あらすじ
三つの時代をまたぎ紐解く、鎌倉文庫の謎
まだ梅雨の始まらない五月の終わりの鎌倉駅。よく似た顔立ちだが世代の異なる三人の女性が一堂に会した。
戦中、鎌倉の文士達が立ち上げた貸本屋「鎌倉文庫」。千冊あったといわれる貸出本も発見されたのはわずか数冊。では残りはどこへ――夏目漱石の初版本も含まれているというその行方を捜す依頼は、昭和から始まり、平成、令和のビブリア古書堂の娘たちに受け継がれていく。
十七歳の「本の虫」三者三様の古書に纏わる物語と、時を超えて紐解かれる人の想い。
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audible 。実在した「鎌倉文庫」を題材とした物語。シリーズ中でもピカイチに面白かった。
もう何巻読んだだろうか。作者後書きで次回作もよろしくとあるので、まだまだ楽しめそうだ。
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鎌倉文庫という一つのテーマで繋がる親子三代の連作ミステリー。ビブリアシリーズで一番好きだった。参考文献の多さにも驚いた。こういう、事実に基づくフィクションをもっと読みたい。
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智恵子さんと登さんの出会いが読めるとは。
鎌倉文庫の貸出本がオークションサイトに出品されたくだりは大分驚いたけど、持ち主の手に戻って良かった。
鎌倉文庫が再現されたのは、縁があった人や鎌倉文庫を知っている本好きにはたまらないだろうな。
鎌倉文庫を持っている3人が少し借りたいという申し出に対して何の躊躇いが無いのがらしくて嬉しい。
鎌倉文庫が手に渡った先が花子さんで良かった。
そこに登さんも居たらなあと思う。
登さんと大輔さんが少しとはいえ会った事があったとは驚いた。
優しい人だ。
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ついに、17歳の智恵子、栞子が登場。二話、三話ではこれも初登場の登が語り部とし話を進める。最終話でもおかしくないような、ビブリア古書堂の三代を感動を持って描いている。ただ、まだ続くみたいでシリーズファンとしては安心しました。
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智恵子と栞子と扉子。3代にわたる本についての知識と推理力が遺伝している。(そして3人が一堂に会する)どうもパートナーは本の知識については負け気味で、小説中では読者代表で事件に振り回され推理を聞く立場。「鎌倉文庫」小説では散逸を免れた形だが、実際は散逸している。これを機会に市場に出るとか、発掘されればいいけどな。
智恵子がビブリアに来た出会いが語られる。
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やっとやっと読めたー!
発売日に買ってずっーと積読してて読みたい読みたいって思ってた
やっぱりビブリア大好きだー
すぐビブリアの世界観に入り込める。
ビブリアの中では謎で栞子さんに意地悪する人ってずっと思ってたおばあちゃん。
今回でちょっと知れて楽しかった
まだまだ謎だらけだから今後どんな情報が出でくるかきになる
最初から読み返したい〜
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終戦の年から戦後に実在した「鎌倉文庫」をめぐるお話。
そして、智恵子、栞子、扉子と続く、女性三代の年代記のようにも読める。
栞子の両親のなれそめも描かれている昭和時代がノスタルジックで良い。
今回のピックアップ作家は、夏目漱石。
そして、あとがきを読んで、「鎌倉文庫」の運命にまた驚いたのでした。
このお話のように、古書が大切に受け継がれて行って欲しいと思う。
【プロローグ】
【第一話 令和編『鶉籠』】
【第二話 昭和編『道草』】
【第三話 平成編『吾輩ハ猫デアル』】
【エピローグ】
成金の兼井夫妻は衝撃的な登場と、濃いドラマ。
無邪気なクズ(!)利平さんもいい味を出していました。
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浪漫と感動っ 鎌倉にあった貸本屋。今も蔵書の大概が行方不明のままなのだけど。これが再び揃ったら?!そんな夢を叶える本とも言える。今回も、感動させて貰った!三上先生ありがとうございますっ
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ビブリア古書堂の事件手帖シリーズは好きで、今作もとても面白かった。
ただ、扉子シリーズになってから登場人物に思慮にかける短慮な言動をする人が増えたなーと感じます。
前巻では、樋口恭一郎の母、樋口佳穂が最終的には恭一郎に相続されるはずの本を燃やしてしまい仲違いするのですが、「いや当たり前だろ」としか思わない。
少なからず恭一郎は杉尾康明(実父)とも交流があったわけで、理由はあれど、恭一郎の実父の大切なものを燃やしたら、そりゃ息子に距離取られるに決まってるでしょ。
今回の巻でも、扉子と圭の仲違い関連の話があるのですが、扉子も親友の親族をいきなり疑いすぎだし、圭も親友に対して言葉強すぎ。
子どもだからという点を加味しても、ちょっと短絡的じゃない?と感じてしまいました。
少し気になる点のもありますが、もちろんシリーズ通してとても面白いので次の話も楽しみにしています。
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ビブリア古書堂の事件手帖IV ~扉子たちと継がれる道~
著者:三上 延
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**あらすじ**
三つの世代を超えて挑む、夏目漱石・名著の秘密。ビブリア新シリーズ第4弾。
三つの時代をまたぎ紐解く、鎌倉文庫の謎。
まだ梅雨の始まらない五月の終わりの鎌倉駅。よく似た顔立ちだが世代の異なる三人の女性が一堂に会した。
戦中、鎌倉の文士達が立ち上げた貸本屋「鎌倉文庫」。千冊あったといわれる貸出本も発見されたのはわずか数冊。では残りはどこへ――夏目漱石の初版本も含まれているというその行方を捜す依頼は、昭和から始まり、平成、令和のビブリア古書堂の娘たちに受け継がれていく。
十七歳の「本の虫」三者三様の古書に纏わる物語と、時を超えて紐解かれる人の想い。
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**感想**
今作では、物語が令和の扉子から始まり、昭和の智恵子、そして平成の栞子という順に進んでいく構成がとられています。時間の流れとは逆行しつつも、それぞれの時代に生きる三人の女性たちが、同じ「古書」と「想い」に向き合う姿が重なり合い、静かで奥深い感動を与えてくれます。
現代を生きる扉子の好奇心と行動力は、物語の出発点としてとても自然で、読者を古書の謎へとスムーズに引き込んでくれます。そして、舞台が昭和へと遡ることで、智恵子と登の若き日の姿や、戦後の鎌倉で営まれていた文化の断片が描かれ、古書が単なるモノではなく、人と時代をつなぐ「記憶の媒体」であることが改めて感じられます。
最後に描かれる平成の栞子の視点では、彼女が母・智恵子と娘・扉子の中間に立つ存在として、静かに物語をつないでいく様子が印象的です。彼女の視点によって、親子三代にわたる「本」と「人」の繋がりが完成され、読み終えた後には深い余韻が残りました。
本を通して人間の歴史や記憶を辿るというテーマは、古着や古道具などを通して過去の持ち主に想いを馳せる感覚にも通じるものであり、「人は人との繋がりに魅了される生き物である」という本質を静かに語りかけてくるようです。
そして、いつの時代も変わらず彼女たちを支える登や大輔といった存在が、家族の物語に優しい安定感をもたらしています。時代が変わっても、大切なものが変わらないということの象徴のようでもあります。
この巻がシリーズの転機になるのか、それとも新たな展開の序章となるのかはまだ分かりませんが、ぜひこれからも令和の時代にふさわしい「古書ミステリー」として物語が紡がれていくことを期待したいです。
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鎌倉文庫と夏目漱石の初版本を題材にした物語。
毎回、文学作品を題材にしっかりストーリーを作り込んでおり、取り上げている作品を読みたくなる。
今回は親子3世代で物語が綴られているのが良かった。
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2024年出版。第2シーズン、第4作。3世代の中心人物達が動き関わり合う。本作ではほのぼのしたエンディングになっているので、次作は荒れるのかな? 「いつの時代の、誰の視点だろう?」と思いつつ読み進めるが、大きく迷う事もなく。異才の初代の高校生時代での謎解きも有って意外。本作も楽しませて頂きました。
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2012年本屋大賞の続編
令和、平成、昭和、母娘3代17歳の本屋探偵デビュー物語
「鎌倉文庫」「夏目漱石」の謎。
令和篇「鶉籠」、仲違いしたけど仲直りできてよかったねぇ
昭和篇「道草」、登さんとの馴れ初め話
平成篇「吾輩は猫デアル」、失踪してからの話
…
……
………
にわか成り金が古書を焚書しなくてよかったですね。
卵は常温で、コンビーフのインスタントラーメンを試してみたい。
何味がいいかなぁ
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本にまつわる謎を解き進めつつ、登場人物の人となりが徐々にわかっていく。策士だなぁと思わないこともないが、それでも面白いので読んでしまう。夏目漱石は読んだことがないので、読んでみようと思う。
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だぁーと読み止まらず、出てるシリーズ一気に全部読みました!うん、面白いし、3代キャラがぶれない。
なんといっても栞子さんの魅力、
なんというか彼女には男性の夢が詰まっている気がする、、細いのに巨乳だし、、
初期の巻頭イラスト付いてるのが良かったな〜。
古本ではなく古書の魅力がひしひし伝わって来たし、
明治の名作をまた読んでみたいような気にもなったが、実際はなかなか、、授業で無理やりにでも読ませる、とかがやっぱ必要かしらね
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今回は前作のようなダーク感は少なく、後味もスッキリしてて良かったな。
今回の依頼は、戦中、鎌倉の文士達が立ち上げた貸本屋「鎌倉文庫」の謎解きを篠川家の「本の虫」3世代(智恵子、栞子、扉子)が三者三様で紐解いていく。各々の十代を比べながら読めるのも面白い。
令和編では扉子、昭和編は智恵子、平成は栞子の順で話が進でいくのだけど、時代ごとに夏目漱石の別々の古書が絡んでいるのも巧妙である。
特に昭和編の17才の智恵子、今とはちょっぴり違う一面が見れて面白い。夫の登との遣り取りは、栞子と五浦くんを見ているようで微笑ましい。また、登も五浦くんと同じように事件手帖を書いているというから驚きである。事件手帖は全部で4冊?あと、本の買い手を探す場面で登が発した言葉にあの智恵子が目も口も開けたまま言葉を失って驚く姿は今の智恵子からは想像出来ないし可愛らしさすら感じる。
平成編では、栞子の妹の文香も出てくる。小学生の文香が雨のなか、踏み切りの前で失踪した母の智恵子の帰りを待っている。そんな姿を思い浮かべると、いじらしく胸が締め付けられる。扉子編になってから文香の出番が減ってしまったので、事件手帖3のときのプロローグやエピローグのような、元気で明るい文香ちゃんの出番を増やしてほしいな。
あと、太宰治と檀一雄や夏目漱石、芥川龍之介など文豪や作家さんなどの面白いエピソードなども知りたい。
うーん、次作も待つ身がつらい。
余談ですが、鎌倉文庫は戦争で荒廃した人心を明るくする目的で川端康成らで作られた様です。川端康成は後に、「鎌倉文庫は悲惨な敗戦時に唯一開かれていた美しい窓であったかと思ふ」と綴っている。
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過去話おもしろい。
鎌倉文庫をめぐって智恵子、栞子、扉子三世代のおはなし
こう一つのテーマで読むと同じ高校生でもそれぞれの父親の影響か時代のアップデートかだんだんマイルドになってるのがよくわかるね。
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今回は鎌倉文庫という貸本屋を関わる篠川家三代に渡るお話。鎌倉文庫自体が実在しているお話だそうでリアルでは行方不明なものを小説というカタチで登場させたり、毎回本の蘊蓄が楽しいです。
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栞子の娘の扉子、そして親の智恵子の3代にまたがる漱石と鎌倉文庫をめぐるストーリー。智恵子の若かりし頃の話が今につながり、そして栞子と大輔の最初の出会いも描かれており全てがつながっているそんな話。昔ほど本の中身が謎解きのヒントになることは少なくなってきたので少し毛色が変わってきた感じもしました。
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扉子シリーズとなり4作目、今回は夏目漱石がメイン古書、そしてかつて鎌倉に存在した「鎌倉文庫」なる貸本業がキーとなり、さらに3世代親子の17歳時の事件が紡がれていくという、今までにない構成であった。鎌倉文庫についてはwikiでも調べること可能で、その在庫がほとんど行方不明という事実にも多いに興味が持てた。土地柄を組み合わせての展開であり、作者の創作性にただただ脱帽である。
令和編「扉子」昭和編「智恵子」平成編「栞子」と進んでいくが、なんといっても白眉は昭和編「智恵子」の章である。これまでのラスボス的キャラにも17歳という時代があり、そこには年相応の出会いがあり、抱えている悩みなどがあったりしたのだろう。直接描写はなものの、智恵子を描写する際の言葉や空気感などがとても好ましかった。そして智恵子の配偶者、栞子の父親、篠川登氏が昭和編、平成編に登場する。大学生の青年期から父となった壮年期の彼に、おどろくほどの篠川大輔との相似性を見出したのは、おそらく自分だけではないだろう。親子3代異性の好みは似通ってるのかも?昭和編での智恵子、登のやりとりに、おもわずにんまりしてしまう。栞子、大輔のやりとりとはまた別の、古書を離れた青春を感じるのもシリーズ初の体験であった。
まだまだ終わりの見えないシリーズであり楽しみである、と、ここで個人的に挑戦してみようと思ったのが、ビブリア古書堂年表であるのだ!以下時間をかけつつ整理していきたいと思う。
ビブリア古書堂年表
1956 三浦智恵子誕生(父:久我山尚大 母:三浦英子)
1973 扉子4 智恵子(17歳)篠川登(20歳)と出会う。
栞子7 直後に実父 久我山尚大からの試験を拒
絶 以降絶縁
1985 栞子誕生
1993 篠原文香誕生
2000 智恵子突然の出奔
2002 扉子4 栞子(17才) 父登とともに「吾輩ハ猫
デアル」解決
2010 7 栞子ケガを負う
2010 8 栞子1 栞子(25才)大輔(23才)と出会う
栞子1~7栞子と大輔様々な事件を解決
2011 10 栞子 大輔 入籍
2012 4 扉子2 栞子妊娠発覚
2012 10?扉子誕生
2018 秋 扉子1 扉子6才
2021 扉子3 扉子9才(小3)戸山圭と出会う
2028 扉子3 扉子(16才)樋口恭一郎(15才)と出会
う
2029 扉子4 扉子(17才)
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『ビブリア古書堂の事件手帖~扉子~』シリーズの四冊目ですね。
夏目漱石の『鶉籠』を巡り、扉子は親友の戸山圭と、気まずい関係になっていたが、仲直りをする事になるが、『鶉籠』がもと鎌倉文庫所有の本であった事が謎になり、扉子は鎌倉文庫を探ると、祖母の智恵子の存在が浮かび上がってきた…………?
智恵子、栞子、扉子の三代の十七才が織り成す、『鎌倉文庫千冊』の謎解きミステリーです。
智恵子と篠川登の出逢いと、二人の『鎌倉文庫』をめぐる物語が、初めて明かされます。
目次
プロローグ
第一話 令和編『鶉籠』
第二話 昭和編『道草』
第三話 平成編『吾輩ハ猫デアル』
エピローグ
智恵子の過去と、登が詳しく語られるのは、これが初めてで、二人のなれ初めを面白く読めました。二人の関係を本をめぐるミステリーに仕上げるとは、さすがですね。
『鎌倉文庫』をめぐるミステリーを、栞子・扉子まで繋げる構成は、興味津々で面白く読めました。
ビブリア古書堂のキーワードに漱石を持ってくるのは、三上延さんは、かなりの漱石好きだと思います。
大輔と栞子の出逢いも漱石でした。
ちょっと影が薄い栞子の妹の文香があどけなく、母智恵子の失踪後が、いじらしく描かれているのが、胸を打ちます(思いがけず大輔と出会っていました)。
文香が独立心が高いのは、早くに母と父と別れた事(登は死別)によるとわかります。
少しずつ、篠川家の過去が、これからも話題に上るのを期待しましょう♪(まだまだ、栞子の過去の謎解きは明らかにされていませんから)
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今まで影の薄かった栞子の父目線のお話でした。
智恵子との馴れ初めも描かれていて、新しい発見でした。
夏目漱石の作品も読んでみたくなりました。(古い文体が苦手なのですが…)
ほっこり
シリーズの中で、本作は悲壮感が小さく、ほっこりと、人間の暖かみを感じる印象がある。花子が人として大きくなったところが喜ばしい。
昭和編が面白かった
令和編の語り手は樋口くん・探偵役は扉子ちゃん、昭和編の語り手は栞子さんのお父さんの登さん・探偵役は登さんと結婚前の三浦智恵子さん、平成編は語り手が登さんで、探偵役がまだ高校生だった栞子さん。今回はオリジナルシリーズの語り手・大輔氏はプロローグとエピローグにしか登場しません。その代わり、オリジナルシリーズでは5巻のプロローグ(リチャード・ブローティガン「愛のゆくえ」)にしか登場しなかった登さんが大活躍?です。大輔氏と同じでパートナーほど本に関する知識はなくとも洞察力はすごく、的確に探偵役をサポートしています。それから、オリジナルシリーズではラスボスみたいな扱いだった智恵子さんが、登さんにだけは少女らしい顔を見せるのが面白かった。あと、新シリーズではほとんど登場シーンがない文香ちゃんが、少しですが平成編に出たのがうれしかった。
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貸本屋「鎌倉文庫」。1000冊あったと言われる貸出本も発見されたのはわずか数冊。夏目漱石の初版本も含まれる残りの本はどこへ。ビブリア古書堂に持ち込まれた依頼は昭和、平成、令和の娘たちに受け継がれていく。
このシリーズは好き。
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<目次>
略
<内容>
時代が少し戻ったり進んだり、智恵子さんと登さん(栞子さんの両親)とかでてきたり、また扉子さん(栞子さんの子ども)が出てきたり、まあこういう展開なら何でもありだね。益世さんも新しいキャラででてきそうだね。
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「なんとなく、君は俺に嘘をつかない気がする」p.193
〔鎌倉文庫〕鎌倉文士たちが本を持ち寄って開いた貸本屋。そこにあった、今となっては貴重な本の行方はほとんどわかっていない。この巻の中心。
〔兼井健蔵〕鎌倉文庫を集めたい成金。
〔戸山利平〕圭の大叔父。鎌倉文庫の本を持っていると言った。扉子と圭の仲違いの原因。
〔篠川登〕栞子の父、ビブリア古書堂先代店主。智恵子との出会いが描かれる。
〔インスタントラーメン〕この場合はチキンラーメンのことだろう。登と智恵子のなれそめ。卵を常温に戻しておくことがコツだとは知らなかった。
〔ちくま日本文学全集〕便利な選集。最終的な蔵書はこれか、「ちくま文学の森」のどちらかだけでいいような気もします。
■ビブリア古書堂についての簡単な単語集
【青い革のブックカバーの本】大輔がいつも持っている本。《この本は人目に晒せない。》扉子と不思議な客人たちp.265
【悪意】《時として本を求める人の心には悪意があるのだ。》扉子と空白の時p.154。本好きに悪人はいない、なんてことはまったくないですね。古本屋で働いていたときにもそこまでやるか? ということが何回かありました。
【遊びと人間】ロジェ・カイヨワ著。講談社文庫版を持ってます。納得したというわけではないけどおもしろかったです。
【井浦清美】上島秋世の姪。初子の娘。2012年時点で五十歳前後。盗まれた? 存在しないはずの横溝正史『雪割草』を捜してくれという依頼をしてきた。鹿山直美がビブリア古書堂を紹介した。
【井浦創太】井浦清美の息子、初子の孫。
【井浦初子】清美の母。上島秋世の妹。春子の双子の姉。上島隆三の妹夫婦の井浦家に養子に出された。
【生ける屍】ディキンスン著。サンリオSF文庫。
【磯原秀実/いそはら・ひでみ】磯原未喜の息子。最近くも膜下出血で急死した。正当なオタクでありハラヒデミという名前でラノベのイラストやアニメのキャラデザなどで売れっ子だった。妻はきらら。コスプレイヤーをやってて秀実と知り合った。未喜とはあまり仲がよくないようだ。
【磯原未喜/いそはら・みき】篠川智恵子の旧友。最近亡くなった息子の秀実が持っていたはずのどこにあるかわからない本を探してほしいという依頼をしてきた。息子の趣味(仕事)に対してはよい印象を抱いていない。
【井上太一郎】ヒトリ書房店主。ミステリとSFに強い。
【岩本健太】ラノベ作家。磯原秀実の中学時代の友人で同じ美術同好会に入っていた。
【上島秋世】上島隆三と笑子の娘。上島家を長く取り仕切っていたが九十二歳で亡くなった。
【上島秋世の夫】なんらかの職人で器用だったからかいろんなものを自分でつくっていたらしい。駆け落ち同然に東京を離れ夫の親戚がいる新潟で親子三人穏やかに暮らしていたが出征して戦死。
【上島秋世の息子】新潟で秋世とともに暮らしていたが空襲で亡くなった。
【上島乙彦】春子の息子。井浦清美のいとこ。旅行会社を辞めてインドネシアで友人がやってる会社を手伝う予定。2012年時点で昨年妻と離婚し大学生の娘もいっしょに出ていった。横溝正史の熱烈なファン。
【上島家】上島秋世の父、隆三が大正時代に財産を築き今でも少なからぬ財産を持つ。皆連れ合いをなくす。
【上島春子】上島秋世の妹。井浦初子とは双子の妹。横溝正史『雪割草』が初子に盗まれたと主張している。
【上島隆三】上島秋世の父。
【王様の背中】内田百閒著、谷中安規画。旺文社文庫版は持ってます。子どもの頃に読んだら楽しめたやろうなあと思いました。
【大船総合病院】栞子が足をケガして入院していた。大輔と栞子が実質的に出会った場所。大輔の祖母も入院していたことがある。
【落穂拾い・聖アンデルセン】志田が大切にしていた本。珍しくはなく古書店ではよく見かける。個人的には旺文社文庫の「落穂拾い」を持ってます。ほぼ小山清全集かもね? 旺文社文庫の方が分厚いんで作品数は多いかも。でも解説の量も多いけど。チェックはしてません。
【会話】《話をすることでお互いの内面はなにかしら変わると思うんです。》扉子と虚ろな夢p.123
【笠井】志田が「男爵」と呼ぶせどり屋。主にゲームや、廃盤CDを扱い羽振りは良さそうだ。
【兼井健蔵/かねい・けんぞう】成金。古書を買い集めている。鎌倉に本の博物館を作るのが夢。死ぬときには集めた本をすべて焼くつもりらしい。
【兼井花子】健蔵と花子の妻。古書に興味なし。鼻が尖っている。
【兼井仁美】健蔵と花子の娘。
【兼井弘志】健蔵の娘婿。
【兼井益世】仁美と弘志の娘。健蔵、花子の孫。本好き。司書の資格も持っている。
【鎌倉文庫】第二次大戦末期、文士たちが本を持ち寄って開いた貸本屋。その後出版社になる。『人間』という雑誌は必要があって数冊持ってました(最近売ったけど)。
【亀井】虚貝堂の番頭。スキンヘッド。三十代と思われる。
【鹿山直美/かやま・なおみ】ヒトリ書房店主の井上太一郎の妻。
【虚貝堂/きょかいどう】戸塚駅前で半世紀以上前から営業している古書店。店主は杉尾正臣。
【久我山尚大/くがやま・しょうだい】篠川登の父の師匠。店売りをやめ目録販売専門。危険な古本屋。
【口笛】栞子と扉子は本を読むのに夢中になったときかすれたような口笛を吹いたりする。
【五浦恵理】大輔の母。ごうら食堂を継がず会社勤め。
【ごうら食堂】大輔の実家。なにかとビブリア古書堂と縁があったようだ。扉子六歳時点では倉庫扱いとなっている。
【五浦大輔】語り手。ちょっといかつい大男。柔道の有段者。でも争いごとは嫌い。幼い頃のトラウマか活字だらけの本を開くと目がしょぼしょぼして読めなくなる。元来は本好きだったようで本の話を聞くこと自体は好きだったからかビブリア古書堂に就職できた。栞子と結婚して七年後もまだ本は読めない。
【獄門島】横溝正史著。角川文庫版の初版で状態が良ければ六、七千円? まあ、需要と供給ではあるけど・・・。ぼくが古本屋で働いてた頃はたくさん出回りすぎてて、当時文庫本の初版は古書的にはさほど意味がなかったし初版であろうがなんであろうがゼロ円でも買い取りたくなかった本やったけどなあ。
【小菅奈緒】背の高い、美少年のようにも見える女子高生。篠川文香とは同じ高校で三年のときにはクラスも同じになった。ある事件で知り合う。男の子口調でしゃべる。大輔の高校の後輩にあたる。後に大学院で比較文化学を専攻している。
【小柳】上島家の家政婦。十五歳のときに上島家に来て以来秋世には妹のように可愛がられてきた。
【紺野祐汰/こんの・ゆうた】小菅奈緒たちと同世代。志田と親しいようだ。
【坂口しのぶ】坂口昌志の妻。かん高い声の明るくおしゃべりな女。昌志が「論理学入門」を売ろうとしたのを止めにきた。自分ではバカだと言うがなかなかデキた人。
【坂口昌志】グラサンかけた落ち着いた男性。「論理学入門」を売りにきた。
【三大奇書】ふつう言われる日本三大奇書は、夢野久作『ドグラ・マグラ』、小栗虫太郎『黒死館殺人事件』、中井英夫『虚無への供物』。全部読んではいますが『虚無への供物』以外は正直なにがなんやらって気分です。
【サンリオ文庫】サンリオ文庫とサンリオSF文庫は当時、訳が悪いとか学生のアルバイトレベルとかなんとかかなり悪口言われてたけど、ラインナップが面白かったというよりよく知らないような作品のが多かったのでかなり揃えました。いまや貴重品になってるようですね。一番気に入ってるサンリオSF文庫は「ラーオ博士のサーカス」です。
【志田】ビブリア古書堂の常連。せどり屋。住まいは橋の下。おそらく偽名なので過去から逃げてる感じ。
【篠川文香/あやか】栞子の妹。大輔の高校の後輩にあたる。
【篠川栞子】ビブリア古書堂の店主。妙齢の美女。極端に内気な性格だが本のことになるとスイッチが入って饒舌になる(なりすぎる)。ある意味一目惚れして大輔を店員として勧誘する。この物語の探偵役で主人公。とても頭脳明晰推理力抜群で切れすぎることを志田や大輔は心配する。《本を開いている時を除いて、彼女の関心はだいたい夫と娘に向いている。》扉子と不思議な客人たちp.11
【篠川聖司】ビブリア古書堂先々代店主。登の父、栞子の祖父。久我山書房で修行したらしい。冷静沈着な人物らしい。
【篠川智恵子】栞子の母でさらに鋭い。久我山尚大の隠し子。父親同様、あちこちで人の心を踏みにじるようなマネをしている。自らの欲望(書物に対する知識欲?)に忠実であるため夫と娘たちを捨て家を出奔した。栞子はそんな母を憎んでいるが自分の中にも同質の部分があることに気づいている。見た目も栞子は彼女の若い頃にそっくり。
【篠川扉子】栞子と大輔の娘。母と同じで本を読み出すと周りが見えなくなる。高校は稲村高校。《祖母と会うのは恐ろしく、そして楽しかった。》扉子と空白の時p.277
【篠川登】智恵子の夫で栞子の父。ビブリア古書堂先代店主。
【杉尾正臣/すぎお・まさおみ】虚貝堂店主。亡くなった息子の康明の蔵書を古書即売会に出そうとしているがその相続権は孫にある。
【聖桜女学園】栞子、智恵子、滝野リュウなどの出身高。私立のお嬢様高校。扉子は稲村高校に入った。
【漱石全集・新書版】新書サイズで全35巻。表紙は他の岩波版全集でもお馴染みのデザイン。一巻ごとはかなり薄っぺらく猫は二分冊となってる。ボクが最も好きな漱石全集であり唯一持ち続けてる漱石全集でもある。触ってるとシアワセになってくるタイプの本。
【相馬】ブックカフェ「もぐら亭」でアルバイトしていた。
【滝野リュウ】滝野蓮杖の妹で栞子の友人。営業系の仕事をしてるようだ。古書にはあまり興味なし。
【滝野蓮杖】滝野ブックスの跡取り息子。
【玉岡昴】『春と修羅』の初版本がらみで知り合った。篠川文香と同じ高校の後輩。ビブリア古書堂のアルバイトをしてくれることもある。
【力】《大きな力はたやすくノロイニ変わるのだ。》扉子と虚ろな夢p.178
【ドドンパ書房】店主は神藤(しんどう)という三十歳くらいのポブカットでかってハンマー投げの選手だったマッチョな女性。薄利多売、値付けも適当で掘り出し物が多くわりとファンの多い店。本人いわく「パワータイプの店」。
【戸山清和/とやま・きよかず】「もぐら堂」初代店主。圭の祖父。
【戸山圭/とやま・けい】扉子の友人。黒髪のベリーショートに切れ長の目と太い眉。ブックカフェ「もぐら亭」オーナー戸山吉信の娘。本好き。
【戸山末莉子/とやま・まりこ】吉信の妻と思われる。
【戸山吉信/とやま・よしのぶ】ブックカフェ「もぐら亭」オーナー。
【戸山利平/とやま・りへい】清和の兄。圭の大叔父。鎌倉文庫の行方不明本を持っていると言っていた。
【西野】小菅奈緒が告白しようとした? 相手。大輔の高校の後輩にあたる。
【晩年】太宰治著。砂子書房。太宰治の処女出版。個人的には復刻版でアンカットのを持ってるんでいちおうイメージはできました。
【樋口佳穂/ひぐち・かほ】息子に相続権がある本が売り払われようとしているのを止めたい。虚貝堂の杉尾康明の元妻。今の夫は樋口芳紀(よしき)。
【樋口恭一郎/ひぐち・きょういちろう】高校生になったばかり。杉尾正臣の孫、杉尾康明の息子。祖父の依頼で藤沢古本市への出店を手伝うことになっているが売られる本は康明の遺品で相続権は恭一郎にある。母はなんとか売り払わずに恭一郎に相続させたい。高校は扉子と同じ稲村高校で一年後輩。
【平尾数晴】坂口昌志の異母兄。教師。脳梗塞で倒れる。
【平尾由紀子】坂口昌志の姪。
【舞子】大輔の伯母。母の姉。自分の話をするときはお説教の前振り。
【三浦智恵子】→篠川智恵子
【めぶきコンクール】扉子の通う岩谷小学校で行われる読書感想文コンクール。何十年も前から続いている。扉子が横溝正史『獄門島』で書くと宣言して担任は戦々恐々。
【もぐら亭】古書店。ブックカフェとなっている。扉子はアイスティーフロートを飲む。アイスクリームは近くの養蜂園から卸した蜂蜜入りでこの店の名物。
【雪割草】横溝正史著。本として出版された記録はなく原稿の一部分だけ見つかっているらしい存在しないはずの幻の本。証言によると上島秋世の夫による自装本があり妻の上島秋世が誰も触れてはならないと一族に命ずるほど大事にしていた。盗まれたとされるその本を捜してほしいとの依頼があった。
【吉田】扉子の小学三年時の担任。
【吉原/よしわら】久我山書房の番頭。
【吉原孝二】横浜で古美術品と古書を扱う舞砂道具店(まいすなどうぐてん)の三代目。先代は喜市(きいち)でシェイクスピアのファースト・フォリオがらみでビブリア古書堂に打ちのめされた。
【論理学入門】ヴィノグラードフ・クジミン著。青木文庫は古書店でよく見かける。個人的にはあまり興味惹かれず一冊も持ってない。
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かつて鎌倉に存在した貸本屋・鎌倉文庫、鎌倉に住んでいた文士たちの貴重な蔵書が貸し出されていたという。閉店後蔵書は大半が行方不明となっている。そんな鎌倉文庫を巡る昭和・平成・令和の、ビブリア古書堂の3人の女性たちの物語。
昭和編『道草』では栞子さんの両親である篠川登と智恵子の出会いが描かれており、平成編『吾輩ハ猫デアル』では智恵子が失踪した後の篠川家・ビブリア古書堂の様子が登視点で描かれている。栞子さんのお父さんはこんな感じだったんだなぁ。大輔とちょっと似た部分があるのかもしれないと思った。
Posted by ブクログ
扉子のシリーズ4作目。貸本屋「鎌倉文庫」の行方を3世代が各々に追う話。特に割と謎のベールで包まれたままの智恵子さんの馴れ初めが良かった。人間味を感じる。鎌倉文庫がほんまにあった話と知ってますます興味深い。今もそういうのってあったりするんかな。