あさのあつこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
シリーズ第7弾。舞台は再び田鶴藩へ。
長年田鶴にはびこった膿を一掃し、藩政を立て直すべく新たな藩主となった圭寿。一見目立たない素朴な人柄ながら、稀代の名君になるかもしれないと思わせる素質を有する。そして、それに従う形で田鶴に舞い戻った伊月と燦。それはある意味、長年藩政の重鎮にいた伊月の父、伊左衛門との対峙も意味する。そんな最中、燦そして圭寿が何者かに狙われる。
本巻は今までの巻に比べると比較的流れは穏やかな印象を受ける。嵐の前の静けさといった感じか。ラストで圭寿が狙われる場面から一気に展開が早くなるが、それまでは直接的な行動というよりは、その裏に隠れた思惑が描かれている。 -
Posted by ブクログ
竹林を背負った江戸の片隅で子堕ろしを行う闇医者おゑんの活躍を描くシリーズ第2弾(現段階では最終巻)。本書は表題作「花冷えて」と「竹が鳴く」の2編を収録した中編集。
子堕ろしを行うとしながらも堕ろすことのみに焦点を合わせず、やってきた患者たちにやさしく手を差しのべるといった印象が強い。「母は強し」を地で行くシリーズ感じる。ただ、表題作はシリーズの流れからすると謎解き要素もあり、やや異質な印象を受けるが、女性の再生をテーマにしているところでは最も色濃く印象付ける作品になっている。
「ものは捉え方次第で変わる」ということを改めて思うことのできるシリーズである。