黒澤いづみのレビュー一覧
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誰しもがカフカの「変身」を思い浮かべると思われる本著。
ある日、引きこもりの息子の部屋を訪れたら不快な見た目の「虫」になっていてーー
という冒頭から始まり、奇形な姿に成り果てた子供を抱えながら、家族と葛藤し、仲間を求めてもがく母親を主軸に物語は進行していきます。
この「虫」という存在が、読み手にとって如何様にも捉えられるところが本作の面白いところ。この虫になる病に冒されるのは社会的弱者という定義づけがなされていますが、それは例えば高齢者だったり障がいのある人や社会に馴染めない人など、様々に解釈ができます。
周りにそんな人がいたら…家族が、自分が…と立場を置いて想像しながら読むのも一興です。
最 -
Posted by ブクログ
ネタバレカフカの『変身』を頭に浮かべながら、期待して読み始めた。人間が突然異形になるというのはやはりとてつもないショックと混乱を生むなぁというのが第一の感想。
引きこもりやニートに発生する奇病としてたくさんの人が変異してしまうのが悲劇の始まりだったが、悲劇ならその前から始まっていたんだなとわかるのが虚しかった。人間というものは、結構切羽詰まらないと自分の気持ちもわからないものだと思う。恨み言をいくつも読んで、我が子を殺してしまう親の姿を見て、気持ちがどんどん沈んでいった。
虫に変異した息子を通して、自分と家族の姿を見つめざるを得なくなった母親が、追い詰められて極端な思考に陥っているのがリアルだった。彼 -
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我が子である萌果に虐待を繰り返す佳奈…ある日突発的気がつくと佳奈が頭を打って死んでいた…。元々大人しく内向的であった萌果だったが、事件後は人が変わったかのように反省の色も見えず反抗的な態度になったこともあり、児童自立支援施設で過ごすことになった…。いったい何があったのか、萌果は萌果ではないのか?…。
内容が内容なだけに終始重い気持ちで読みすすめました。この物語の救いは、施設を変わることでかけがえのない出逢いがあったこと…自身を見つめ直せたことで、その後の人生を誠実に生きていくことこそ贖罪にあたるという思いにたどりつけたことですね!これからの彼女の人生が、明るいものでありますように…そう願わず -
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私の中にいる
黒澤いずみさん。
とても、不思議なお話でした。
家庭環境。ネグレスト。虐待。
負の連鎖。
虐待された子が、親となり、
同じことをする。
本の中に、
羊の絵本。
というお話が出てくる。
奥深いお話。
結末のない、模範となるべき正解が存在しない物語。それは、まさしく、人生と同じものであるともいえた。
いろいろ考えさせられる本でした。
環境によって、
とても酷い負の連鎖になることもある。
でも、
出会った中で、手を差し伸べてくれる人達もいる。
考えさせられた本でした。
罪に対する1番の贖罪とは、
誠実に生きて死ぬこと以外にないと思う。
償いの意識を持ち、自分が最も善いと思