結城真一郎のレビュー一覧
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ネタバレ第一部では、2010年当時中学生であった少年達の犯す犯罪と、そこに至るまでの状況、心境、展開が描かれ、第二部ではそれから15年後の2025年、それぞれの未来を歩むかつての少年達と、2010年の事件の真相を要求する誘拐事件を描かれる。
うむ、これは面白い!
ミステリー要素はそこまで濃くはなく、どちらかと言えばミステリーを土台にした友情物語、家族物語であった。
この話、各家族が家族間でお互いにしっかり胸襟を開いて向き合っていれば、と思わずにはいられない。
まぁ、そこも本文で言及されている「なかりせば」なのだろうけど。
二部構成というのもあって、ストーリーは長いは長いのだが、状況の切迫感、ストーリーへの没入感、キャラクターへの感情移入を演出させるのに必要なものだったように思う。
ただ、真相解明のきっかけとなる、「タバコと酒を買うためにコンビニ行った」という違和感については、こじつけを感じた。
「指定された銘柄のタバコ手に入れるんだから、誰でもコンビニ行くよね?」
としか思わなかったなぁ。
余談だが、三枝みたいなキャラはちょっと好きになれないなぁ。 -
Posted by ブクログ
十五年前、犯罪を起こした十四歳の少年たちは誰一人として裁かれることがなかった。強固な友情で難局を乗り切り罪を免れた彼らだったが、十五年後に事態は動き出す。誘拐された友人、犯人からの要求は「あの日の真犯人が名乗り出ること」。彼らはどのような選択をするのか、そしてあの日の真実はどこにあるのか。スリリングなミステリです。
やむを得ない状況で起こってしまった惨劇。それをこのような形で完全犯罪にしてしまうとは……! ということにまず驚きました。動機にも同情できる面があるし、その後の警察との対決を乗り切った彼らの姿も見事すぎて、拍手喝采してしまいたくなるような心地でした。もちろん罪は償うべきなのだけれど、彼らがここまでの覚悟をもってやったことなら、否定もできないなあ、という心境です。
そして現在、それぞれに生活を営み家族も得た彼らに降りかかる選択。ここでもかつての友情は薄れることはないのだろうか、ということにはらはらさせられます。誘拐犯の正体と動機も気になるし。そしてもちろん、真犯人が誰だったのかということも。気になるポイントが盛りだくさんで、読む手が止まりません。
どんな理由があろうとも、彼らはこのような犯罪を起こすべきではなかっただろうけれど。それでも当時の彼らに他の選択肢が浮かぶのは難しかっただろうな、と思う面もあります。ただ、現在の彼らが葛藤しつつも選んだ結末はあまりに見事ですがすがしいかもしれません。 -
Posted by ブクログ
するすると、一気に読んでしまった。少年ABCの3人と少女、そして家族の描写が細やかで、読み進めるほどに登場人物たちが身近に感じられた。会話にもそれぞれの性格や関係性がにじんでいて、物語の中で本当に生きている人たちのやり取りを聞いているよう。気づけば、すっかり作中の世界に入り込んでいた。
緊張感のある出来事に「この先どうなるんだろう」と引っ張られる一方で、謎が少しずつ解けていく気持ちよさもある。そのバランスがよく、ページをめくる手が止まらなかった。ただ先の展開を知りたいだけでなく、彼らが何を考え、どんな選択をするのかを最後まで見届けたくなる。
物語の勢いに乗って最後まで走り抜けたけれど、読み終えて心に残ったのは、謎だけでなく登場人物たちの姿だった。夢中で読める面白さと、一人ひとりを丁寧に描く魅力が重なった一冊。 -
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ネタバレ序盤で真相には気づいてしまったので、ミステリとして大きくひっくり返されるような驚きは少なかった。
それでも読後感がとても良かったのは、この物語の魅力が「真相そのもの」よりも、真相が明らかになったあとに4人が何を選ぶのかにあったからだと思う。
すべてが露見したあと、自分が名乗り出ることを決めた翔吾。そして、乃愛が自ら罪を告白することに賭け、そのための時間を稼ごうとした鉄平。彼らはただ「仲間だから庇う」のではなく、相手の意思や良心を信じながら、それぞれが自分にできること、自分が背負えるものを選んだんだろう。
タイトルにある「完璧な選択」も、すべてがうまくいく正解という意味ではないのかもしれない。客観的に見ればもっと合理的な選択もあっただろうし、彼らの行動すべてが正しいとも言い切れない。それでも、自分が大切にしたいものを裏切らないために、自分自身で選び取った答えという意味では、彼らにとってそれぞれが「完璧な選択」だったのだと思う。
合理性や正しさよりも友情を選び、最後まで互いを信じようとする。その青臭さも含めて、ある意味とても「青春」らしい物語だった。 -
Posted by ブクログ
2部構成のリーガルミステリ。第1部は過去編で、中学2年生の少年たちが、仲間を虐待する大人への復讐として、「完全犯罪」を成し遂げるまで。第2部はその15年後、あの事件の真犯人が名乗り出ることを要求する監禁事件が発生。かつての少年ABCが再会し、監禁事件の捜査に当たる警察官らを前に、人質とされた仲間を救うため、自分たちの過去の暴露を避けるため、「完全犯罪」を貫徹するのか真相を告白するのかの選択を迫られる。
……んだけど、この15年前の事件、そもそも「完全犯罪」なのか? という疑問が……。日本の検察は、あれを嫌疑不十分で終わらせるほど甘くないんじゃないかと思う(取調べが厳しいという話ではなく、刑法と刑事訴訟法の理論の話。)。もっとも、いかにも中二病の秀才くんが好きそうな刑法理論に基づいて、確かに捜査をおおいに撹乱することはできそう、というトリックを仕掛けている点で、リーガルミステリとして十分面白い。
だけど、この小説の面白さの核心は、第2部で大人たちが繰り広げる青春小説の味なんじゃないかと思う。
「完全犯罪」というからには、法で裁けるかどうかはさておき、彼らのやったことは「罪」である、という評価はしてよいと思うのだけれど、第2部を警察官の目線で推理しながらも、許し難い罪を犯した彼らが、その友情と秘密を守りきれることをつい応援する気持ちになってしまう。犯人たち(が完全犯罪を通して友情の証を立てること)と警察官(が自白に頼らず真相に辿り着くこと)を同時に応援しながら読めるミステリって、珍しいかもしれない。