あらすじ
これが当たり前になった時代で、あなたならどう生きる? 信者に人生を壊されたVtuber、バズって神格化された女子高生、呪いのアプリの謎に迫る調査員、未だに動く亡き夫のアカウント。それぞれの物語に隠された、生きていくための秘密と嘘。ベストセラー『世界でいちばん透きとおった物語』のスピンオフも収録した、新進気鋭の最注目作家7名による“今”を切り取るアンソロジー。
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Posted by ブクログ
今時のネット社会がテーマの短編集。
七人の若手作家達が書いているのだけど、その中に若手ではないが^^自分の推し作家である杉井さんが入っていたのでそれを目当てに読み出したのだけど他の作家さんのお話も面白かった。
題材的にはVtuber、tiktok、マッチングアプリ、押し活などいかにもなもので、内容的にはミステリあり青春ものありサスペンス調のお話ありとバラエティがあって、なかなか面白かった。
個人的にはtiktok絡みの青春ものが読後感が良くて好き。
杉井さんのお話は「世界でいちばん透き通った物語」の後日談なのだけど改めて霧子さんがホームズで燈真くんがワトソンなのだなと納得した。
Posted by ブクログ
この現代に潜むゾクゾク感がたまらない!
SNSはやっぱり恐くて、でもこんなに温かいものだったなんて、今まで知らなかったなぁ。
特に好きな話は、
自分の娘がパパ活?をしている可能性があり、それを止めるべく取る父の行動に鳥肌が止まらない、結城真一郎「ヤリモク」。
YouTubeの配信に熱を注ぐ変人な同級生を裏で支える主人公。果たして彼女たちの行く末はー。佐原ひかり「あなたに見合う神様を」。
PCを使えない上司の指導係になり、不満を募らせる女性。その女性はその腹いせにその上司の管理下にあるタイムカードの数字をいじり、自分の残業時間をいじるというゲームを行っていた。最後の彼女の言動にに思わず胸を打たれる、石田夏穂「タイムシートを吹かせ」。
現代は、数多の嘘が溢れている。
その嘘に振り回されることもある。
でもその中で救われることがあることも
忘れたくない…
少しずつ人を傷つける嘘や言動が減って、
誰かを温かい思いで包むような
SNSの世界で溢れるといいなぁ
p.220 暴力は…(あなたに見合う神さまを)
「人を支配するもの、人の幸福を妨げるものはおしなべて暴力よ」
p.238 最強の人(あなたに見合う神さまを)
「すごい。最強じゃん、この人。
神さまの首なんて、
いつでもすげ替え可能ってことでしょ?
すげ替えて、自分を磨き続けるってことでしょ?
そんなの、もう、一生、幸せじゃん。」
Posted by ブクログ
SNSが題材なだけあって「ありそう…」と怖さとふむふむが混同した読後感。
笑ってよいのか怖がった方がよいのか…。
さまざまな切り口のアンソロジーならではの楽しさもありました。
Posted by ブクログ
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画面の
向こうに
隠された
秘密と嘘
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仕事帰りの書店で見つけて購入しました。
「世界でいちばん透きとおった物語」のスピンオフがあるということで。
7作品中、6作品が平成生まれの作家さん。
時代感じます。笑
昭和生まれの私…おののきました。笑
「かわうそをかぶる/朝倉秋成」
人気VTuberへ楽曲を提供していた音楽クリエイターが殺された。
犯人は、VTuberの熱心なファン。
自分はあてがわれた役を演じてるだけなのか。
「まぶしさと悪意/大前粟生」
Tipshotというショート動画SNSでバズって神格化された女子高生。
彼女とのコラボ、動画目当てで入学してくる学生たち。
そんなときに彼女が突然動画投稿をやめた。
教師と彼女とのやり取り。
「霊感インテグレーション/新名智」
呪いのアプリ。幽霊から届くというプッシュ通知。
本当に幽霊は存在するのか。
「ヤリモク/結城真一郎」
アプリで知り合った女性。彼女を持ち帰る。
妻子ある身でありながら、やめられない理由。
「あなたに見合う神様を/佐原ひかり」
少し変わっている、痛いと思われそうな権藤さん。
彼女は、大好きな動画クリエイターwataruのアクスタを持ち歩き、祭壇をつくる。
大好きなwataruを感じたくて、GONチャンネルを始める。
好きなものにまっすぐな権藤さんと、
家族不和で父親から暴力を受ける私。
権藤さんを馬鹿にする教師。
権藤さんと私は学校の外で出会い話すようになる。
「タイムシートを吹かせ/石田夏穂」
私は、パソコンのできないおじさんたちのフォローをしている。色々教えている、サポートをしている。
だから少しだけタイムシートを吹かせる。
「君がため春の野に/杉井光」
未だに動く亡き夫のアカウント。
その謎に隠された秘密と嘘。
どれもこれも「今」って感じで、
じゃあ心に何が残る?と言われると
まーまー私も年取ったなあと思わされます。苦笑
転職当時の余裕のないなか、
ただただ面白いという気持ちで読んでました。
好きだったのは、
「まぶしさと悪意」「あなたに見合う神様を」です。
どちらも女子高生が主人公なのですが、
成長していく自分と周囲の環境で、
挫けそうになりながらも進もうとする感じが。
私が高校生のときはまだスマホではなく、
ドコモのiモード主流とかでしたが、
とにかく小さい機械のなかで繋がれる感覚は
今思えば依存していたかもしれないです。
そう考えると今の世代は、どうなんだろう。
スマホのない人生なんて考えられないんだろうな。
青い空に独りぼっち。
上を見上げず、スマホを見下ろす。
読み終わった後に装丁を見ると、
何とも言えない気持ちになります。
Posted by ブクログ
⚫︎感想
エンタメの短編集。全体を通して面白かった。
石田夏穂さんの作品全部読みたい!という動機で読んだため、最初に読んだのは石田さんの「タイムシートを吹かせ」。石田ワールド全開、しかもちょっといい話で終わっていて良かった。レジェンドはレジェンドたる歴史を持っていた。
「かわうそをかぶる」浅倉秋成さん。「六人の嘘つきな大学生」以来。若者を描くのが上手いんだな〜と思ったし、今作は女の子のVtuberが主人公なので器用さを感じた。本音と建前と本当の自分ってどこ?…怖くて、でも、こんな世界もあるのかなぁと思える、漫画みたいに画像が浮かんでくる作品だった。
「まぶしさと悪意」大前粟生さん。TikTokと思われる動画が有名になる女子高生の話。若さという眩しさが光る。
「霊感インテグレーション」新名智さん。二つのアプリを巡る今どきなお話。短い中にスリリングな要素があり、一気に読めた。
「ヤリモク」結城真一郎さん。あー、なるほど!そういう展開。
「あなたに見合う神さまを」佐原ひかりさん。権藤さん最高。おもしろかった。青春もの。
「君がため春の野に」杉井光さん。ミステリー仕立てのお話。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
『世界でいちばん透きとおった物語』の杉井光、『六人の噓つきな大学生』の浅倉秋成、『#真相をお話しします』の結城真一郎など、最注目の作家が集結!“今を生きる私たち”をリアルに切り取る7つの物語!
彼らのその後が読める。本書のための書きおろし! 『世界でいちばん透きとおった物語』スピンオフ「君がため春の野に」収録!
これが当たり前になった時代で、あなたならどう生きる?
信者に人生を壊されたVTuber、バズって神格化された女子高生、呪いのアプリの謎に迫る調査員、娘に似た女性をマッチングアプリで探す男、学校の机に「推し」の祭壇を作る彼女、上司を騙して残業代を増すOL、未だに動く亡き夫のアカウント。それぞれの物語に隠された、生きていくための秘密と噓。ベストセラー『世界でいちばん透きとおった物語』のスピンオフも収録した、新進気鋭の作家たちによる現代のリアルを切り取る7つの物語。
かわうそをかぶる(浅倉秋成)
人気音楽クリエイターが殺された。犯行動機は『VTuberを守るため』。彼と交際の噂があったVTuber雨露ゆゆは失意の中、事務所に言われて釈明配信の準備を進める。身も蓋もない噂だけで人生を壊されたゆゆは、これまでの人生が走馬灯のようにフラッシュバックしてくる。
まぶしさと悪意(大前粟生)
信じられないだろうが、ショート動画を撮りたくてうちに入学してくる子はいる。理由は赤羽海荷がいるから。動画がバズり、カリスマ女子高生として崇められた彼女は、ある日を境に動画を投稿しなくなった。かつて副担任だった私は彼女の様子が気になり、動画を撮らなくなった理由を探ろうとする。
霊感インテグレーション(新名智)
訳あり社員が集まる会社に入社した私は、「幽霊からプッシュ通知が届くらしい」といった報告が多発している通称“呪いのアプリ”の調査に乗り出す。どこにも不具合が見つからない中、ひょんなことから解決の糸口を見つけ出すのだが……。
ヤリモク(結城真一郎)
三十二歳。独身。そう彼女は信じているが、実際は四十二歳。妻子持ち。我ながら罰当たりな男。マッチングアプリでお持ち帰りを企んでいる男は、今回も小柄でショートカットの女性と出会い、いつものテクニックで目的を果たそうとする。
あなたに見合う神さまを(佐原ひかり)
権藤さんの机には、ダンス系ユーチューバーWataruさんのグッズを奉っている祭壇がある。クラスでは浮いた存在の権藤さんだが、ある日、日課の早朝ランニングをしていた私は、推しのダンスを練習している権藤さんを見つける。
タイムシートを吹かせ(石田夏穂)
月末。上司のアカウントにログインをして、今月の食費分だけ残業代をかさましする。それは私と会社を繫ぐためのもの。パソコン音痴でパワハラは当たり前、前時代的な上司、通称“レジェンド”の介護をしている私は、どうにかこうして会社を辞めずに生きている。
君がため春の野に(杉井光)
前作『世界でいちばん透きとおった物語』を書きあげた僕は、「SNSがテーマ」のアンソロジーに短編を依頼される。無事書き上げた僕は打ち上げで、亡き夫のSNSアカウントが未だに動いているという相談を受ける。そこに隠された秘密と噓とは。
Posted by ブクログ
7人の作家のアンソロジー小説。
VTuber、TikTok、位置情報を利用したアプリ、マッチングアプリ、YouTuber、Teams、故人のSNSアカウント・仮想通貨口座を題材にしており、令和の時代を感じる。
Posted by ブクログ
浅倉秋成さん かわうそをかぶる
人気音楽クリエイターが殺された。その犯行動機は『VTuberを守るため』だった。主人公の女性に共感できる部分も沢山あり親近感が湧いた。
最後の展開に驚き、見返す面白さがあった。
大前栗生さん まぶしさと悪魔
動画がバズり、カリスマとなった女子高生の海荷は神と呼ばれ学校外からも人気があった。
しかしそんな海荷がいきなり動画を撮るのをやめてしまった。やめた理由を問うために教師が動いた。動画の中のキャラづくりや誹謗中傷に疲れたためであった。しかしその原因を作った人が意外な人であった。
新名智さん 霊感インテグレーション
「幽霊からプッシュ通知が届く」その1文から始まった物語で仕組みがしっかりしていた。仕組みが分かった時にそういうことかと納得感が大きかった。そして自分が使ってるアプリとかがそんな仕組みになってたら怖いなって思った。
結城真一郎さん ヤリモク
マッチングアプリで年齢を偽り、娘に似た女性に会う男性がいた。なんで娘に似た女性ばかり会っているのかな?と読んでいる最中に疑問だった。しかし最後まで読むとどんでん返しを受けた気分になった。面白かった。
佐原ひかりさん あなたに見合う神さまを
好んでいるYouTuberを「推し」ではなく「好き」と言ってる権藤さんの性格がかっこいいなと思った。推し活が流行っている中で、権藤さんは好きな人の真似をなどをすることで近づこうとしている姿がかっこよかった。またその友達?として手伝っている女の子も人間味あって共感できるところが多くあった。
最後はあれ?とびっくりする部分があって読んでいて面白かった。
石田夏穂さん タイムシートを吹かせ
これからの時代増えてきそうなIT介護を題材にしたお話であった。疎い人にIT系のことを伝える大変さが身にしみて分かり共感が大きかった。ログインする際のパスワード、IDなどは老人などは覚えられない、打てないのはあるあるでそこを利用した話であった。
杉井光さん 君がため春の野に
亡くなった夫のアカウントが未だに動いており不思議に感じていた。予約投稿などでもなく未だに投稿されており不思議であった。
位置情報も様々なところからされていることや、投稿内容もその人らしい投稿をしているため原因がわからなかった。
パスワード変更を試みるもうまくいかない状態であった。
その原因は、よくある詐欺の1つであった。
どのお話も最後はえっ!となる作品ばかりで読んでいて楽しかった
Posted by ブクログ
注目作家のアンソロジー作品
SNS、Vtuber、SNSによるバズり、マッチングアプリ、若手社員と再雇用者のネットリテラシーの差異
今の自分達にとっては馴染み深いテーマでとても読みやすい作品だった
もちろんアンソロジー作品なので好き嫌いは多少なりとも出てしまった。
かわうそをかぶる
どうしてこれほど心が壊れた少女を描けるのか読んでいて不思議な気持ちになる
物語の展開がとても綺麗で短編と思えない読み応えがある
ラストで伏線回収があるのもなんとも秋山先生らしい
ヤリモク
40代男性のマッチングアプリ事情
妻子持ちの彼がやっている理由とは…
こちらも伏線回収ものだが、一番個人的にはなってほしくない形の結末迎えてしまった
後味は悪いが面白く一気に読むことができた
一度結城先生の他の作品も読んでみたくなった
君がため春の野に
亡くなったSNSのアカウントが動き続けると言う現実も起こり得るような題材のお話
気に入った作品の中では唯一心温まる内容の作品
1月7日の投稿主の詮索をするのは…ヤボってもんですよね…
Posted by ブクログ
嘘がテーマのアンソロジーであり、各作品で何が嘘に当たるのか?を考えながら面白く読めた。1つ目の『カワウソをかぶる』がインパクト強すぎる。あーこっちの人やったんかい!ただのASD(解離はあるかも?)かと思わせといて自分が気持ち良くなるためならどんな事でもやっちゃうサイコパス人格の居る解離性障害やったんかい!が痛快で(書き方が上手くてミスリードさせるからズルい!)、思わず最後の数ページを何度も読み返した。途中何度もあれ?って思わせつつ上手く気付かせないようにするのが作者の狙い通りやとすると凄いなと。その次の話がなんか面白くなくて途中やめそうになったけど、『ヤリモク』が途中早めにネタバレしたけど面白かったから最後まで行けた感じ。最後の『君がため春の野に』も題名の意味が最初全然分からんかったの最後にちゃんと回収出来るようになってて『世界でいちばん透きとおった物語』の続編として楽しめたりしたし、軽ーい読み物としてオススメできる本。
Posted by ブクログ
初めてのアンソロジー。豪華なメンツですよね!
石田夏穂さん、佐原ひかりさんの作品が好みだった。
特に石田夏穂さんの作品は面白くて、くすくす笑いながら読んだ。ベテラン社員のことをレジェンドと密かに呼んでいる時点でツボ。あと、IT介護スタッフとかね笑 やはり石田夏穂さん大好きだ!
Posted by ブクログ
Vtuber、動画投稿、SNS、アプリなど今どきお題満載。
タイムシートを吹かせ、が面白かった。PCを使えない古稀越えレジェンド上司の相手をする代わりに残業代のデータを細工し、毎月食費だけを、上乗せして怒りを収める女性。
上司ほどではなくても、パソコンをうまく使いこなせるわけではない私は、とっくに時代遅れ。
なので他の作品は十分に理解できず流し読みも。
Posted by ブクログ
CL 2024.11.13-2024.11.14
若手作家によるアンソロジー。
嘘があふれた世界=SNSにあふれるネット社会、ということなのかな。
SNSを肯定的には捉えていない作品が多かった中で「あなたに見合う神さまを」が爽やかでよかった。
Posted by ブクログ
ネット社会がテーマのアンソロジー。
浅倉秋成さんの「かわうそをかぶる」はVtuberの動画をよく見るので、裏側がこんな感じなのかなーとリアルに感じた。
佐原ひかりさんの「あなたに見合う神さまを」も好き。
Posted by ブクログ
※
浅倉秋成 かわうそをかぶる
大前粟生 まぶしさと悪意
新名 智 霊感インテグレーション
結城真一郎 ヤリモク
佐原ひかり あなたに見合う神さまを
石田夏穂 タイムシートを吹かせて
杉井 光 君がため春の野に
インターネットやSNSが当たり前の時代に、
画面の向こう側で営まれる様々な種類の嘘。
ゾッとする話や優しい気持ちになる話、
価値観に首を傾げたくなる話など。
あちら界隈の虚像と嘘が織り合わされた物語。
個人的には、杉井光『君がため春の野に』
読後感が好みでした。