三上延のレビュー一覧
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両親の心配をよそに古書にまつわる出来事へ踏み込んでいく扉子を気にかけつつ、その成長に期待が高まる一冊でした。
扉子シリーズも5冊目。今回も夏の古書堂を舞台に、扉子と恭一郎が持ち込まれた相談事に向き合っていく流れで、シリーズらしい“日常の謎”が心地よく楽しめました。トリック自体は複雑すぎず、二人が少しずつ経験を積んでいく様子が伝わってきて、読んでいる側も自然と応援したくなる展開です。
個人的には、栞子さんの妹で扉子の叔母にあたる文香ちゃんの出番が多かったのが嬉しいところ。やり取りのテンポがよく、シリーズを追ってきた身としては、登場するだけで読書体験がちょっと豊かになる感じがありました。
さらに、物語の端々に次巻へつながる展開がしっかり仕込まれていて、読後には続きへの期待がそのまま残る構成になっています。扉子と恭一郎のコンビがどんな相談事に向き合っていくのか、そしていずれ栞子さんと扉子が並んで事件に挑む展開が来るのか、期待がふくらむ一冊でした。 -
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今まで自分が知らなかった本にまつわる世界の奥深さに圧倒された。
作中にはマニアックな本や聞き馴染みのない作家の名前、さらには「せどり屋」と呼ばれる古書売買のリアルな駆け引きなど、ディープな知識が次々と登場する。
「古書=骨董品」のように価値がつく世界に驚かされつつも、名探偵のような栞子さんの解説を通して触れる未知の本たちは、どれも非常に魅力的で興味をそそられるものばかりだった。
そして現在ではほぼ新潮文庫にしか「スピン(紐の栞)」が付いていないという発見。
改めて自分の本棚にある新潮文庫を取り出してみて、中程のページにそっと挟まっているそのスピンを見つけた瞬間、なんだかとっても愛おしい気持ちが込み上げてきた。普段は何気なく手に取っていた本の一冊一冊に、職人や作り手のこだわり、そして歴史が宿っているのだと実感できた瞬間だった。
新しい知識を得られた驚きと、手元にある本をもっと愛おしく思えるようになる温かさ。
本という存在の奥深さと魅力を再発見させてくれる、本好きには堪らない作品だった。 -
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ネタバレ娘の代になっているのに、栞子さんの話を読みたいと思ってしまうので、なかなか読み進められてなかった新シリーズ。
やっと4作目を読んでみたら、栞子さんでも娘の扉子さんでもなく、智恵子さんの話が濃いという。
三代に渡っての話なので、実際は栞子さんと扉子さんがメインの話もあるのですが、智恵子さんが持って行った感が強い。
いや、どちらかというと旦那さんの登さんか。
まさか馴れ初め話から読める日が来ようとは。
彼視点からの智恵子さんの話は栞子さん味があって、でもやっぱり栞子さんとは決定的に違う部分もあって、面白くもあった。
話は「鎌倉文庫」のお話。
実在しているのかフィクションなのか、自分では判断つかなかったが、実在はしていたとのこと。
後書きでも解説、助かりました。
扉子さんが令和でやらかして(このあたりが十代の未熟さを感じる)智恵子さんが昭和でやらかして(彼女は十代でも怖い、ここが栞子さんと違う、でも十代らしさもあったところに栞子さん味を感じた)栞子さんが結局色々解き明かすという。
栞子さんがまとめてくださったので、個人的には満足。
それに、終わりも智恵子さんが出てきた割に、思っていたより穏やかだったので。
ただ、やっぱり不安はぬぐえないんだよなあ。
特に智恵子さんが扉子さんに何をしようとしているのか考えると不安という。 -
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2026 07/21
『古書に取り憑かれてる血筋』『血の呪い』
そんな薄気味悪い感想が真っ先に思い浮かびました。
常人には理解し難い古書への執着と情念。
狭い地域で繋がっていた関係性が、影の中から表へと露わになった今、今後の展開が気になる。気になるけど……覗くのが恐い気持ちもある。
古書に人生を狂わされた人たちが出てきて、自分の人生は狂っていると認識もないまま、他人の人生をも狂わせてしまう。欲しいものを手に入れる為には手段を選ばない。さも当然のように人を傷つける。そんな人たちの執念を見せられて、何とも言えない気持ちになってしまった。
栞子さんの『晩年』を欲しがる黒幕の理由がもう、無邪気すぎて、何というか、、怪我人を出したことを知らされてもなお、純粋な気持ちで譲って貰えないか聞くっていうのが、、、ピュアな狂気は誰にも止められないってのがよく分かりました。心底恐ろしくて気持ち悪い。
全体的に得体の知れない不気味な暗さを纏った今作の救いは、栞子さんの、
「わたし、他人から古書を奪うような人は、いつか古書を愛せなくなる日が……古書に復讐される日が、来ると思う」
「人と古書は繋がっているから。その繋がりは、大事なものだから……」
の言葉でした。
栞子さんは大輔くんがいる限り大丈夫だと思えた言葉でした。
栞子さんは、忌まわしい因縁からきっと抜け出せる。 -
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ネタバレ夏休み、樋口恭一郎はビブリア古書堂で1週間だけアルバイトをすることになった。
両親が海外出張で留守にするので、そのあいだ店番を手伝って欲しいと、高校の先輩でもある扉子に持ちかけられ、迷わず(というか二つ返事で?)引き受けたのだ。
篠川扉子の両親である、栞子と大輔は、古書の売買はともかく、訳ありの客が店に相談事を持ち込むことをひどく警戒している。
扉子には、相談事は引き受けてはいけないと約束させ、恭一郎には扉子のストッパー役を務めるよう頼み、栞子の妹で、扉子の叔母にあたる文香(あやか)にも、保護者として見守りにきてもらうことにした。
その前に、高校生の娘に古書の「査定」は迷わず任せてしまっていることには驚き!
もちろん(!)扉子は相談事に首を突っ込むに決まっている。暴走を止めるはずの恭一郎は相棒を務め、文香までが・・・
三人のお留守番は、とんでもない「夏休みの冒険」になった。
【第一話 『シャーロック・ホームズの歸還』(岩波文庫)】
【第二話 森山大道『写真よさようなら』(写真評論社)】
【第三話 中原中也『山羊の歌』(文圃書店)】
扉子に付き従う(笑)恭一郎を見て、大輔さんとはタイプが違うけど、いいコンビだねみたいに思ったり言ったりする人たちが出てくる。
これは、先が楽しみだ。
そして、森山大道の『写真よさようなら』に関して扉子が「父と初めて会った時、入院中の母が読んでいたのが『写真よさようなら』だった」と発言しているのが気になって、シリーズ一作目を再読しました。懐かしいです。栞子の『写真よさようなら』は、あまり状態は良くないけど25万円だったって!
今回の相談のお客さんにも、過去作に登場していた人たちが出てきているので、いろいろ忘れているし、これから順番に再読していこうかと思っています。