苑の勇敢さ、ネズミの抱く紫苑に対する思いをよく感じることができました。 -
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おいちが怪我を治療した老女が突然失踪する。それ以外にも界隈では物乞いが数名失踪しているらしい。いつものように仙五朗親分と事件を追うおいち。
一方で松庵の元に長崎帰りの実の兄が弟子入り。同じ時期に長崎の高名な医師の未亡人が江戸に来て女性のための医塾を開くという。兄・十斗の勧めで入塾することにしたおいちは女医になる目標を定める。更に新吉からの突然のプロポーズをあっさり受け,医術を学びながら所帯を持つ決心をする。
人生の転機を迎えつつ,事件の解決に奔走するおいちの話。
事件には江戸時代の女性の立場の難しさも関係していて。つくづくおいちは恵まれている。これからどうやって生きていくのか大方見当がついてし -
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文章の独特なリズムがくせになる!
だって例えばこう。
『風が吹けば竹林は、海鳴りを模してざわめく。
故郷の音だ。
いつの間にか忘れていた。
垣の間に形ばかり設けられた枝折戸を押す。
一歩、二歩、踏み出す。お春の足はそこで止まった。』
6個の文章で表せるこの部分、くっつけたら3個にできるんです。例えばこう。
「風が吹けば竹林は、海鳴りを模してざわめく。
いつの間にか忘れていた故郷の音だ。
垣の間に形ばかり設けられた枝折戸を押し、一歩、二歩と踏み出すが、お春の足はそこで止まった。」
…なんだろうこの、因数分解する前の数式を見ているようなムズムズ感は。
リズム感もまったくないじゃないか。