吉田篤弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
半年くらいかけて、ゆっくりと読んだ。どこを読んでも東京の長い夜を過ごす人たちを描いていて、まだ眠りたくない夜に、時間をかけて読むのにふさわしい一冊だった。
ある登場人物が、私はいま夢を見ているのか、と感じながら会話をして買い物をするシーンがある。始めから最後まで、この本を読んでいてそんな心地だった。ふわふわと数センチ浮かんでいるようで、現実との境目が曖昧で、特に劇的な出来事も大きな感銘も生まれないけれど、色々な思いをそっと自分の中に置いていく…
それなのに最後にはさまざまなピースが収まるところに収まって、始めからここに向かっていたのかと不思議な気持ちになった。
私は一時、介護の仕事をしていた。週に一回夜勤の日があったため、彼らと同じように幾度となく夜から朝に変わる瞬間を目にした。
深夜は誰もが寝静まり、起きているのが自分だけという心細さもありながら、たまに起きてくる入居者と話をしていると、まるで秘密の時間を過ごしているような楽しさもあった。(一方で夜は転倒事故も起きやすいという難点もあるが…)
そこから夏は4時くらいになってくると空がうっすら色を持ち始め、近くで飼育されているニワトリが鳴き始める。夜明けの澄んだ空気を吸いながら、朝が来るぞと気合いを入れ直す。
いそいそと入居者を起こす準備をしていると、気づけば7時になり、夜勤明けには直視できないくらいまぶしい光が窓から差し込んでくる。この瞬間の、あぁ終わった…という達成感と少しの寂しさは介護を辞めた今でも、ずっと忘れられない。
あの頃この本を読んでいたら、真夜中を過ごして夜明けの空を見ている人間は自分だけじゃないんだと、少し勇気をもらえたかもしれない。
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Posted by ブクログ
純文学作家の発想
ひとつづつ評していく。
川上弘美。未来SF。
発想が陳腐だと思ふ。書きたいことを意識的に書いてはゐるが、予定調和的で凡庸から突き抜けない。
人間由来の人間を工場で作らず、多様な動物由来の人間どうしが結婚し合ふ未来観(近親交配によるホモ接合型を減らすためだらう)。そこでの恋愛。
厳密にいへば、人間と他種ではゲノムの相補性が少ないからありえない。遺伝子組換かもしれない。まあそこは目をつむることにしても妙だ。
未来でも入籍といふ制度は残ってゐる。人間に本能の性欲が残ってゐるんだらうけど。結婚しない人や、核家族がどうなったかも書いてない。
妙にSFが現実路線のわりには、ふはっとしてあいまいだ。雰囲気小説のたぐひか。さいきんの川上弘美には『大きな鳥にさらわれないよう』等、未来小説がある。
多和田葉子。
川上弘美より面白い。
純文学らしく突っかかる表現が冒頭から続く。生花で花の首をちょんぎるだの、乱暴な表現は筒井康隆を想起した。独特で考へ抜かれた奇妙さを意識して、多和田自身も意図しない効果が出るやうな浮揺感を狙ってゐる。言語にこだはるナショナリストぶりもあらはれて、いつもの社会諷刺もある。
全体としては普段の多和田の域をつかず離れず。 -
Posted by ブクログ
一から三までぶっ通しで読んだ。いや〜、全編通して雰囲気を楽しむ小説だった。
5番目のブルーから派生した6番目のブルーの正体。大切な人を失っても、それでも世界は回っている。
オシャレなカフェでChillしながら読んだので没頭して読めたけど、普段のように仕事に忙殺されながら合間時間に読んだらとっても眠くなってしまうと思う(笑)
月とコーヒーのインクの話に関連してると言いつつ、月とコーヒーの話あんまり覚えてないな〜と思って他の方のネタバレあらすじ読んだけど、これはこれで繋がってるようなそうでないようなって雰囲気だった。その曖昧さが好きな人にはハマるんだろうな。