三上延のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
代官山に実在したアパートと、そこに住まう4代にわたる家族の歴史を巧みに絡ませた、70年に及ぶ物語。
と言っても、大河ドラマのような壮大さとはまるで無縁です。歴史に名を残す偉業や、めくるめく大恋愛や、驚天動地のトリックがそこに記されているわけではありません。ときに時代の波に流されながらも、懸命に生きる日々。そのなかでのちょっとしたトピックが章ごとに視点を変え淡々と語られるのみです。
でもこの淡々としたカラーこそが、本作の魅力でしょうね。一族のなかでどちらかと言えば陰キャ(ごめんなさい)な人が語り部役を継いでいきますが、だからこそ胸の内に宿る炎が時折垣間見えて、物語を前に動かしていきます。
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Posted by ブクログ
ネタバレ感想
栞子の周りの家族関係が明らかになってくる。そこにまた悪徳な吉原という古本屋が出てくる。
最後のディールはシビれた。吉原の爺さんにも一杯喰わせてスッキリ。大輔と栞子も無事に結ばれて一件落着。
あらすじ
久我山家にあった晩年を取り戻すために、吉原という久我山の弟子だった古本屋が訪ねてくる。吉原は、栞子の弱味につけこんで法外な値段で晩年を売る。
その後、栞子の母方の祖母と会う機会があり、家族から吉原に取られたシェークスピアの本を取り戻して欲しいと依頼を受ける。
久我山は、何億もするファーストフォリオの可能性があるシェークスピアの本とそのファクシミリを糊付けして中が見えないように細工し、