結城真一郎のレビュー一覧
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求められているのは真実ではなく解釈である。
シェフと配達員という謎解きコンビとは思えない組み合わせの時点で他には無い物語で上手いところをつついたなぁと思いました。
しかもといた謎は「真実」なのか「解釈」なのか。答えを1つに絞れないけれども、依頼者からは満足を得られるというアングラな感じが面白かったです。
ただ毎回、この店がどんなものなのかという物語のスタートが同じな分ちょっとだれる時もありましたが、その繰り返しが最後にこんなに効いてくるんだなと思うと必要なくだりですね。
私もたまにウーバーイーツ頼むのでちょっとゾッとするような事件もあって題材が現代的なところは「#真相をお話しします。」と通ずる -
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ネタバレビーバーイーツ配達員として働く大学生は注文を受けて向かった先で美貌の店主に出会う。報酬一万円であるものを届けてほしいと言われ、店の秘密を知ることに…。特定の組み合わせの注文を受けると、事件の店主が謎を解く。関わった配達員は高額な報酬を得られる代わりに告げられる。「口外したら、命はない」
火事現場に入っていった女。事故死した夫の欠損した薬指。嵌められたと呟いた空き巣犯。何度も訪れる配達員と混入したマフラー。住人不在の部屋に届く置き配。マンションから消えた男。6つの謎を解く店主と配達員たちの物語。
怪しげな美貌の店主。いかにも、だ。デリバリーの配達員を使って聴取し謎を解いて報告も配達員に持って -
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オーディブルで。「ざまあみろ」と言いながら、ごうごうと燃え上がるアパートの外階段を上ってゆく女。のちにそれは、火元となった部屋の住人の元カノであり、そして部屋からその焼死体が出てきたことが、ビーバーイーツ配達員の口から語られる。話している相手は、ゴーストレストランのシェフ。シェフは、店にいながらにして依頼を受け、謎を解決する探偵であり、依頼人との仲介に、フードデリバリーシステムの配達員を利用しているのである。
最初の話の配達員は、輝かしい生活を夢見て東京で一人暮らしを始めたものの、現実は地味で退屈な毎日であると気づいた、何者でもない大学生。依頼人は、火事の火元となった部屋の住人の、ずいぶん前 -
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7名の若き作家たちのSNS系など令和の時代のアンソロジー。目玉は杉井さんだろうか。「世界でいちばん~」の続編?のような短編で唯一の書き下ろし。他は小説新潮で特集された作品と結城さんの「#真相を~」から1編。目玉の杉井さんが一番のキャリアというのがうむうむ、というところか。全体的にシニカルな作品が多くやはり令和を切り取ることになるとこういった作風が増えるのだろうか。その中で佐原さんの作品は純粋?な青春もので良かった。
浅倉秋成 かわうそをかぶる
Vチューバーを題材にした作品。一番怖かった作品かも。タイトルの良さと2重人格?のような造りがよかった。
大前粟生 まぶしさと悪意
文藝出身ながらエンタ -
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ネタバレデリバリーサービスを利用した「足」の使い方、シェフとして料理を振る舞う傍ら探偵業(本文では毎度否定されているが敢えてこの表現を使う)も営む怪しく魅力的な男、一つ一つの要素は現代ミステリらしく好奇心を惹くのだが、正直そのラベルを剥がすとまあこんなものか、という感じだった。それ自体がおそらく作者の、シェフの狙いであるというのは承知しているのだが、それにしても……『解答例』がちょっと無理あるのにも説明は付けられていたが、それで納得出来るかと言われると首を傾げざるを得ない。斬新な立て付けではあると思う。
章ごとに語り手が代わるので、彼らは逐一不可思議な店について説明をしてくれる(初出が雑誌の連載なので