あさのあつこのレビュー一覧
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購入済み
原作ファンでした
原作のいいところがきっちり残っていたと思います。
特にコミカルな表現はしっかり残っていてテンション上がりました。
ただ漫画表現だからシリアスな表現はもう一声ほしかったかも…
いずれにせよ大好きな原作だったので楽しく拝読できました。 -
Posted by ブクログ
2006年発行の落ちこぼれ高校の若者たちの青春群像を描いた文庫本。その時に書いた書評を今さっき見返して、我ながら感心したので載せてみる。
文庫解説の金原端人が「80年代、ヤングアダルト小説は振るわなかった。なぜならそれに代わるものとしてマンガがあったからだ。」という意味のことを言って大島弓子、岡崎京子、吉田秋生、山岸涼子、岡野玲子、吉野朔実、川原泉、水野英子、内田善美の名をあげている。どうしてこれらの名の中に萩尾望都、清原なつみ、三原順の名が無いのか、疑問ではあるが、確かに昔の少女漫画には輝きがあった。(どのようにあったのかはここでは立ち入らない。)一方、ヤングアダルト小説なるものを私は読まなかった。ワンパターンの恋愛小説だと思っていたからである。金原端人によると、90年代からその様相が逆転したらしい。江口香織、三浦しをん、角田光代、梨木香歩、藤野千夜、野中柊、梨屋アリエ、森絵都、佐藤多佳子らの名があげられ、(何人かは直木賞作家になっている)「もうマンガではすくい取れなくなってしまった若者たちを驚くほどたくみに細やかにすくいあげているのだ」と評価する。その中でひときわ輝いてるのが、あさのあつこだというのだ。確かに、これらの作家のほとんどを私は読んでいないが、あさのあつこの中には吉田秋生や三浦順的世界が確かにあるのを私も感じる。
この本の感想をメモしていた土曜日の朝、私はマクドナルドにいた。4人くらいの17歳ぐらいの男の子がどやどやと入ってきて、店全体に響き渡るような声でおしゃべりを始めた。いや、4人がではない。よく聞くと、大きな声は一人のみ。一時間ほど聞いていると、この男のがどんな子なのか分かるくらいあけすけに思ったことをそのまましゃべっているという感じである。そういう性格なのだろう。
もてるらしい。
女の子たちはこの男の子をどうしようもない、と思いながら、でも良いところが忘れられずに付き合っているのかもしれない。なんか、そんなことまで分かるくらい彼はいろいろなことを喋り出した。
彼の言うには、
たくさんの女の子と付き合ってきて桃子のことが一番好きだったこと。
今の彼女とは上手くいっていなくて別れたいこと。
理科のテストで一番を取ったこと。
3ヶ月の子どもを堕ろしたこと。
3回浮気して許してもらったけど、
彼女の一回の浮気が許せないこと。
そういう彼に対して、一人の男の子は浮気なんて考えられない、と自分の彼女の話をする。
一人の男の子はぼそぼそと一言二言話す。
声の大きい男の子は「まじめな話‥」と言い出すと、隣の男の子はすぐに「お前が言うとまじめだと思えない」と返す。でもその男の子も本気で怒っているわけではない。
「だって遊びたい年頃なんだもん。今すぐカラオケに行って何時間でも歌いたいんだよ。」といって彼らは店を飛び出していった。
そのあと、店を出ようとした中学生の女の子が、テーブルの上に片付けられていない紙コップを見て鼻で笑って出て行った。
この小説は「落ちこぼれ高校」に通う女の子、男の子が出てきて、小説的には深刻な事件は一切起こらない。大半は彼らのおしゃべりで埋まっている。けれども、そこからは17歳の世界が、いかにりりしく、強く、反対に弱いかを何とか掬い上げている。子どもを堕ろすような「悪い子」は出てこない。けれども、すこしずつ危うい。あるいは頼もしい。微妙な世界をあさのあつこはよくもこうもリアルに書けるものだと感心する。
先のマクドナルドの男のたち、いつか君たちとじっくりお話ししたいものです。 -
Posted by ブクログ
毎年夏の時期になると無性に読み返したくなるのがこのシリーズ。
今年も漏れなく読み返し完了しました。
初めて読んだのは中学生の頃。
あの頃理解できなかった少年たちの心情やそれを繊細な自然の描写に乗せて描かれた景色も、ようやくわかってきた気がします。
登場人物ひとりひとりの野球に対する想いは、きっと周りの人間や彼ら本人にも容易に理解してそれを嚥下して受け止められるほど簡単なものではきっとないのでしょう。
思春期にぶち当たった彼らが言葉にできない思いを抱え、ぐちゃぐちゃになりながらどう在りたいか模索していく様は、醜くも、とても美しく思えてしまいます。
児童書なだけに普段本を読まないかたでもするすると読めると思います。
結末については、中途半端という声がよく聞こえますが、私はこれで十分だと感じています。
最後の試合の勝敗は、物語に必要ではないはずです。
彼らの物語は、その試合で終わることはないのですから。
2巻のあとがきで後述されているように、巧が周囲を変えていく存在であること。不変の存在とさせながら一巻から最終巻まで巧もまた周囲の影響を受けて変わっている。
それは成長と陳腐なものではなく、周囲の望むように変わったわけでもなく、あの傲慢さも消えたわけではない。
しかし最初のころ巧から感じられるあの危うさは、最終巻では抜群の安心感になっているのです。
変わったのは巧でしょうか。もしかしたら私達読者も彼らに変えられたのかもしれませんね。 -
Posted by ブクログ
カーテンが風をはらんで揺れる光景と、暖かくてやわらかな春の陽光。夏のギラギラした日差しと、太陽に照らされて汗がにじむ健康的な肌。朝の冷え切った空気に溶けていく白い息と、澄み切った青い空。同じ町の出来事なのに、季節の移り変わりとその情景が目に浮かんでくる。
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友達との距離感、恋愛、葛藤、決心…心に自然と湧き上がるいろんな感情と自分自身に、14歳の男女が向き合って、選択して、迷ったり後悔したりしながら、道を切り開いていく。青春に恋愛は絡まりがちだけど、これはすごくあっさりしていて、青春=恋愛じゃないところがいい。結果を出さなくてもハッピー感が伝わる終末も魅力的。
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窓、すき。
窓を考えた人、作った人、天才。 -
Posted by ブクログ
高校生、引きこもりの岳彦が、幼い頃から大好きだった叔母むぅちゃんに誘われて「ILL」(I Love Letter)という文通会社に勤めることになる。
この、叔母むぅちゃんの天真爛漫な明るさに照らされているのだけど、一つ一つの話は割と重い。
殺人、自殺、DV、愛憎劇などなど。
ここだけ取ると、ミステリーじゃん!
そんな案件に割と巻き込まれている会社によく勤めていられるな、岳彦、と正直思わなくもない。
手紙は、不思議だ。
メールよりも温度があって、でも、見えない。
どんなに華やかな語りも、おぞましい語りも、文章だけで真偽は分からない。
この作品は岳彦を中心としているが故に、手紙のやり取りをした相手がどうなったかということを、具に知ることが出来ないところが少し残念。
けれど、何かに疲れて立ち止まった所からはじまる岳彦が、人と人との奇妙な縁に興味を感じ、丁寧に関わっていこうとする姿にほっとする。
岳彦も、岳彦自身を文に描きながら、整理して進んでいるんだろう。 -
Posted by ブクログ
同作者の「敗者達の季節」を読み終えた後、本屋で手にした一冊。
野球というスポーツを通じて、これだけの人間ドラマが書けるのだということを証明してくれていて、とても励みになる。こうなってくるともう、可能性なんて無限にあるのだと言われているような気さえする。
野球で盛り上がるシーンってのは大体相場が決まってしまっていて、例えば大事な試合の九回裏、ツーアウト満塁……なんて、野球関連の作品でこれまで幾度となく描写されてきたシーンだと思うけど、それでも一つとして全く同じ物語はないのだろう。グラウンドに立つ一人一人に生きてきた人生があり、そんな選手達を見守る家族や恋人、先生といった親しい立場の人達にもまた積み重ねてきたものがある。それらが絡み合うことで紡がれていくドラマは、高校まで野球に身を投じてきた僕からすれば等しく尊くて愛おしい。
全10話ある中で自分が一番印象に残ったのは「ランニング」。これだけなんか、他の作品とは匂いが違うような気がした。
さあ、今年も熱い夏が始まろうとしているぞい。 -
Posted by ブクログ
表紙のイラストが明らかに高校球児×作者があさのあつこさん=即買い、の方程式
この小説を読み終えて、「甲子園出場を果たすこと」という出来事の周りに、それはもうたくさんの人と、その人達を取り巻くドラマ……なんて安直な言い方はしたくないんだけど、喜びや悲しみといった感情、歴史なんてものも含めて、多くの人生が絡み合って存在するんだってことを、あらためて分からされた。最初は出場校の選手達だけの話で進むとばかり思っていたから、視点が多岐に渡っていけばいくほど「でもそうか、そうだよな……」って気持ちになった。
自分も高校まで野球やってたので、今でもこの季節になるとついついチャンネルを野球中継に合わせてしまう。で、「今年はどこそこが行ったかー」なんて思ってるわけだけど、その出来事にはグラウンドに立つ選手達はもちろん、ベンチ、スタンドで見守る部員達、監督やマネージャー、野球部に関わっている家族、親族、その学校の生徒、地域の人……なんて、挙げてったらきりがないほどの人が繋がっていて、それだけ多くの人の心を激しく、仮に僅かだったとしても、少なからず揺さぶっているわけで。最後まで読んだときに、やっぱ野球っていいなって、野球が好きだなって思いました。
最後の方にエースの母親のエピソードが入って来たところで、個人的には「いやそれより気になるのは試合の方……!」って思っちゃったので悩んだ末に星4なんですが、出会えて良かったと思える一冊でした。
ていうかね、読み終えた後に気付いたんですが俺バッテリー最後まで読んでないじゃん。アホか!今すぐ買ってこい!