あさのあつこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
とても読みやすい。内容は何に分類されるのかわからないけど、ネズミや紫苑の心の葛藤がよく描かれている。とりあえずはやく助けに行ってほしいのだけれど…
舞台は未来都市と外部の地区だけど、地球の縮図のようだ。富裕層の残飯を貧困層が売買したり、食したりする。同じ人間なのに…ありえないことが現実には起きている。富裕層(先進国)が想像できないような世界が貧困層(発展途上国)には広がっている。富裕層が汚いところや悲惨なところを排除し、見て見ぬ振りを続けた結果が今の世界情勢ということを感じずにはいられない。
今の段階ではネズミが貧困層代表、紫苑が富裕層代表として話が展開している。二人の間には3巻までで既に -
Posted by ブクログ
ファン向けのオプションストーリー集的な位置付けだと思って読んだけど、予想をはるかに越えた内容だった。
まず、登場人物の魅力が生きる会話やエシーンが盛り沢山だったこと。イヌカシが体調崩して紫苑達を頼ったこと、No.6崩壊の翌日の紫苑とネズミ、イヌカシと力河を招いてのホームパーティー等、本編で描かれなかったエピソードがあたたかく、読んでいてNo.6の登場人物達の魅力を再確認できた。これだけでも読んで良かった、という感じ。
そして、No.6崩壊後の社会の不穏さが、思ってた以上に描かれていた。再建委員としての紫苑の話や、紫苑がどんな人物で何をしようとしているのか。
不安はあるけど希望のラストだった本 -
Posted by ブクログ
シリーズ最終巻。横手中との再試合までがえがかれています。
巧が主人公のこの物語ですが、天才ゆえにひとづきあいが苦手な彼が周囲の人びとと打ち解けていくといったようなありきたりなストーリーとは一線を画していて、新鮮に感じました。とくに後半には、自分の信じる道を進もうと努力する巧のすがたが輝いていて、しかもそんな彼に読者のほうも自然に共感を抱くことができるようになっています。児童文学でこういう人物造形も可能なのかと、著者の文章力に驚嘆しました。個人的には、本書の物語にそれほど深く感動したというほどではなかったのですが、児童文学の表現の幅についての認識をあらためることになりました。
もっとも、巧や -
Posted by ブクログ
巧たちの所属する新田東中学野球部と、門脇を擁する横手中との練習試合が開催されます。巧と豪のバッテリーは名門校相手に健闘しますが、門脇の悪友で横手の5番打者を務める瑞垣俊二に揺さぶりをかけられ、敗退します。
試合後、巧と豪の間に生まれた亀裂は修復できず、監督のオトムライはバッテリーの解消を命じます。ところがその後、勝負が中途半端に終わったことに消化不良を感じる門脇は、巧たちのもとを訪れ、再試合を申し入れます。
豪が第1巻の快活さを失って、あまり楽しめませんでした。その一方で、お調子者のチームメイト・吉貞信弘が、ストーリーの重苦しさを救っています。
なお、巻末には、3歳の頃の巧と祖父の井岡洋