あらすじ
その昔、神と人が共に暮らす世界があった。ある日、雨の神に選ばれたばかりのシムが降らせた恵みの雨が、止まなくなってしまう。姉を心配し、彼女のもとへ向かった弟のリュイは、その原因がシムの恋にあることを知る。彼女は人間の若き細工師に一目惚れをしていた……。恋愛や友情が人間だけのものでなかった頃の、優しく切ない六つの連なる物語。
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その昔、神と人が共に暮らす世界があった。ある日、雨の神に呼ばれたばかりのシムが降らせた恵みの雨が、止まらなくなってしまう。姉を心配し、彼女のもとへ向かった弟のリュイは、その原因がシムの恋にあることを知る。彼女は人間の若き細工師に一目ぼれしていた・・・。恋愛や友情が人間のものでなかった頃の、優しく切ない六つの連なる物語。
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あさのあつこさんといえば『バッテリー』や『The MANZAI』といった青春小説しか知らなかったのだけど、鈴木康士さんの装丁画に惹かれ、思わずジャケ買いしてしまった本書。
神と人とが共に暮らす時代の神話が6編。
雨の神に選ばれたシムチャッカは、自分への捧げ物のために寝食を忘れて装飾品を彫り続ける細工師に恋し、
皮肉屋の死の神グドミアノと醜いがゆえに忌み嫌われる心優しき沼の神フイモットの奇妙な友情、
一世一代の恋に破滅を迎えた哀しい人間、
天真爛漫でおてんばな風の神と盗賊たちのふれあい、
神の失敗によって翻弄された、叔父と皇子の哀しい約束。
少しだけ、人間のできないことができ長く生きるというだけで、地上に生きる人間となんら変わりない神々の存在。
戦乱も諍いもあふれているけれど、
小川のせせらぎのような、
木漏れ日を浴びながら森の小路を歩いているような。
物語のなかには、牧歌的で、やさしい時が流れ続けている。
読み終えた時には、なんだかもったいない気持ちに。
もう少しこの世界にいて、他の神さまのお話も聞いていたかったな、という名残惜しさを感じた。
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何年か前に買ったままだったものをようやく読みました。面白い。個人的にはフイモットが好き。あさのあつこ先生のストーリーは本当にすき。読んだ後のこのほっこり感があさのあつこ先生だなぁと感じます。日頃ミステリー読んでる私には一種の癒し?なのかなぁ
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ふんわりとあたたかい空気に包まれた状態で読み終わった。
神と人とクウとの比較的”切ない”関係性が多いのだけれど、そこに注がれてる眼差しが心地よい。
神だからこそ、人だからこその葛藤というものには重きを置かれていないけれども、行間からじんわりと滲み出ている感じ。
水彩画を読んでいるような気分だった。
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人と神がもっと密接な関係を築いていた時代のお話。
神の恋、悩み、友情、失敗などを描いた短編集。
あさのさんが描く新たな神話と言っていいかな。
神にも色々あるんだねー。
もっとほかの神たちの話も読みたかったな。
中高生にもおすすめできる読みやすくて
面白い一冊でした。
個人的には『グドミアノと土蛙の話』が一番好きでした。
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神話のような、童話のような世界観、文明レベルで生活する
人間、神の物語。神様は人の世界にいて、怒りもするし、喜びもするから、失敗もする。
そんな不完全な存在としての神様を人間あがめて生きていた。
そんな世界で起こる6つのお話。
どこか神話チックで、悲劇が多い。
けれどもなんだろう、それぞれがどこか本質的に人間と言うのはこういうものなんだ、
と言っているようには感じて、それがまた神話っぽク感じる原因なのかな?
軽く読む分にはとっても面白いです。
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要するに、神も人と大差ないのだ。愚かな過ちを犯し、後悔し、ときにしょげ返ったりする。泣いて、すねて、嫉妬する。
しかし、人間たちはそんな神を敬愛し、頼り、畏れ、たまに……たまに困り果てながらも、崇めて暮らしている。祈りを捧げ、感謝を捧げる。神々も人を慈しみ、その日々を守り支えていた。
この地では神々と人々は互いを尊び、大切にしながら長い時を共に生きてきたのだ。
(P.274)
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☆3.8
愚かで聡明、だからこそ愛おしい神々と人々の話。
神も人のように恋に落ち、嫉妬する。
特定の国や文化が描かれているわけではないけれど、日本が古来より信仰してきた八百万の神のように、ローマやギリシャ神話のように様々な神々が登場する。
私としてはぜひフィモットと沼の淵で静かに語り合ってみたい。
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神様と人間の関係を取り巻く短編連作本。
本当に午睡みたいに、物語自体に勢いはないです。ゆるやかで、全体の雰囲気としては童話に近いです。
日々の疲れを癒してくれそうな、そんな一冊でした。