あらすじ
「今年(2018年)読んだ本の中で、私のベスト3に入る1冊!」――宮部みゆき(単行本帯コメントより)
話題騒然のメフィスト賞受賞作。読者から届いた熱い、熱い声。続々重版出来。
子供を殺す前に。親に殺される前に。
すべての「向いてない人」に捧ぐ、禁断のオゾミス、または落涙の家族サスペンス!
一夜のうちに人間を異形の姿へと変貌させる奇病「異形性変異症候群」。
この世にも奇妙な病が蔓延する日本で、家族は。
ある日、美晴の息子の部屋を、気味の悪いクリーチャーが徘徊していた。
――冗談でしょう。まさか、うちのユウくんも・・・!!??
そこから平凡な家族の、壮絶な戦いが幕を開ける。
感情タグBEST3
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ある日息子が虫になってしまう。ひきこもり22歳。夫はそれは息子ではない、虫だから捨ててこいと言う。異形性変異症候群と名づけられたそれは、ニートの人を狙い撃ちに起こる病気で、もとの人間に戻った症例は未だにない。患者家族の会に出てみたり、友達を作ってみたり、いろいろと足掻いてみたりする。
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人間がある日突然「異形性変異症候群」という病気でありえない姿に変貌するという病気が蔓延する。
足がたくさん生えた虫になる
小型犬の身体と人間の顔がくっついている
花、魚、、
こんなありえない設定なのにもしかしたら未来にこんなことが起こるかもしれない!と思うほど引き込まれた!
見た目が人間じゃなくなったとき自分と近しい人はどうするだろう、自分はどうするだろうと考えてしまう
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ちいかわの栞欲しさにセレクトした1冊。
いやいや、最高でした。
私は虫が苦手なので、読み始めはちょっと…と思いましたが、1行も読み流しをすることなく、全部、興味深かったです。
子供だった頃の私、母親になった私、それぞれの立場で共感出来ました。
出会えて良かった1冊でした。
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昨年、単行本で読んで話の内容に凄く引き込まれたのに最後だけ何か府に落ちず、何でだったのかなと思い、文庫解説→再読しました。
内容は比較的覚えていたので、改めて読んでみて、文章構成や登場人物のキャラが分かりやすくていいなと思った。
各章ごとの終わりに主人公ではない人の目線からのストーリーを入れているのも単調にならず飽きさせないので面白い。
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■再読してみて。
ただの異形変形してしまう奇妙な話ではなく、
病気(ハンセン病、エイズ、コロナ)など差別的対象のオマージュと、引きこもり問題の『8050問題』を掛け合わせた二重の問題提起があったから引き込まれたんだなと思いました。
メフィスト賞だけあって表現は独特だったり、グロい描写もあるけれど、根本は家族の話(主に母親と息子)を描きたかったんだなと思った。
■そうだよなと思った言葉↓
『情報はすぐに新しく塗り替えられ、真逆になる。何が正しいのか分からなくなる。
翻弄され混乱しながらも、物事の"正しさ"とは絶対的なものではないことに気づく』
異形に変異するのは、ややSFっぽいけど、コロナ禍を通してみて世の中に絶対はないよな…と思ってしまう不思議さはある。
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将来自分が親という立場になったときに、また読み返したい。
人間が虫になるっていうホラーなサスペンス。前半はグロテスクさの描写が上手くて面白いなと思って読んでいたけど、
後半は親子関係の後悔や辛さが濃く深く描かれていて、勢いに圧倒されて一気読みした。
サスペンスで括るのはちょっと勿体無いような、サスペンス読まない層にも刺さってほしい本
Posted by ブクログ
「──絶望しているのですか。」
「──人生が嫌になったんですか。」
「──もう、やめてしまいたいですか。」
ある日、主人公"美晴"の息子"優一"が難病である『異形性変異症候群』にかかり、異形の姿になってしまう。
この難病は何故かニート、引きこもりがかかりやすく
そして衝撃的なのが、政府によって"死亡した"扱いになる所だ。
(詳しい理由は読んでください)
誰もが異形に──社会や人生の何もかもに絶望し、このまま溶けて消えてしまいたい
と思ったことがあると思います。
その深みに落ちてしまったとして、それを救うのはいったい誰なのでしょうか。
家族でも、誰でもいいので、そのような状況の方が1人でも多く救われて欲しいなと
そう思わざるを得ない話でした。
特に※の章は泣きながら読んでしまいました。
好きなフレーズ
「どう在ってもいいのだ。自分も、他人も。すべて己の采配で、何事だって決めていい。」
「自分はゴミでもなく、クズでもなく、こうして必要とされる価値のある存在だと、やっと思えるようになった。」
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この本を一言で表すなら「因果応報」が1番合っていると思います。
息子が異形になっても愛をもって接することができるか…とても考えさせられる作品でした。
そしてやっぱり、今まで自分がしてきた行いは自分に返ってくるということを改めて学べました。
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なんていうんだろう。親と子の信頼関係の修復がすごくてそこに感動した。
やっぱり言動で伝えることは、とっても大切なんだなと深く感じれた作品。
あと、異形の想像が合ってるか分からないから、興味本位だけどイラストでも良いから見て見たかった笑
Posted by ブクログ
引きこもった子は、親からの目線だと、理解の範囲を超えるという点で、異形の生物に変身したように見えるのかもしれない。あるいは子ども自身が持つ自己認識そのものが異形な生物なのかも。
カフカの「変身」を思わせるような設定であるが、カフカでは、巨大な虫に変身した主人公に対して、最初は優しかった妹が、社会的、経済的に追い詰められて、やがて主人公に冷たくあたるようになる。でも、この本の母親は、過干渉だった自らの行動を反省し、どこまでも子どもに愛情を示している。その点、実際には母親にも様々な葛藤があるだろうし、そこをもう少し読んでみたかった。
引きこもりの問題についての、寓話的な話として、いろいろ考えさせられた。
Posted by ブクログ
気持ちの悪い話なのかなと思っていたら、読後感は爽やかさすら感じた。
完璧な親子なんてない。親にされて嫌だったことを許すか、許さないか、許したふりをし続けるかどれかを選んで生きていかなきゃいけない。どれにせずに有耶無耶にしておくと歪む。
優一の開き直った感じがとても清々しい。父親のことを許したふりをして進んでいくのだろう。父親は自分の親を許すことも許さないことも許すふりもできなかったから、自分のこどもをまっすぐ愛せなかったのでは。
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引きこもりやニートの若者の間で流行る、人間が突如虫や犬などに変貌する奇病・異形性変異症候群に罹った息子・優一とその母親・美晴の話。何かに変身するということは童話の世界では大抵「死」や「沈黙」を表す。しかし、この話は現実で変貌した息子は存在する。無理解な夫・勲夫や『みずたまの会』というコミュニティやそこで出会う津森の存在が美晴の「これから」に目を向けるきっかけになる。また、終わり方がただよかったねという無理解なハッピーエンドではなく、対立を経て変化したのが秀逸。
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無自覚に子どもを追い詰めてしまう場面は、どうしてもどの家庭にもある。
違う人間だから、価値観も受け取り方も言葉の選び方も違う。
親にとっては些細な言葉が、子どもにとっては人生の大事な選択が変わるほど忘れられない言葉になったり、人格形成に大きな影響がでる。
でも傷つけるつもりで発言してないから、言った本人、親は忘れている。
異形化したことをきっかけに、主人公は自分の息子への接し方を思い返し、傷つけ続けたことに気づきやり直そうと息子に寄り添い続けることを決意する。
この事に気づける親は決して多くないし、その上諦めず今から一からやり直す勇気に感激した。
それに対して、過去は許さないけどこれからやり直そうとしてくれてることには感謝し関係を築き直そうと息子が寄り添うところもすごくよかった。
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引きこもりや社会不適合者が虫、植物、動物などに姿を変えてしまう異形性変異症候群。面白くて一気に読み進めた。
とにかく描写が上手い。母の立場、引きこもりの息子の立場、それぞれの心の内がこれでもかと言うほどリアルに描かれていてあっという間に引き込まれた。自分の気持ちまで鬱々としてくるような伝わり方。この人の他の本も読んでみたい。
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硬くなってしまった時点で、あぁ羽化するんだなって思った
でも、戻れたヤッターめでたしめでたしってならずに良かった!
頑張っても報われなくて可哀想なお母さんだと思って読んでたのに、息子目線で見たら結構それなりに酷かったわ
可能性があるってわかっても保健所で処分できちゃうの怖いな
殺しちゃって苦しんだ人たちは戻れたかもしれないって知ってさらに苦しんだだろうなぁ
津森さんももちろん苦しむんだろうけど、気になるのは娘さんの想い人…旦那さん!?
生きてても複雑だったかな
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設定が面白く、次々と読み進んでしまった。
終わり方も後味がよく、母(美晴)ぞよく頑張ったと感じた。
話の展開的に最初がピークに感じたが、終わり方が良かったかなと思ったので、★4とした。
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引きこもりの子供がある日突然、奇妙な虫みたいなものに原神している。まるでカフカの変身のように始まりますが、それ以降の展開がとても面白いので一気に読んでしまいました。
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現代版のカフカ著の変身。
オマージュを感じられ、救いに変換した感じ。
突然変異は現実には認識されてないけど、生物の自然発生がある以上、未来に起こっても不思議ではないと感じた。
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"早く逃げないと家族に殺される" 虫になってしまった子どもは牢獄に閉じ込められたままです。番人は、無関心な父親と過干渉な母親。この話は母目線で語られ、強烈な子育て反省文が前半100ページにわたって続きます。かなり独りよがりな独白なので読者はウンザリします。これだけ自尊心傷つくと子どもも虫になってもしゃーないなと納得でしょう。親と子のどちら目線で読むかによっても変わりますが、子どもも立派な成虫ですし劣悪な環境からはさっさと巣立たせてやれよと思ってしまいます。家族の呪縛から解き放たれるのか!?イヤミスは間違いない
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人間が異形の姿に変貌するという奇病が蔓延。しかもある特定の性質を持つ人にだけ突然発症する。
非現実的な設定なのに、やけにリアルな社会と家族の描写が、いかにも日本で起こりそうで、更に不気味感が増す。しかし何故か読後感は悪くない不思議。
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人間に向いてない、でも人生について自分について他人について苦しいくらい考えている人たちばかり
死にたくはないけど消滅したい、の部分が共感できすぎてよかった
人々の感情の描写が多い、ねちっこくて生々しくて嫌悪感持ちながら読んでた(良い意味)
現代社会の問題について、家族について嫌でも考えさせられた
テーマが衝撃的なだけに結末に何かあることを期待してしまったから、結末は普通で少し残念
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親子といっても別の体を持つ人間。どれだけ言葉を尽くしても解り合えないことは多い。なのにお互い話し合うこともせず違いを認め合うこともしなかったから その能力を取り上げられるかたちで異形となって意思の疎通が絶たれてしまったのか? そして言葉や意思疎通の方法を失って初めてお互いを理解しようと努力したということだろうか…
王女のキスでカエルから王子に戻る様に無償の愛で異形から人間に戻る感じには少し物足りなさを感じた。
正直あまり気持ちの良い話ではなかったが最初から最後まで〝あなたならどうしますか?〟とずっと問われている様に思えて 色々考えさせられた。
Posted by ブクログ
できの良くない親として,この本を読んでいて辛くなる部分が多かった.子供というのは勝手に育つもので,見守って,必要な時だけ支えてあげれば良い.とはよく聞くけれど,美晴もそれができずに悩んでいた.
「先回りしてできることをしてやるのではなく,できないことを手伝ってやること.」
「肯定的にも否定的にもわざわざ意味付けする必要もない,確かな事実がある... 他人の反応,ひいては言葉,自分自身を含めた感情,意味と呼ばれているもの,そのすべてがあたかも本物のように振る舞うだけで,実はまやかしであるということ.ただ移りゆく現象と同じようなもので,自分を脅かし害するような絶対的な力は持ち得ないこと.どう在ってもいいのだ.自分も,他人も.すべて己の采配で,何事だって決めていい」
子供達の話を,例えそれが自分に興味ないことでも,もっともっとちゃんと聞いてあげる時間をしっかり積極的に作っていこう.彼らの話に興味を持とう.と,思わせてもらった一冊です.
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人間の時は子供の気持ちをうまく分かってあげられず恨まれていたが、虫の姿になっても見捨てなかった親としての愛情で何となくハッピーエンドになった感じ。子育ての難しさを感じる作品だった。
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ある日突然自分の子供が異形の生き物になってしまう、という不思議な設定のお話。
ファンタジーなのにリアルな親子関係、人間関係が描かれていて楽しく読めた。
もしも自分の子供がある日虫になってたら変わらず愛せるだろうか…?足の部分が指になってる芋虫が自分の子供でも…?
想像しながら読んでいたけれど、なかなか許容するのは難しい…作中に出てくる何人かの人みたいに、私なら殺してしまいそうだ……
全部でざっと10人くらいの登場人物が出てきたけれどどの人も人柄とかをさらっとしか書いていなくて、その知らない具合がリアルな人間関係っぽくて良いなあと思った。
最後に異形になった子供達の心のうちというか、葛藤というか、独白というか。そういうのが続く章があって、私自身が10代の頃に考えていたことと本当にそのまま一緒だった。
大丈夫だよ。大丈夫になるよ。自分のこと愛せるときがいつかくるからね。今はダメでも、どん底でも、大丈夫になるよ。
当時言われても全く響かなかった、ありきたりな言葉しか、伝えられる言葉がなくなってることに気づいた。
当時の私はどんな言葉をかけたら救われてたのかな。
Posted by ブクログ
誰しもがカフカの「変身」を思い浮かべると思われる本著。
ある日、引きこもりの息子の部屋を訪れたら不快な見た目の「虫」になっていてーー
という冒頭から始まり、奇形な姿に成り果てた子供を抱えながら、家族と葛藤し、仲間を求めてもがく母親を主軸に物語は進行していきます。
この「虫」という存在が、読み手にとって如何様にも捉えられるところが本作の面白いところ。この虫になる病に冒されるのは社会的弱者という定義づけがなされていますが、それは例えば高齢者だったり障がいのある人や社会に馴染めない人など、様々に解釈ができます。
周りにそんな人がいたら…家族が、自分が…と立場を置いて想像しながら読むのも一興です。
最後のクライマックスの場面では、甲斐甲斐しく世話をし、命を救ってくれた存在にそのような暴挙を…?と感じてしまい、一捻りいれたいと考えた作者の恣意的な発想を思い、やや興醒めしてしまいました…とはいえ、一気に読んでしまう吸引力を持った一冊。新幹線の移動中などのお供にどうぞ。
以下、腑に落ちなかった点
・母である美晴が虫になった息子を受け入れる過程が早すぎて、どちらかといえば息子を拒絶する父親に共感してしまう
・度々描写される津森の人間不信的描写が執拗に感じる→必要な描写か?不明
Posted by ブクログ
カフカの『変身』を頭に浮かべながら、期待して読み始めた。人間が突然異形になるというのはやはりとてつもないショックと混乱を生むなぁというのが第一の感想。
引きこもりやニートに発生する奇病としてたくさんの人が変異してしまうのが悲劇の始まりだったが、悲劇ならその前から始まっていたんだなとわかるのが虚しかった。人間というものは、結構切羽詰まらないと自分の気持ちもわからないものだと思う。恨み言をいくつも読んで、我が子を殺してしまう親の姿を見て、気持ちがどんどん沈んでいった。
虫に変異した息子を通して、自分と家族の姿を見つめざるを得なくなった母親が、追い詰められて極端な思考に陥っているのがリアルだった。彼女のことはあまり好きにはなれなかったけれど、考えて出した結論には少し涙ぐんでしまった。
これはいつでもやり直せるというメッセージでもあるし、ひとつでも噛み合わなければ家族は瓦解するという現実でもある。一度壊れかけた家庭を立て直すのは簡単ではないと思うけれど、努力と協力次第では不可能ではないはずだ。
Posted by ブクログ
同僚から借りた1冊
なかなか考えさせられる1冊だった。
描写はなかなかグロテスクで気持ち悪いんだけど、読みやすくて最後は泣けた。
親の立場でも子供の立場でも色々と考えることのある本だった
Posted by ブクログ
メフィスト賞を受賞した本作。
人が突然異形へと変化してしまうホラーな世界観ですが、内容は家族をテーマとした感動ものでした。
衝撃的な事実や厳しい現状にも負けることなく息子を守るために戦っていく母の姿には母の強さというものを感じましたね。
自分もそうなのですが、子育て中の人には特に刺さる作品だと思います。