あさのあつこのレビュー一覧

  • 燦 8 鷹の刃

    Posted by ブクログ

     シリーズ最終巻。
     遂に圭寿を襲った事件の黒幕が明らかになる。そこには、藩政を左右する陰謀が渦巻いていた。そして、伊月の父、伊左衛門の不穏な動きも明らかとなり、そこには恐るべき秘密が隠されていた。
     ほとんどの主要人物が田鶴藩に集結し、クライマックスを迎える。「誰々はこうすべきもの」という価値観に縛られない生き方というのは、いつの時代も切り拓く力となる。そういったことも、このシリーズでは伝えているように思う。ただ、政治の世界において全てにおいて清廉潔白というのは難しいのではないかという疑問もやはり持ち得てしまう。

    0
    2021年02月22日
  • 燦 7 天の刃

    Posted by ブクログ

     シリーズ第7弾。舞台は再び田鶴藩へ。
     長年田鶴にはびこった膿を一掃し、藩政を立て直すべく新たな藩主となった圭寿。一見目立たない素朴な人柄ながら、稀代の名君になるかもしれないと思わせる素質を有する。そして、それに従う形で田鶴に舞い戻った伊月と燦。それはある意味、長年藩政の重鎮にいた伊月の父、伊左衛門との対峙も意味する。そんな最中、燦そして圭寿が何者かに狙われる。
     本巻は今までの巻に比べると比較的流れは穏やかな印象を受ける。嵐の前の静けさといった感じか。ラストで圭寿が狙われる場面から一気に展開が早くなるが、それまでは直接的な行動というよりは、その裏に隠れた思惑が描かれている。

    0
    2021年02月21日
  • 燦 6 花の刃

    Posted by ブクログ

     シリーズ第6弾。江戸編ラスト。
     刺客の正体が明らかになると、今度はその刺客を送り込んだのは誰かということになる。そして、燦、伊月、圭寿の3人はいよいよ核心に迫っていく。結果、この問題の闇は、自分らの出身地である田鶴藩にあることを認めた3人は、いよいよ田鶴に向けて江戸を立つ。
     舞台はいよいよ最終章へ。

    0
    2021年02月19日
  • 燦 5 氷の刃

    Posted by ブクログ

     シリーズ第5弾。
     物語もクライマックスに向けて、徐々に加速していく。江戸の町で次々と殺戮を繰り返していた者の正体がいよいよ明らかに。まさに数多の権謀術数が渦巻いているからこそ成り立っていたと思われる太平の世、江戸。一般人の知らぬところで微妙なバランスをとりながら、まさに戦乱と紙一重。自分の思いとは裏腹な行動をせざるを得なかった上に立つ者の使命が描かれている。

    0
    2021年02月18日
  • 燦 4 炎の刃

    Posted by ブクログ

     シリーズ第4弾。
     伊月たちを取り巻く事件の輪郭も朧気ながら捉えられてきて、いよいよ話も佳境に入ってきた。
     内容もさることながら、人の上に立つ者の苦悩、自分の思い通りに事を進めることができない苦労、そのあたりが本巻では際立っているように思う。運命と言えばそれまでなのだが、それに抗うというのは難しいものであると痛感させられる。

    0
    2021年02月17日
  • 燦 3 土の刃

    Posted by ブクログ

     シリーズ第3弾。
     話の流れとしては、まだまだ謎に包まれた部分が多いが、前作で疑問だったところが少し解決されて、それと同時に新たな事件が…、といった流れで飽きない。1冊200ページほどという読み切りサイズもテンポよく読めて丁度いい。
     まるで、連続ドラマを見ている感じがする作品で、次の展開が待ち遠しくなる。

    0
    2021年02月12日
  • 鬼を待つ

    Posted by ブクログ

    殺人とも思われない事件から連続して殺人が起きるが、木暮同心の信じられないような洞察力で一気に解決。黒幕と思われた人物が実は、、、。相変わらず、どうしようもない暗さの内容がクセになる。

    0
    2021年02月11日
  • 燦 2 光の刃

    Posted by ブクログ

     シリーズ第2弾の舞台は江戸。
     伊月は世継ぎが決まった圭寿とともに江戸の大名屋敷住まい。そんな折、圭寿から頼まれごとをされ、単身江戸の町へ。伊月の知らぬところで、やや不穏な動きが。そして、町からの帰り道に掏摸に出くわし、ひょんなことから燦とも再会する。
    屋敷に帰り着いた伊月のもとに、圭寿暗殺の動きがあるとの知らせが。そして、それを知らせた者は闇夜で何者かに斬られ…。時を同じくして伊月の財布をすった子どもが惨殺され、その場に燦も出くわし…。
     闇夜で蠢く何らかの陰謀、そして闇夜を切り裂く一閃の光。激動の始まりを告げる第2巻。

    0
    2021年02月07日
  • 燦 1 風の刃

    Posted by ブクログ

     文春文庫書き下ろしのシリーズ第1弾。歴史小説ではあるが、主人公が青年ということもあり、青春小説歴史版といった感じで読みやすい。
     舞台は江戸から遠く離れた雪国の田鶴藩。そこで武士として友の影として生きる道を選んだ伊月、その伊月と藩主襲撃の場で相見えた並外れた能力を持つ燦。燦は神波の一族だという。神波とは何者?なぜ藩主は襲われた?そうした謎が解き明かされる本巻。

    0
    2021年02月07日
  • 緋色の稜線

    Posted by ブクログ

    一 月夜 二 雷光 三 漆黒
    四 出発 五 黎明 六 燭光

    山中で出会った少年と幼女。出会いから不思議さが増していく。吉行の認識は現実なのか、彼の意識が狂っているのか、茫漠とした中で時は過ぎる。
    そして残ったのは……

    0
    2021年01月08日
  • 天を灼く

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    後半から目が離せなくなる面白い。吾馬がまさかとは思った場面もハラハラした。
    拓殖左京と伊吹藤士郎のやりとりも好きだった。武士系の本が好きな人にも勧められる、読みやすい作品であった。

    0
    2020年12月21日
  • ガールズ・ブルー

    Posted by ブクログ

    3時間ほどで読み終わり、非常に読みやすい物語だった。大きな出来事や事件が起こるわけではなかったが、高校生の日常がテンポ良く描かれていたため、物語に引き込まれた。
    こんな高校生活もありかもしれないと思った。

    0
    2020年12月18日
  • 東雲(しののめ)の途(みち)

    Posted by ブクログ

    弥勒シリーズの第四弾。
    今作では、小間物問屋の遠野屋が、ついに過去と正面から向き合って、逃げずに覚悟を決めた。
    ここまで、ずっと暗く付き纏っていた不安感が消えて、とても気持ちよく作品の世界に入り込めた。
    江戸を(信次郎とも)離れ、遠野屋と伊佐次が旅する様子も新鮮で、瑠璃の謎を解き、貧しい藩の活路を語る遠野屋が良かった。

    0
    2020年12月11日
  • NO.6〔ナンバーシックス〕 #3

    Posted by ブクログ

    1.美しいものたちは
    2.穏やかな風景
    3.果てなる地
    4.真実の嘘、虚構の真実
    5.偽りの傍らで
    登場人物が増えてきた‼️

    0
    2020年11月16日
  • 木練柿(こねりがき)

    Posted by ブクログ

    弥勒の月シリーズ第三巻。
    同心の信次郎、岡っ引きの伊佐治、小間物問屋遠野屋の主、清之介。
    この三人を中心にした短編集で、表題作を含む四編がどれもとても良かった。
    読者である自分が三人の関係性に段々と慣れてきたのか、江戸の町で生きる人々の思いに感情移入できて楽しめました。

    0
    2020年11月14日
  • うふふな日々

    Posted by ブクログ

    日々の何でもないことが改めて愛おしく思える本でした。
    文中で、20代は踠いて苦しんで、それでいいと肯定してくれていて、励まされたし、歳を重ねるっていいなって思えました。

    自然への畏怖の念、人の思いの通わない権威やウソへの静かな抗議、〇〇すべきと自分を閉じ込めることの息苦しさ、思考し続けることの大切さ、、、

    親しみの湧く人柄の根っこに、
    しっかりとした信念が流れている方なんだなぁと思いました。私も、いろいろ悩みながら、自分のモノサシをせっせと磨いていこうと思います。

    0
    2020年10月12日
  • ランナー

    Posted by ブクログ

    一度陸上部を退部することを決意した天性の長距離ランナーの主人公が、自分の中にある言い訳から逃げず、再びスタートラインを目指す物語。
    家族愛が伝わるところがポイント!(ゆみまる)

    0
    2020年10月10日
  • グラウンドの空

    Posted by ブクログ

    前半がややスローペースな印象ですが、やはりあさのあつこさん。期待を裏切りません。

    中学生ならではの大人にはなりきれない思考や葛藤と野球への熱い思いが繊細に書かれていました。

    グラウンドの詩も手に取ってみようと思います。

    0
    2020年09月21日
  • 地に滾る

    Posted by ブクログ

    前作は暗く重い流れだったが、2冊目は主人公の兄弟も大分世の中が見えてきたのか明るくなってきて、軽く読めるようになった。地元に戻る最後の結末が楽しみとなった。

    0
    2020年09月14日
  • 闇医者おゑん秘録帖 花冷えて

    Posted by ブクログ

     竹林を背負った江戸の片隅で子堕ろしを行う闇医者おゑんの活躍を描くシリーズ第2弾(現段階では最終巻)。本書は表題作「花冷えて」と「竹が鳴く」の2編を収録した中編集。
     子堕ろしを行うとしながらも堕ろすことのみに焦点を合わせず、やってきた患者たちにやさしく手を差しのべるといった印象が強い。「母は強し」を地で行くシリーズ感じる。ただ、表題作はシリーズの流れからすると謎解き要素もあり、やや異質な印象を受けるが、女性の再生をテーマにしているところでは最も色濃く印象付ける作品になっている。
     「ものは捉え方次第で変わる」ということを改めて思うことのできるシリーズである。

    0
    2020年07月20日