三上延のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトル見て借りましたが、『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズの作家さんだとは気付かず…。
同潤会アパートというと表参道だと思っていたので代官山だったっけ?と思って調べたら15カ所もあったんですね。
関東大震災の後、日本初の鉄筋コンクリート造りの集合住宅として建築された同潤会アパート。代官山にある同潤会アパートメントで暮らした四世代70年の家族の歴史が描かれています。
年代を追うごとに中心人物が子供から孫、そして曾孫の代に変化して行きますが、それと共に建物も歴史を積み重ね、あんなに近代的だと言われていた建物も老朽化が進み、取り壊わされてしまいますが、そこに暮らした家族の思いの強さにジーン -
Posted by ブクログ
ネタバレビブリア古書堂の事件手帖シリーズは好きで、今作もとても面白かった。
ただ、扉子シリーズになってから登場人物に思慮にかける短慮な言動をする人が増えたなーと感じます。
前巻では、樋口恭一郎の母、樋口佳穂が最終的には恭一郎に相続されるはずの本を燃やしてしまい仲違いするのですが、「いや当たり前だろ」としか思わない。
少なからず恭一郎は杉尾康明(実父)とも交流があったわけで、理由はあれど、恭一郎の実父の大切なものを燃やしたら、そりゃ息子に距離取られるに決まってるでしょ。
今回の巻でも、扉子と圭の仲違い関連の話があるのですが、扉子も親友の親族をいきなり疑いすぎだし、圭も親友に対して言葉強すぎ。
子ども -
Posted by ブクログ
静かな語り口で没入して読めた。こういう雰囲気も好きな小説のひとつ。
主人公は五浦大輔という青年で、ある日亡くなった祖母の遺品である「夏目漱石全集」を査定してもらうため、ビブリア古書堂を訪れる。店主の篠川栞子はケガで入院中だったが、妹の計らいで病院まで行けば査定してくれるという。大輔は病院へ本を持参するが、そこで彼女は本に隠された祖母の秘密を読み取ってしまう。その後、大輔はビブリア古書堂にアルバイトとして勤務しながら、古書に関するさまざまなトラブルを栞子とともに解決していく。
短編集の形式をとっていて、全部で四つの作品が収められている。
どの話も好きなんだけど、それはその話に登場する人々が好 -
Posted by ブクログ
太宰治自家用の「晩年」をめぐって大けがをしてしまい入院をした、五浦大輔。
退院しだいぶ回復してきたころ、ビブリア古書堂のバイトに復帰した。
取引に訪れた道具商の男が、買い取った太宰治自家用の「晩年」を売りに、
訪れたが・・・。売買に応じた際に渡された別の一冊が元で、洋書の古書
に対する謎と運命に対峙することになっていく。
今回は7巻で 前作のあとがきを読んだ人ならわかる通りの、最終巻。
とはいえ、今頃読めば、分かり切った第2期があることは明白なので、
そこには触れず、五浦大輔と篠川栞子、そして篠川智恵子の生い立ち、
ビブリオ古書店の事件手帖の総決算と言ってよいのかな。
とんでもない、賭けに出 -
Posted by ブクログ
旅先で偶然出会った人と食べ物を通して、人生観が変わり、前向きになれる話を集めたアンソロジー。トラブルと偶然は旅につきもの。毎回すぐに「禍転じて~」になるとは限らないが、ターニングポイントとして意識されている。
全7話の中で、私は「夢よりも甘く」が最も気に入った。育ててくれた亡き祖母の思い出話。少女はそれが作り話であると薄々気づくのだろうが、大人になっても大事に温め続けている様子(例えば身近な人に指摘されてムキになる場面)が胸に刺さる。現実を知ってしまい、旅行中はコレといった良い出来事もなく、疲れ果て打ちひしがれて、旅が終わりに近づく。このまま静かに物語が終わるのかと諦めかけたところで、帰国後に