黒澤いづみのレビュー一覧

  • 人間に向いてない
    泣いてしまった。
    読み始めの第1章の印象と読み終わった最後で180度ガラッと印象が変わる作品。

    書き始まり方は異様な世界観で、現実からかけ離れている描写を理解する為に少々苦戦し、中には好まない文体だと思う人もいるかもしれない。
    しかし読み進めていくと、異様な世界観であると思っていたものが、現代の世...続きを読む
  • 人間に向いてない
    ただのグロい、奇抜な本では無い。
    例えば、病気で見た目が変わる者やその周りの反応などが連想された。

    主人公の母親目線で話が進む。
    主人公は変異性異形症候群という見た目がグロテスクや虫や、それらに近いものにある日突然変わってしまうという奇病にかかる。

    変異性異形症候群にかかったものはその時点で死ん...続きを読む
  • 人間に向いてない
    一気読み。
    終始信じがたく想像しがたいストーリーな上に、丹念な、「嫌悪」「不安」「憎悪」あたりの感情描写が心にきた。。。社会小説チック。

    解説にある「えずいても読みたくて泣ける小説」という表現がぴったりだと思う。
    わたしも何度も背筋がぞわぞわして本置きながら読んだのに、最後泣いた。
    読んでいて気持...続きを読む
  • 人間に向いてない
    カフカの「変身」を「皮肉」の意味で捉えて書いたような内容。
    魚のような生き物になった自分の子供を食べた話が衝撃的だった。自分がもしこの病にかかったら、直ぐに近くの山奥に捨てられるか、施設に送られ殺処分されるんだろうなぁと思いながら読んだ。
  • 人間に向いてない
    読んだことないタイプの内容で面白かった...
    「変異」の描写が妙にリアルで最初はゾワゾワしたけど、後半にいくにつれ優一への共感が止まらなかった。
    私は引きこもりではないしちゃんと学校にも通っているけれど、家での居場所がないって感じたこともあるし別に生きてなくてもいいんじゃないかって思ったことも何度も...続きを読む
  • 人間に向いてない
    人間がいきなり異形(虫や動物や植物っぽいもの)になってしまう病。公に認知されその法制度も整備されている。しかも罹るのはニートばかり。
    ある日ついに異形になってしまった息子、割り切る父親と諦めきれない母親。
    カフカの「変身」も虫になるがそれは「役に立たない」ニュアンスが含まれるらしい。それを踏まえると...続きを読む
  • 人間に向いてない
    母が子供にやってあげてきたというエゴと、息子が母に虐げられてきたという恨みが交錯するのが恐ろしかった。ある日人間が異形になるという病はフィクションだけど、何が起こるかわからないこの世界で決してフィクションで終われない、見過ごせないもしもの世界を体験した。全ての親が、親だからという本能だけで子供を守る...続きを読む
  • 人間に向いてない
    高校を中退して5年間引きこもっていた息子が、ある日虫のような異形の姿になってしまった。
    この設定だけを知ったとき、カフカの変身みたいだな、と最初に思った。
    しかし、読み終わってみて、この本はホラー要素もありつつ、現代の病理を描いた「家族小説」だなと思った。

    「異形」という誰も見たことのないはずのも...続きを読む
  • 人間に向いてない
    帯びにある、「嫌なのに泣ける」まさにその通り。
    希望しかないザ.ハッピーエンドではないが、リアルで前向きに読み終えた。
    これはおすすめ!
  • 人間に向いてない
    朝、目覚めると毒虫になっていた… 家族の在り方をショッキングに描く異形モノSF #人間に向いてない

    ■あらすじ
    専業主婦である美晴が、引きこもりの息子の部屋を訪れると、中からごそごそという物音が聞こえる。そっと扉を開けると、そこには虫に異形化した息子の姿を目にすることに。世間では異形性変異症候群が...続きを読む
  • 人間に向いてない
    設定が面白すぎる。これからどうなるのか気になって一気読みした。

    最初は非常で自分本位の旦那に腹が立ち主人公を応援するような感じで読んでいた。なんでこんなバカな旦那と結婚したんだろう。流されやすくて頭が弱いのかなと思っていたけど最後の方の息子サイドの話を読んで方向性が違うだけで似た夫婦なのかもしれな...続きを読む
  • 人間に向いてない
    母は強し。

    愛情深い母親を持つっていうのはとんでもない幸福だと思う。歪んだ愛にしても、その過程で辛く苦しく愛憎が生まれ持ってしても、最後には互いに互いを思い遣って修復へと向かえていけるのならこの上なく素晴らしいことだと思う。色々と考えさせられる作品で奥深く感じました。他の作品も読みてえ。
  • 人間に向いてない
    購入はしたが、表紙の不気味さとか積読になっていた。読み出すとサクサク読めた。昔、SF短編で読んだことがあるような気もしたが、被害者の会の流れや独特な味もあり、甘めの★4
  • 人間に向いてない
    一夜のうちに人間をおぞましい異形へ変えてしまう奇病、「異形性変異症候群」。
    ある傾向を持つ若者たちがかかるというその病気は、かかったが最後、患者は死んだものとみなされる。
    ある日、専業主婦である美晴が息子の部屋に入ったところ、そこにはおぞましい芋虫の様な生き物が。理解のない夫と衝突を繰り返しながら、...続きを読む
  • 私の中にいる
    全体的に暗いトーンでテーマも重く好みではないはずだが、何故か一気に読んでしまった。

    主人公の内面の本当に少しずつの変化が、嬉しくはある。また後半は周りの人達に恵まれ、向き合いたくない過去の自分と向き合うところは応援したくなった。

    ただ虐待する気持ちに共感はできない。読んでいて辛かった。こう感じら...続きを読む
  • 人間に向いてない
    変な病気を"異形"で表現し、現代の問題を
    読者に伺っている小説だと思いました。
    面白かったです。

    親、息子、同じ境遇の人たちが抱えている
    傷や悩みが生々しく文章で羅列されていて、
    僕自身も読んでいて、正直悩んでしまった。。。

    病気の設定がミソで、"愛する"から逸れていく形に
    敷かれているし、きつ...続きを読む
  • 人間に向いてない
    表層のグロテスクさと重い内容に比して、とても読みやすい作品。倫理的にも能力的にもそれぞれに欠陥があり、明晰過ぎない人物ばかりなのがリアルで良かった。

    前半は特に、世間一般のやり方で処理しようとする勲夫にやや同調的に読んでしまったので、自分自身の冷酷さや未熟さを思い知らされる羽目になる。世間がなんと...続きを読む
  • 人間に向いてない
    ちょっと精神状態が不安定な時は読まない方がいい。
    ズドーンと来てしまった。
    これは「異形」という設定を借りた現代社会の家族問題の炙り出しだ。

    自分も子供に対して、多かれ少なかれ似たようなことをしてしまったり、闇の心を持ってしまったりしているところがあるなと…。翻って自分がなんぼのもんなのだと…。
    ...続きを読む
  • 人間に向いてない
    これは良かった。まずタイトルが面白くて手に取った。SFホラーチックで、内容が内容なんでグロもちょこちょこ出つつ、結局は社会派ドラマだった。人間の嫌な部分も全開に出てくるから精神的には良くないし、なかなかの長編なんだけど、リアルなテーマは最後まで一貫してるし、先が知りたくもなって読み進め易かった。
  • 人間に向いてない
    引きこもりやニートといった、社会的に不必要とされる人間がかかる異形になってしまう病気。悍ましい虫の姿になった引きこもりの息子と、彼を思う母の心情の変化がよかった。所々で異形になった人たちの心情が綴られていて、苦しくなる。途中泣いてしまうところもあった。