あさのあつこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ継寿の側室=於ようの方、そして闇神派。
前巻までが主軸となる伊月・燦・圭寿の周りを固める内容。
そしていよいよ本物の悪役の登場となる。
とはいえ闇神派はまだ姿はなく、新たに登場する名前を見つけては「お前か?お前なのか?!」と疑いながら読み進めることになる。
継寿の側室もなんだかとーってもキナ臭い。
退廃的な雰囲気の美人寡婦。(側室も”寡婦”と呼んでいいのだろうか)
そんな雰囲気だけど、圭寿の出自の謎を口にしたあたりなにか悪いことを企んでいそう。
なので於ようの方にも「お、お前かっ!?」と疑わずにはいられない。
伊月たちよりも私が疑心暗鬼になってしまうのだった。
しっかし、女難の相が出てる -
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Posted by ブクログ
いろいろなものを背負い、走ることを恐れていた少年、加納碧李の復帰戦を描いた物語。
あさのさんの作品でいつも感じるのが、登場人物の心の機微が、その人の身体感覚や周りの風景と融解している感じ、つまりその人の気持ちを体の一部の感覚や見える景色で妙に言い表している感じがものすごくうまいということだ。
きっと心理描写と一言で言えることなのだろうけど、その変化が物語の中できれいにうねっていて、そのうねりがキャラクタリスティックでいいのだと思う。
本作でも、主人公の走るまでの緊張感やもどかしさ、走り出してからの背負い込んだものがはがれていく様子、ゴール後の冷静と感覚的なものの入り混じった様子が見事に描かれて