黒澤いづみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昨年、単行本で読んで話の内容に凄く引き込まれたのに最後だけ何か府に落ちず、何でだったのかなと思い、文庫解説→再読しました。
内容は比較的覚えていたので、改めて読んでみて、文章構成や登場人物のキャラが分かりやすくていいなと思った。
各章ごとの終わりに主人公ではない人の目線からのストーリーを入れているのも単調にならず飽きさせないので面白い。
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■再読してみて。
ただの異形変形してしまう奇妙な話ではなく、
病気(ハンセン病、エイズ、コロナ)など差別的対象のオマージュと、引きこもり問題の『8050問題』を掛け合わせた二重の問題提起があったから引き込まれ -
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25編のショートショート集で、ちょっとした時間にも読み進める事ができて楽しかったです。
全て『だから捨ててと言ったのに』の一言から始まり、そのあとは作者さんによって推理物になったり、ホラーになったり、感動物になったりと、ショートショート集なのにとても読みごたえがありました。
知っている作家さんの作品には作家さんらしさが出ていて楽しめました。初めての作家さんの作品もあったので好みの作風の作家さんの他の話も読んでみたくなりました。
このショートショート集をきっかけに読書の幅が広がりそうです。
今回は第四弾目とのことで、前作も読んでみたくなりました。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ引きこもった子は、親からの目線だと、理解の範囲を超えるという点で、異形の生物に変身したように見えるのかもしれない。あるいは子ども自身が持つ自己認識そのものが異形な生物なのかも。
カフカの「変身」を思わせるような設定であるが、カフカでは、巨大な虫に変身した主人公に対して、最初は優しかった妹が、社会的、経済的に追い詰められて、やがて主人公に冷たくあたるようになる。でも、この本の母親は、過干渉だった自らの行動を反省し、どこまでも子どもに愛情を示している。その点、実際には母親にも様々な葛藤があるだろうし、そこをもう少し読んでみたかった。
引きこもりの問題についての、寓話的な話として、いろいろ考 -
Posted by ブクログ
短編なのでサクサク読めた。
今回の書き出しテーマは『だから捨ててと言ったのに』…だいたい恋愛絡みか、夫婦関係こじらせ系が多かったように思う。
誰に対して言っているかで、作者ごとに思い付く話が違い、個性があって面白い。
アンソロジーは、知らない作家さんを知って、見つける機会にもなる。
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↓読んだ中で印象に残ったもの。
●良い話
砥上裕將『母の箪笥』
金子玲介『恋文』
●じわじわ来る系
潮谷験『無理解』
五十嵐律人『累犯家族』
背筋『こわくてキモくてかわいい、それ』
●設定の世界観が独特
黒澤いずみ『捨てる神と拾う神』
舞城王太郎『食パンと右肘』
多崎礼『海に還 -
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Posted by ブクログ
「だから捨ててといったのに」から全ての物語が始まる短編集。作者によって「何を捨ててと言ったのか」を読むのが楽しいですね。昔星新一の「ノックの音が」を読んだときのようなワクワク感があります。普段あまり本を読んでいないので、この手のタイプの短編アンソロジーはいろんな作者さんの作品を一冊でたくさん読めるのが本当にありがたいです。多分読書家の方なら、作者を伏せても「この話はこの人が書いたのかな」と分かるのかもしれないなと思いました。そういう楽しみ方をしても良いのかも。
真下みこと「お守り代わり」
五十嵐律人「累犯家族」
芦沢央「久闊を叙す」
多崎礼「海に還る」
谷絹茉優「猟妻」
こちらの5編が特に好き