【感想・ネタバレ】嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

⚫︎感想
エンタメの短編集。全体を通して面白かった。
石田夏穂さんの作品全部読みたい!という動機で読んだため、最初に読んだのは石田さんの「タイムシートを吹かせ」。石田ワールド全開、しかもちょっといい話で終わっていて良かった。レジェンドはレジェンドたる歴史を持っていた。
「かわうそをかぶる」浅倉秋成さん。「六人の嘘つきな大学生」以来。若者を描くのが上手いんだな〜と思ったし、今作は女の子のVtuberが主人公なので器用さを感じた。本音と建前と本当の自分ってどこ?…怖くて、でも、こんな世界もあるのかなぁと思える、漫画みたいに画像が浮かんでくる作品だった。
「まぶしさと悪意」大前粟生さん。TikTokと思われる動画が有名になる女子高生の話。若さという眩しさが光る。
「霊感インテグレーション」新名智さん。二つのアプリを巡る今どきなお話。短い中にスリリングな要素があり、一気に読めた。
「ヤリモク」結城真一郎さん。あー、なるほど!そういう展開。
「あなたに見合う神さまを」佐原ひかりさん。権藤さん最高。おもしろかった。青春もの。
「君がため春の野に」杉井光さん。ミステリー仕立てのお話。




⚫︎あらすじ(本概要より転載)
『世界でいちばん透きとおった物語』の杉井光、『六人の噓つきな大学生』の浅倉秋成、『#真相をお話しします』の結城真一郎など、最注目の作家が集結!“今を生きる私たち”をリアルに切り取る7つの物語!

彼らのその後が読める。本書のための書きおろし! 『世界でいちばん透きとおった物語』スピンオフ「君がため春の野に」収録!

これが当たり前になった時代で、あなたならどう生きる? 
信者に人生を壊されたVTuber、バズって神格化された女子高生、呪いのアプリの謎に迫る調査員、娘に似た女性をマッチングアプリで探す男、学校の机に「推し」の祭壇を作る彼女、上司を騙して残業代を増すOL、未だに動く亡き夫のアカウント。それぞれの物語に隠された、生きていくための秘密と噓。ベストセラー『世界でいちばん透きとおった物語』のスピンオフも収録した、新進気鋭の作家たちによる現代のリアルを切り取る7つの物語。

かわうそをかぶる(浅倉秋成)
人気音楽クリエイターが殺された。犯行動機は『VTuberを守るため』。彼と交際の噂があったVTuber雨露ゆゆは失意の中、事務所に言われて釈明配信の準備を進める。身も蓋もない噂だけで人生を壊されたゆゆは、これまでの人生が走馬灯のようにフラッシュバックしてくる。

まぶしさと悪意(大前粟生)
信じられないだろうが、ショート動画を撮りたくてうちに入学してくる子はいる。理由は赤羽海荷がいるから。動画がバズり、カリスマ女子高生として崇められた彼女は、ある日を境に動画を投稿しなくなった。かつて副担任だった私は彼女の様子が気になり、動画を撮らなくなった理由を探ろうとする。

霊感インテグレーション(新名智)
訳あり社員が集まる会社に入社した私は、「幽霊からプッシュ通知が届くらしい」といった報告が多発している通称“呪いのアプリ”の調査に乗り出す。どこにも不具合が見つからない中、ひょんなことから解決の糸口を見つけ出すのだが……。

ヤリモク(結城真一郎)
三十二歳。独身。そう彼女は信じているが、実際は四十二歳。妻子持ち。我ながら罰当たりな男。マッチングアプリでお持ち帰りを企んでいる男は、今回も小柄でショートカットの女性と出会い、いつものテクニックで目的を果たそうとする。

あなたに見合う神さまを(佐原ひかり)
権藤さんの机には、ダンス系ユーチューバーWataruさんのグッズを奉っている祭壇がある。クラスでは浮いた存在の権藤さんだが、ある日、日課の早朝ランニングをしていた私は、推しのダンスを練習している権藤さんを見つける。

タイムシートを吹かせ(石田夏穂)
月末。上司のアカウントにログインをして、今月の食費分だけ残業代をかさましする。それは私と会社を繫ぐためのもの。パソコン音痴でパワハラは当たり前、前時代的な上司、通称“レジェンド”の介護をしている私は、どうにかこうして会社を辞めずに生きている。

君がため春の野に(杉井光)
前作『世界でいちばん透きとおった物語』を書きあげた僕は、「SNSがテーマ」のアンソロジーに短編を依頼される。無事書き上げた僕は打ち上げで、亡き夫のSNSアカウントが未だに動いているという相談を受ける。そこに隠された秘密と噓とは。

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2024年05月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

浅倉秋成さん  かわうそをかぶる

人気音楽クリエイターが殺された。その犯行動機は『VTuberを守るため』だった。主人公の女性に共感できる部分も沢山あり親近感が湧いた。 
最後の展開に驚き、見返す面白さがあった。

大前栗生さん  まぶしさと悪魔 
動画がバズり、カリスマとなった女子高生の海荷は神と呼ばれ学校外からも人気があった。
しかしそんな海荷がいきなり動画を撮るのをやめてしまった。やめた理由を問うために教師が動いた。動画の中のキャラづくりや誹謗中傷に疲れたためであった。しかしその原因を作った人が意外な人であった。

新名智さん   霊感インテグレーション
「幽霊からプッシュ通知が届く」その1文から始まった物語で仕組みがしっかりしていた。仕組みが分かった時にそういうことかと納得感が大きかった。そして自分が使ってるアプリとかがそんな仕組みになってたら怖いなって思った。

結城真一郎さん ヤリモク
マッチングアプリで年齢を偽り、娘に似た女性に会う男性がいた。なんで娘に似た女性ばかり会っているのかな?と読んでいる最中に疑問だった。しかし最後まで読むとどんでん返しを受けた気分になった。面白かった。

佐原ひかりさん あなたに見合う神さまを
好んでいるYouTuberを「推し」ではなく「好き」と言ってる権藤さんの性格がかっこいいなと思った。推し活が流行っている中で、権藤さんは好きな人の真似をなどをすることで近づこうとしている姿がかっこよかった。またその友達?として手伝っている女の子も人間味あって共感できるところが多くあった。
最後はあれ?とびっくりする部分があって読んでいて面白かった。

石田夏穂さん  タイムシートを吹かせ
これからの時代増えてきそうなIT介護を題材にしたお話であった。疎い人にIT系のことを伝える大変さが身にしみて分かり共感が大きかった。ログインする際のパスワード、IDなどは老人などは覚えられない、打てないのはあるあるでそこを利用した話であった。

杉井光さん   君がため春の野に
亡くなった夫のアカウントが未だに動いており不思議に感じていた。予約投稿などでもなく未だに投稿されており不思議であった。
位置情報も様々なところからされていることや、投稿内容もその人らしい投稿をしているため原因がわからなかった。
パスワード変更を試みるもうまくいかない状態であった。
その原因は、よくある詐欺の1つであった。


どのお話も最後はえっ!となる作品ばかりで読んでいて楽しかった

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2024年03月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

嘘がテーマのアンソロジーであり、各作品で何が嘘に当たるのか?を考えながら面白く読めた。1つ目の『カワウソをかぶる』がインパクト強すぎる。あーこっちの人やったんかい!ただのASD(解離はあるかも?)かと思わせといて自分が気持ち良くなるためならどんな事でもやっちゃうサイコパス人格の居る解離性障害やったんかい!が痛快で(書き方が上手くてミスリードさせるからズルい!)、思わず最後の数ページを何度も読み返した。途中何度もあれ?って思わせつつ上手く気付かせないようにするのが作者の狙い通りやとすると凄いなと。その次の話がなんか面白くなくて途中やめそうになったけど、『ヤリモク』が途中早めにネタバレしたけど面白かったから最後まで行けた感じ。最後の『君がため春の野に』も題名の意味が最初全然分からんかったの最後にちゃんと回収出来るようになってて『世界でいちばん透きとおった物語』の続編として楽しめたりしたし、軽ーい読み物としてオススメできる本。

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2024年03月17日

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