【感想・ネタバレ】白磁の薔薇のレビュー

あらすじ

標高千五百メートルの麗峰の中腹に建つ『ユートピア』、そこは死を間近にした人々が最高で最期の治療と看護を保証された豪華なホスピス。入居者は元女優の凛子や著名なエッセイストの水原など莫大な費用が払える特別な人間ばかりだった。看護師長の千香子はオーナーの中条に見込まれ独身のまま住み込みで務めていた。ある日、季節外れの嵐によって道が寸断され『ユートピア』は孤立してしまう。千香子を含めその場に残されたスタッフ全員が中条の部屋に呼ばれる。そこで彼が話し出したのは、とんでもない提案だった。翌朝、駐車場でスタッフの一人が他殺体で発見される……! 大人のサスペンス・ミステリ―完結編!
「あえて本文庫が白兎シリーズという名称を使わない理由もわかる。(中略) それにしても、何とも不思議な魅力に満ちた連作であることか」(解説:池上冬樹)
(本作は、長らく在庫切れだった『白兎4 天国という名の組曲』(講談社)を著者が全面見直しし、加筆修正、改題の上文庫化したものです)

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

「白兎」シリーズ、最終巻。生と死の狭間に生きる白兎は、不思議な存在だと認識されてもなお、自然と受け入れられていきます。

結局、思考をさらしてしまうことは野暮だから、彼自身の思いが語られることはなかったんですが、役目についてどう思っているのか知りたかった気持ちはあります。言葉の端々には出てきているけど、歯がゆい思いをしつつも、何故その役目を果たそうとしているのかとか。なぜ少年の姿なのかとか。

> 生きることが希望だと思わないけれど、死もまた救済にはならない

40代にもなると、生まれた意味を問い続ける時間は終わって、ずいぶん前から、生きた証を残していくことに時間を費やすことが必要になりました。でも、それは生きた奇跡そのものなのだとしたら、何も探求することなく、ありのままの自分でいることで意味のある人生だったと言えるんだなと思えました。

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2021年07月11日

Posted by ブクログ

嵐により道が崩壊し、外界から閉ざされた豪華なホテルで起きる殺人事件。
関係する人物は限られており、正当な密室殺人を扱った本格ミステリーかと。
しかし、本書はやはり白兎シリーズの4。
「この世にいてはいけない魂を還すのが、おれの役目ですから」と、白兎が登場する。
読者の前に二重三重に用意された扉が、次々と開いてゆき、登場人物たちの真の姿が明らかにされる。
「生と死のあわいに存在する者」として白兎を据え、生と死を巡る言葉を綴るこのシリーズ。
『バッテリー』などとは一線を画し、『弥勒』シリーズとともに、著者の多様性を示す作品。

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2021年05月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 選ばれた持てる人たちのホスピス、「ユートピア」。嵐により孤立した「ユートピア」で、オーナーの中条がスタッフにある提案をする。翌朝、看護師のひとりの死体が見つかる。

 選ばれた最高級のスタッフという割には、なんだかな~と思っていたら、そういうことか。オーナーはゲスだし、もう一人サイコパスがいるし、でとんでもない面子だった。被害者は身から出た錆で、むしろ加害者が気の毒で残念。こんなのを殺して罪を負うなんて。
 元大女優の凜子さんが素敵だった。

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2021年11月28日

Posted by ブクログ

シリーズ最終巻。まだ続きそうな感じも残しつつの終わりだった。シリーズを通して生きている事死することが描かれていたが、なによりもその間にある時間について考えるシリーズだったように思う。ファンタジーに包まれた哲学のように感じた。密室事件があるので、そこそこの緊張感もあり読み終わりはちょっと疲労感があった

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2021年10月05日

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