あらすじ
「藪入りには帰っておいで。待ってるからね」母の言葉を胸に刻み、料理茶屋「橘屋」へ奉公に出たおふく。下働きを始めたおふくを、仲居頭のお多代は厳しく躾ける。涙を堪えながら立ち働く少女の内には、幼馴染の正次(しょうじ)にかけられたある言葉があったが――。江戸深川に生きる庶民の哀しみと矜持を描いた人情絵巻。
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あさのあつこさんの時代小説を始めて読んだ。
時代物は宮部みゆきさんの物ばかりで、あまり他の作家さんのは読んだことがなかった。
宮部さんはのは、悲しい事件があったとしても、そこにほんわかとした人情面が前面に出されている感じがするが、あさのさんのは、江戸に生きる底辺層の人々の生活の厳しさや零落していく様がキッチリと描かれている気がする。
江戸時代は人情が溢れていていいなぁ、という単純な思いより、厳しくも逞しく生きる人々への尊敬の念を抱かせられる、そんな作品だ。
2018.6
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2017/9/30
仕事中にビンタでしばかれてんのが現代人の私にはひえぇぇ~ってなるけど概ねいい話。
でもしばかれる度に現実に戻っちゃうの。
しばかれる描写邪魔やったわ。
お多代さんはかっこいいんだけどね。
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「じつに切ない、しかし凛とした余韻が読後にしみじみと広がっていく。読んでよかったと、心から思える一冊だ。」(解説の山前譲氏の冒頭の言葉です) 私もまったく同感です。あさのあつこさんの「待ってる」・・・、この作家、この作品を紹介いただいた読友さんに大感謝です!
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あさの作品で恋愛をするのは、たいてい大人として登場して、大人として成熟し、良くも悪くも熟れて濁りのある人たちだなと。
この話に出てくる女性たちも、男絡みの物語という共通項があるくせに、最後はみんな自分の生き方、信念みたいなものを取っている。あさの作品の少年少女、大人になりたての若い生き物は、色恋に流されない、それ以上に大事な何かをもってるみたい。だからこそあつこは少年少女に惹かれるんだろうなー。
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202207/料理屋橘屋を舞台にした連作短編集。この表紙絵とタイトルが好みじゃなくあまり期待せず読んだけど面白かったし、読後はこのタイトルの重みがわかりグッときた。
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あさのあつこさんの時代小説、何冊目か?
特に、女性が主人公のものは読みやすく思う。
今回は、橘屋という料理屋にかかわる人々の物語。一周回ってうまく着地した感じの読後感。ただし、ちょっと寂しい感じはした。
またもキャスティングをいろいろ想像してみたが、書いてある年齢より、もう少し年上の人たちの方がしっくりくるんじゃないかと思ったり・・。
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面白かった。
あさのあつこさんは時代小説も書くのか!と思いつつ手に取った一冊。
料亭橘屋をめぐる物語。
各話、切ない内容だが、芯が通ってしっかりした内容。
お多代の存在が大きい。
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一つの料理茶屋を舞台にした短編連作。
この作者の作品には、辛い状況や厳しい運命のなかでも、歯を食いしばって踏みとどまる、人間の強さ、逞しさが常に根底に流れているのを感じるが、この作品は特にそれがはっきりと描かれている。
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☆3.4
料理茶屋『橘屋』の奉公人たちをめぐる短編時代小説。
橘屋には仲居頭のお多代を中心に回っている。
厳しくも、人にはやすやすと見せない愛情に溢れたお多代に心が暖まる。
あさのあつこの小説にはいつもいい意味で泣かされてばかりだけど、この小説は少し違ったかな。
心の表面をサラッと撫でられはしても、鷲掴みにされて揺さぶられるほどではなかった。