あさのあつこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あらゆるものを商う、妖しい商人スーサの物語二話。
単純な連作集と思って読むと、ちと違う。
二話目の主人公歩美が、幼い頃に、親友の祖母から聞いた不思議な物語が一話目、という仕組み。
その祖母は、孫娘たちにとっておきの物語を美しい声で語り聞かせるために、3日分の命をスーサに支払ったという。
夢見がちで孤立しがちな中学生、歩美。
ある日、歩美の前に現れたスーサは、彼女の黒髪を代価に、すれ違ったまま事故死した智香に再会させてくれるという取引をする。
商品として、奇妙な異世界をスーサと旅する中で、歩美は様々な事に気付き、成長していく。
スーサという存在だけで十分面白い設定。シリーズで、もっと読んで -
Posted by ブクログ
ついに迎えた最終巻。
横手との試合の日もついに当日を迎えます。
読んでいて、能力の限界と、天才の壁というものをありありと感じさせてくれました。
努力である程度力はつけられるとしても、どうしたって能力の限界はある。
かといって天才が無敵かというとそうではなく、天才だって壁にぶつかる。
世界は案外平等なのかもしれないですね。
物語はクライマックスに向かって進んでいきますが、結末は予想通りといえば予想通り。
とはいえ、とてもいい試合でしたね。
最初で最後の最高の試合。
このメンバーで試合をすることはないでしょうが、タスキを繋ぐようにしっかりと次に活かしてくれるメンバーもいますしね。
中学時代っ -
Posted by ブクログ
そうか、ちょうど1年が経つのか、巧がこっちに来てから。
随分と成長をした1年でしたね。巧だけじゃなくて、豪も、なにより青波も。
中高生の頃というのは、ちょうど潔癖さが際立つ時期で、黒か白かはっきりさせたくなるような年頃かもしれない。
少なくとも、私はそうでした。
その時期を越えて、少しずつ曖昧なものを認められるように、受け入れられるようになる。巧や豪はちょうどその過渡期にいて、瑞垣だって例外じゃない。
うまく折り合いをつけてきた、つけざるを得なかったのだろうけど、全部を消化してこれたわけじゃないし、今本気で動く瑞垣がかっこよく映る。どうやら私はやっぱり瑞垣がすごく気になるようです。
突出し -
Posted by ブクログ
久しぶりのこのシリーズ。
前巻を読んでから既に2ヶ月以上経っているのに驚きますが、ページを開けばすぐにこの世界にのめり込める。
4巻は、触れてはいけない空気を孕んだ、緊迫した物語の始まりでした。
待ちに待った横手との試合での、まさかの出来事。
ネタバレを避けて感想を言うのが難しいところですが、スポーツの試合、もちろん何があっても不思議じゃない。とはいえ、残念なような、誰が悪いというものではないからこそ消化しきれないもやもや感が残る試合でした。
思えば、野球のバッテリーというのは随分不思議な関係ですね。
テニスや卓球のようにダブルスで組むスポーツもあるけれど、チームの中において、あんな風に1