星新一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「ショートショート」というジャンルを切り開いた先駆的存在として広く知られている星新一の代表的短編集の一つが本書『ようこそ地球さん』である。
本書には全42編が収められ、いずれも昭和36年以前に執筆された作品であるにもかかわらず、今日読んでも時代の古さを感じさせない点にまず驚かされる。
収録作の中でも「殉教」と「処刑」は、星新一の文学的到達点を示すものとして特筆すべき完成度を誇る。
短いながらも鮮烈な主題と余韻を残し、読者に強い印象を与える秀作である。
他方で、収録数の多さゆえに似たパターンの展開や、ある種の予測可能性を伴う結末が散見されるのも事実である。
その点は読み進める過程でやや単調さを覚える要因となっている。
それでもなお、本書は星新一文学の精華を知るための格好の一冊である。
軽妙さと諷刺、そして人間存在への透徹したまなざしが短い形式の中に凝縮されており、ショートショートという形式の魅力を存分に示している。
星新一の世界に初めて触れる読者には『ぼっこちゃん』と並び、入門書として強く薦めたい一冊である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「レジャークラブ」「指」「空白の行動」「とびきり」
「コレクター」「観光地」「問題の装置」「気力発生機」
「寝る前のひととき」「夜の乗客」「収支」
「安全装置」「宣伝の時代」「一本の刀」
「たのしい毎日」「敬遠」「反政府者」
「見習いの第一日」「女とふたりの男」
「こわいおじさん」「一年の計「ある初夢」
「ごねどく屋」「利益の確保」「きっかけ」
「クーデター」「おせっかい」「不快な人物」
「けじめ」「誓い」「会員の特典」「亡命者」
「出所の日」「平均的反応」「テレビの神」
「小さな社会」「宝への道」「夢の女」
「一日の仕事」「便利なカバン」「ある犯行」
「宇宙をわが手に」「装置一一◯番」「歳月」
「だまされ保険」「ある旅行」「飛躍への法則」
『どんぐり民話館』よりもちょっと黒い感じで好みの作品が多かった。本当に色んなオチがあって楽しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ○ファンタジーなんだけど、どこか現実味がある
夢の中を男の子が旅をする物語。そこで、男の子は様々な人の現実世界と夢の世界を知っていく。お父さんの夢の中では、死んだおじいちゃんがいたり、子供を事故で亡くした母親の夢では亡くなった子供を探す姿があったり。人それぞれの願望が夢に表れている。
どの夢の中の様子を読んでも感じるのが、人は夢を見ることで救われる部分があるのかなと思えること。例えば、夢の中で現実世界では起こり得ないことが起きて楽しんだり、会えない誰かに会って嬉しい気持ちになったりして、人は何かを得ているのかな。この物語を読むとそんなふうに思えてくる。
そんなことよりも、夢は面白いな。自分では記憶が曖昧になることが多いけど、もっと鮮明に覚えておいて、じっくりと夢を見ることができたらなぁなんて思う。無理だろうけど笑 -
Posted by ブクログ
江戸から離れたとある藩で、藩主の父親が亡くなったために藩主となった青年が、伝統に基づいて嫁を取り、参勤交代し、藩中にある借金などの問題を考える。大したことがない問題と思っていたものも、実は2代前からの積み残しであったり、思いつきで変えようとしたことは、実は先代の検討済みであったりと、簡単ではないことに気がつく。
中学時代から、手にとっては戻しを繰り返して読んでこなかった1冊。時代小説が苦手だったことと、冒頭の表題作が、どうもだらだらと要領を得ないし、会話がないので進まない印象があったからだろうと思う。
腰を落ち着けて読んでみると、表題作はいわゆる日常もので、色々やるけど実はすでにやられてるのよね、であるとか、国の要求するものをやっていくとコストがばかにならないんよね、しがらみもめんどくさいよね、という、現代社会風刺である。
2~4作目は、忠臣蔵を別視点でパロディにした話。ありえない話なのか、一部史実だったのかわからないが、1970年代の忠臣蔵ブームに便乗したものであろう。
後半は、主に当時の医学や占いをネタにした、星新一らしいショートショートの時代劇版。30ページ前後で最後に落とすというもので、こちらが前半にあったら中学時代も読めただろうなと思う。
江戸時代(特に綱吉時代)において、人物は恐らく架空で、出来事や時代背景を絡めてネタにするという作風。感染症および治療法などは概念すらないというあたりは、きちんと描かれており、やはり今の作家とはちょっと違うなと感じる。
読みにくいなと思ったら、後半の作品から読めばよろしい。