結城真一郎のレビュー一覧
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するすると、一気に読んでしまった。少年ABCの3人と少女、そして家族の描写が細やかで、読み進めるほどに登場人物たちが身近に感じられた。会話にもそれぞれの性格や関係性がにじんでいて、物語の中で本当に生きている人たちのやり取りを聞いているよう。気づけば、すっかり作中の世界に入り込んでいた。
緊張感のある出来事に「この先どうなるんだろう」と引っ張られる一方で、謎が少しずつ解けていく気持ちよさもある。そのバランスがよく、ページをめくる手が止まらなかった。ただ先の展開を知りたいだけでなく、彼らが何を考え、どんな選択をするのかを最後まで見届けたくなる。
物語の勢いに乗って最後まで走り抜けたけれど、読み終えて心に残ったのは、謎だけでなく登場人物たちの姿だった。夢中で読める面白さと、一人ひとりを丁寧に描く魅力が重なった一冊。 -
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ネタバレ序盤で真相には気づいてしまったので、ミステリとして大きくひっくり返されるような驚きは少なかった。
それでも読後感がとても良かったのは、この物語の魅力が「真相そのもの」よりも、真相が明らかになったあとに4人が何を選ぶのかにあったからだと思う。
すべてが露見したあと、自分が名乗り出ることを決めた翔吾。そして、乃愛が自ら罪を告白することに賭け、そのための時間を稼ごうとした鉄平。彼らはただ「仲間だから庇う」のではなく、相手の意思や良心を信じながら、それぞれが自分にできること、自分が背負えるものを選んだんだろう。
タイトルにある「完璧な選択」も、すべてがうまくいく正解という意味ではないのかもしれない。客観的に見ればもっと合理的な選択もあっただろうし、彼らの行動すべてが正しいとも言い切れない。それでも、自分が大切にしたいものを裏切らないために、自分自身で選び取った答えという意味では、彼らにとってそれぞれが「完璧な選択」だったのだと思う。
合理性や正しさよりも友情を選び、最後まで互いを信じようとする。その青臭さも含めて、ある意味とても「青春」らしい物語だった。 -
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2部構成のリーガルミステリ。第1部は過去編で、中学2年生の少年たちが、仲間を虐待する大人への復讐として、「完全犯罪」を成し遂げるまで。第2部はその15年後、あの事件の真犯人が名乗り出ることを要求する監禁事件が発生。かつての少年ABCが再会し、監禁事件の捜査に当たる警察官らを前に、人質とされた仲間を救うため、自分たちの過去の暴露を避けるため、「完全犯罪」を貫徹するのか真相を告白するのかの選択を迫られる。
……んだけど、この15年前の事件、そもそも「完全犯罪」なのか? という疑問が……。日本の検察は、あれを嫌疑不十分で終わらせるほど甘くないんじゃないかと思う(取調べが厳しいという話ではなく、刑法と刑事訴訟法の理論の話。)。もっとも、いかにも中二病の秀才くんが好きそうな刑法理論に基づいて、確かに捜査をおおいに撹乱することはできそう、というトリックを仕掛けている点で、リーガルミステリとして十分面白い。
だけど、この小説の面白さの核心は、第2部で大人たちが繰り広げる青春小説の味なんじゃないかと思う。
「完全犯罪」というからには、法で裁けるかどうかはさておき、彼らのやったことは「罪」である、という評価はしてよいと思うのだけれど、第2部を警察官の目線で推理しながらも、許し難い罪を犯した彼らが、その友情と秘密を守りきれることをつい応援する気持ちになってしまう。犯人たち(が完全犯罪を通して友情の証を立てること)と警察官(が自白に頼らず真相に辿り着くこと)を同時に応援しながら読めるミステリって、珍しいかもしれない。 -
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少年ABCが14歳の時におこした犯罪。友達の少女を救うためだったが、二人の人間を殺してしまう。しかし、起訴はされなかった。
それから15年後、そのときの少女が誘拐され、誘拐犯は期限までに殺人事件の真犯人が誰なのか自白しないと元少年達の氏名諸々をネット上にさらすという。
それぞれ時が流れ、大事な家族を守るため、どう選択をするのか。
警察が真相を見抜けず起訴できないということはあるのか?と思いつつも読み進めた。過去編で少年達と少女がどう関わりがあり、犯罪をおこしてしまうまでの流れがわかる。そんなことがあれば、何とかしたいと思うかも。
15年後の現在では、それぞれ大事な妻や子供があり、昔のように一致団結してというわけにはいかない。なんとなく真犯人の予想はついていたが、そうだったのかという驚きがあって面白かった。誘拐犯が犯罪をおこした気持ちもわかる。ドラマ化したら面白そう。 -
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単なる日常に潜む謎解き以外にも面白い!
文庫でも1,210円(税込)と強気な価格だけど、単行本には未収録作品が1つ加わってます。
未収録作品が実に隠し味というか、本作をいい味に仕立てており、シェフの腕前が光っていました♫
配達員の報告からオーナーシェフが謎解きをする安楽椅子もので、スマホやSNSに関する謎解きに軸足を置きつつも、登場する配達員のエピソードにも手抜きがなくしっかりと構成されていました。
「ウケてない」と「スベっている」の違いをしっかり言語化して説明していたり、オーナーシェフが配達員にまずUSBを運んでもらう理由だったりと日常に潜む謎解き以外にもエネルギーを注いでいると感じられて◎
謎に包まれたオーナーシェフの続編期待!! -
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ネタバレ乃愛が話せる状態なのに自白しなかった、その時点でどんな腐れ縁があったとしても普通は自分や家族を守るために乃愛が犯人だと言ってしまうと思う。それにも関わらず昔からの姿勢を崩さなかった翔吾は一番守るべきものがなかったからであって、もし翔吾に愛すべき家族がいたらこの結末は迎えなかったのではないか?
家庭環境に恵まれなかった一方で愛すべき家族を見つけた乃愛、鉄平、大樹。3人の心理が揺れ動くのは当然だと思う。翔吾だけが昔から「本町ギャングスターズ」を拠り所にしていて、友情の証明のため約束を守り抜くことを徹底していた。結果的には翔吾が一番情が深いキャラクターということになるのではないか。
あと、全然関係ないが2人がメッタ刺しで死んでたという表記から真犯人を守るために他3人も遺体を刺したのかな?と勝手に思い込んでいた。