黒澤いづみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ母親の傲慢さに腹が立ちながら読んでいた。そして子供は親を選べず、小さい頃の環境により身についてしまった感性からの脱却は極めて困難であるというやりきれなさ。それでも親を悪く思う自身への罪悪感との戦い。あまりの逃げられなさに読者としても追い込まれた。母親の一筋の「息子を守るのは親の役目」という思いでぎりぎり持ち堪えたことや、息子にとっては殺したいと思うほど積まれた母への怒りが一筋の「諦めずに救ってくれた」で間一髪殺さなかったことから、人と人とは僅かな線でもいい方向へと転がれる可能性を持つことのできる、それを信じることのできる優しい生き物だと感じた。だからこそ愛はその人にとっての愛であり、自分にとっての愛の押し付けについては考え直す必要がある。
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ネタバレ 購入済み
どの視点で見るか
この物語は主に異形になった子供を持つ親の視点で進みます。その中で子供については親の視点でしか基本語られません。
つまり子供の心境などは物語後半まで読者である私たちの想像の中にしかありません。
私は現在学生ということもあり、母親視点で物語を追いながらも子供たちがどうしてそのようになってしまったのか、というのをかなり考える読み方をしました。
異形になった子供達も簡単に言えば私たちが家族や友人との関係で感じる苦しみを深くしたものを経験した人達と言えます。だからこそ少しの共感が子供の心境を考えることに繋がりました。例えば主人公の息子が高校に行けなくなった時、母親が何があったかを多く語れなかったのはきっと子供の話を聞かずに登校を強制し、理想をあてはめ続けたと想像したように。
しかし、一転してこれが子供をもつ親だった時。きっと私とは違う見方をするのだと思います。
私は知らない親だからわかる母親の気持ちや行動に意味を見つけることができると思います。
そういう意味でもとても深い作品でした。
また、母親が聖人という訳では無いのですが自分の行動を見直せたり、人を信じることができる人間として出来た人なので、あらすじで感じるほど読むのが苦しくなることはなく読みやすい作品だなと思いました。案外最後はスカッとって感じです。 -
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タイトル『それはそれはよく燃えた』の1文から始まるショートショート集。
ネットの炎上、恋心、火事など、こんなものまで「燃える」のかと思える作家25人の25作を1冊の本で読めるのはとても贅沢。
でも後味は25作25様で、ほっこり甘いものもあれば苦々しいもの、ざらっと心地悪いものなど本当にさまざま。
クイズノックのファンなので河村拓哉さん目当てでこのシリーズを読み始めたが、矢樹純さん、三津田信三さんなど、このシリーズは毎回新しい作家さんと出会えて、読書の幅が広がって嬉しい
私は総じてホラーが好きなので、今回の『それはそれはよく燃えた』はぞくっとする話が多くて、とても好み。不穏で悲しくて残酷。年末年始たっぷり楽しめた
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25編のショートショート集で、ちょっとした時間にも読み進める事ができて楽しかったです。
全て『だから捨ててと言ったのに』の一言から始まり、そのあとは作者さんによって推理物になったり、ホラーになったり、感動物になったりと、ショートショート集なのにとても読みごたえがありました。
知っている作家さんの作品には作家さんらしさが出ていて楽しめました。初めての作家さんの作品もあったので好みの作風の作家さんの他の話も読んでみたくなりました。
このショートショート集をきっかけに読書の幅が広がりそうです。
今回は第四弾目とのことで、前作も読んでみたくなりました。 -
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ネタバレショート・ショートなので、一編が8ページくらい。その短い中で背景をぼかしつつも確信に迫る書き方してたりするものもあり、うまく咀嚼できないまま終わったものもあり、でも面白い短編集だった。
始まりが不穏なので、大体不穏な話が多い中、最初から最後までハッピーに終わる「切れたミサンガ」が好き。
人でも殺したんかと思いつつ、同じ格好ときたのでSFかと思ったら 笑
安定のホラーの「こわくてキモくてかわいい、それ」も好き。
それが不気味だけど、主人公が見下されてることに気付きながらも知らないふりして難を逃れてて、性格悪い私はざまみろと思ってしまった。
「久闊を叙す」も良い。
こんな形で、我が友李徴子を読むとは。新鮮な感覚だった。 -
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分かりやすく残酷で、分かりやすく気持ち悪く、そして分かりやすく感動させてもらった。
ある日突然、人間が異形の姿に変わってしまう「異形性変異症候群」。 引きこもりだった息子が異形になり、法的には死亡したことになる。
どんな姿になっても息子なのだから愛したい母親の気持ちも分かる。 それまで穀潰しだった息子が人間ではなくなり、法的にも死者となったのだから、もう終わりにしたい父親の気持ちも分かってしまう。
そんな「どちらの気持ちも分かる」状態から始まって、異形となった人々とその家族を見ていくうちに、そもそも人間とは、家族とは、愛情とは何なのかが少しずつ気持ち悪くなっていく。
見た目の気持ち悪さもかなりのものだけど、本当に気持ち悪いのはそこじゃない。
子どものためを思っている。 愛している。 幸せになってほしい。
それが本当に相手のためだったのか。
子どもが異形になってから自分の育て方を悔い改めるとは、なんとも皮肉な話ですな。
かなりぶっ飛んだ設定なのに、最後に残ったのは妙に生々しい親子の話だった。 -
Posted by ブクログ
積読チャンネルで紹介されていて手に取った一冊です。
ショートショート集なので、少しずつ細切れに読めるのがよかったです。どの作品もそれぞれ面白かったのですが、なかでも米澤穂信さんの「燃えろ恋心」が圧倒的に好きでした。
リズムもテンポもよく、一気に駆け抜けていくように読めて、最後のオチまできれいに決まっています。これはできれば、内容を何も知らずに読んでほしい作品です。
特によかったのが、青春時代の「大人は自分たちのことをわかってくれない」「なんとなくこちらの味方ではない」という感覚の描き方でした。
ラブレターを買ってから、実際に書くまでの過程もいいです。誰かに恋をしているというより、恋をしている自分ごと、恋そのものに精一杯恋をしているような書きぶりがとても素敵な文章でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレカフカの「変身」を彷彿とさせる設定
その先までを書き切った作品
「人間(しかもニート)が異形になる」という突飛な発想にみえて、読んでいたら
「もしかしたら、あの病気のオマージュ?」「もしかしたら、あれのメタファー?」など人によって様々なことを連想させるくらい、ちょっと普遍的なテーマ
…な気がする
美晴の息子への愛を感じられたシーンは、ジンときた
美晴にどうしても感情移入しちゃうせいで、夫や義母にはムカムカする
いや〜あの虫タイプだと、拒否反応も分からんでもないけど…
でも、終章の息子の引きこもりになってしまうまでの過程も、「え、美晴、そんなんやったんかい…」とちょっと引いてしまうし、それでいて「息子ももうちょいなんとかよぉ…」とも感じてしまった
すべてのキャラが「こういう性格の○○さん」って感じで、複雑味のある感じではない
だから読みやすくはある
面白いんだけど、読み終わったら人生終わるくらいの喪失感覚えるほどのものはないかも
万人受けする面白さ