あさのあつこのレビュー一覧
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少年たちの息づかいと、空気の透明感と、昆虫たちとの距離がすごくリアルでふいにタイムスリップして昔に戻ったかのような感覚に陥ります。
あさのさんの言葉選びがすごく好きです。
さて、白熱した紅白戦もおもしろければ、例の試合もわくわくするし、野球って楽しいかも・・・!と素人にも思わせてくれます。年に1回くらいは野球観戦に行きますが、こんなに近い目線で野球を感じることってないですからね。
これがまた新鮮です。小説ならでは。
私はちいさい頃、はやく大人になりたいなぁってずっと思っていました。みんなで同じ授業を受けて、やりたくもない教科をやって、学校が嫌いなわけではなかったけど、窮屈だなあと思っていた -
Posted by ブクログ
ときどき、こんな人がいるのです。
山に入ったまま、帰ってこられなくなってしまった人が。
これはとてもすき。
自然って癒しとか優しいだけではない。不気味でおそろしい場所でもある。だけどその自然をただ忌避するのではなく、自然が畏敬の対象であることを改めて感じさせてくれる幻想的なはなし。
一番すきだったのは「四」。
そこでの朝の光についての文章がなるほどと思った。
わたしはそれまで朝の光と聞くと元気さだとか温かさを思い浮かべていたけれど、ここでは刺すような光だと表現されていた。それを自分で常に感じるほど山を近い存在として感じていたわけではなかったけど、なんとなくわかる。
不気味だけど美しい本だ -
Posted by ブクログ
進研ゼミの連載小説を書籍化だそうで、まぁ、進研ゼミらしいといえばそんな雰囲気の話で、あさのあつこさんらしい話というばそんな雰囲気の話でした。やはり、あさのあつこさんは中学生の心情を描くのが上手い。ちょっとしたことなんだけど、この年代の生徒にとっては大きな問題なわけで…。学校と会社と舞台は異なりますが、大人でもこのような環境に置かれて悩んでいる方も多いかもしれません。13歳の時にこの本に出会っていれば良かったなぁ~と思う方も多いのではないでしょうか。ヤングアダルト(YA)向けの一冊ですが、大人にもおすすめ。親子で感想を話し合うと楽しめそうだと思いました。
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Posted by ブクログ
児玉清氏が推奨する「弥勒」シリーズで、著者の時代小説に魅了されたが、このシリーズも期待にそぐわぬ出来栄えとなっている。
しかし、シリーズものと知らず、1作目を読まぬうちに2作目を読んでしまったのはちと残念(笑)
解説でいう「暖かな部屋でぬくぬくしていたら、いきなり寒風が吹く外に放り出されたというような感覚」の本作は、登場人物に「・・・真実はわからねえ、人ってものはわからねえ」と、吐露させる。
弥勒シリーズ同様、人間の不可思議さ、心の闇の奥底を描き出す著者の小説は、読み手の心を掴んで離さない。
死者の声が聞こえるという異能の持ち主が主人公であるが、健気で明るい彼女と彼女を取り巻く人々が魅力的であ